紅葉の季節【四季を愛でる文化】

 紅葉のシーズンがやってきました。

 最近は秋と言っても、10月くらいまでは結構暑い日もあるので、夏の次にいきなり晩秋というイメージになってしまっている気がしますが、紅葉を見ると「ああ、秋なんだな」と実感することができます。

 今日私が見たのは山間部の紅葉で、まだまだ紅葉は始まったばかりの感がありますが、ついこの間までは緑一色であった山々が赤や黄色に色づき始めるのをゆっくりと眺めるのは、独特の趣があるものです。

 紅葉は日本だけでなく、世界の中で限られてはいるものの、広葉樹林があり温帯で季節変化がある地域なら見られるそうですが、紅葉狩りのように紅葉自体を眺めて楽しむという観念は日本独自のもののようです。

 前にも書きましたが、日本人は自然を身近なものとしてこれを日々楽しむという感性を古来から持っていて、精神的にはとても豊かな生活を送ってきたのだと思います。「紅葉狩り」なんて言葉はそれを表していますよね。

 ちなみに「紅葉狩り」は「狩り」と言っても、取るという意味ではなく眺めるという意味なので、紅葉した葉っぱをいっぱい取って持ち帰らないでくださいね。

 万葉集には「黄葉(もみち)」などという表現で紅葉を歌人が愛でていた句がたくさん出てきて、紅葉狩りが行われていたらしいですが、江戸時代くらいになると紅葉狩りは貴族の習慣ではなく、庶民の習慣になります。

 現代と同じく庶民が紅葉を見て「きれいだね。来年も見に来ようね」などと会話していたと思うと、何だか嬉しくなってきませんか。 

四季の移り変わりのある日本で、風景の変化を愛でて楽しむこのような文化があることは、とても素晴らしいことです。

 後世まで残していきたいものです。

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