時間ばかりかかってなかなか覚えられない人は、やり方を誤解している
よく見かけますが、時間をかけ暗記をしようとして一生懸命ノートに書いて、それを繰り返している生徒がいます。
そんな生徒に、そこに書いてあることを覚えているか2、3聞いてみます。
驚いたことに半分も答えられません。
今書いていたところなのにです。
大変びっくりしますが、実はこれは特別な例ではありません。
私は別にその生徒の頭が悪いというのではないと思います。
そういう生徒も、何か約束事を口頭で言ってもしっかり覚えていますし、時には私が話したことが誤っていた場合に即座に指摘したりできるからです。
おそらく「覚える」ということが全く分かっていないのだと思います。
「覚える」ということは「作業」ではない
一番多い誤解が、たくさん書いて見てさえいれば自然に覚えられるという誤解です。
そういう誤解を持つと、書き上げた時点で勉強が終わりになります。
当然何も頭には入っていません。肝心の情報を頭脳に記憶させるということが実質行われていないからです。
書いて見てはいますが、単に「作業」をして「風景のように」見ているだけなのです。
そして本人はなぜ覚えられないかに気づきません。
一生懸命書いて量をこなしているだけに「勉強してもできるようにならない」と言って嘆いてしまいます。
印象づけなど自分の定着パターンを多く持つことが大切
何かびっくりした経験があると、人は必ずそれを覚えています。
たとえば道を歩いていてAというビルの前に差し掛かったとき、Aのビルの中からなぜか中からイノシシが飛びだしてきたとします。そのイノシシは「1」という番号のゼッケンをつけていました。
びっくりしてよけたあなたは、おそらく「Aというビルで1番のゼッケンのイノシシが出てきた」という出来事を何年も覚えていることでしょう。そんな変な出来事はなくとても印象に残るからです。
そして理由もわかれば笑い話としてずっとネタにして人に話すかもしれません。
そしてこのことは詳しく他人に説明ができます。おそらく小学校の低学年でもできるでしょう。
ではあなたは、「Aというビル」「飛びだしてきたのがイノシシ」「イノシシの背中に1番のゼッケン」「ビルから出てきた」などという事実を覚えようとしたでしょうか?
答えはノーですね。
印象づければ、暗記は最小限でできるというのはこういうことから言われているのだと思います。
方法は非常にたくさんあります
今回は1つずつ触れませんが、印象づけで覚える方法はたくさんあります。またそれ以外にも覚えるための定着法はいくつもあります。
これについては後日また別の稿で述べたいと思います。
今回お伝えしたいのは、「覚える」という意識を持たないと自然に覚えられないことは多いということです。
だから「作業」を「覚えること」と誤解している人はすぐにやめた方がよいです。
私はやり方の悪い生徒には、「100回書いて覚えないより1回書いて覚えればその方がいいに決まっている」と話すことがあります。
こういう考え方を知ることが、「覚えること」が目的なのだという意識を持つ手助けになります。
勉強は時間を少なくして合理的に行う、それが一番良いのですが、今の絶対評価の学校では、「作業」や「やっているという実績」がとても高く評価されすぎているため、残念ながらピントがずれてしまっているところがあるように思います。
生徒のためには、たとえば昔の落語の稽古のように、師匠が話してそれを聞いていて、すぐに話をさせて、できなければ叱られるというような方法が実は合理的なのかもしれません。
そこでは「覚えているかどうか」だけがシビアに問題にされるから、弟子は覚えることのみにすべてを集中できるからです。
今後も皆さんのお役にたつ情報をアップしていきます。