【中学理科のコツ】下ごしらえが必要な公式を料理する

料理には下ごしらえが重要

 私は今はあまり自分では料理をせず食べる役専門ですが、若いころは結構自分で料理をしたこともありました。

 美味しい料理を作るのには準備が重要ですね。下ごしらえがしっかりしていると、やはりおいしさも格別なものになってきます。

 公式を使って計算問題を解くときに、その公式に入れるパーツを準備することは、料理の下ごしらえのようなものです。

しっかり準備すれば、あとは自動的に計算で正しい答えがでます。

しかし、何となくあやふやなまま数値を入れれば、100%の確率で間違いになります。

 生徒が計算問題がなかなか得意にならないのは、この「何となく」数値を入れてしまうという行動の結果だと思います。これを変えていく必要があります。

公式を覚えるだけで終わりではない

 前回は中学前半で出てくる単純な公式を苦手にしている方のための対策を書きました。http://wizzseiun.com/2019/11/27/formula/

今日もその続きを書きたいと思います。

 たとえば圧力を求める公式は、

圧力 Pa(パスカル)=

 面に垂直にはたらく力(N・ニュートン)/力がはたらく面積(m

で求められます。

 まずここでは、分子のNをきちんと入力できないといけません。地球上で100gの物体に働く重力の大きさが約1Nとされるので、300gの物体なら3Nを入れます。

 しかし簡単なこの入力でも、1400gだとすでに間違える生徒が出始めます。14 Nでなく140Nと書いたりします。

 さらに15㎏などと書いてあると、半分くらいの生徒が間違えることさえあります。15㎏をまず15000gにできない生徒もいれば、15000gを15Nにしてしまう生徒もいるといった有様です。

 だから実際には分子を入れる段階で相当の生徒が答えを出せないのです。

 小学校で学習する㎏をgに変換する学習を忘れてしまっている生徒は意外にも多くいます。だから分子を考える段階でまずこの点の復習が必要になることもあります。

 そういう状況の生徒にとっては、公式を覚えれば答えが出るなんてとんでもない高度な話なのです。

次は面積の復習です

 分子が何とか入ったとして、次に分母の面積で更に困難が待ち受けます。mで数値を入れなくてはいけないからです。

面積計算が苦手な生徒にとって、小数になる単位の変換は天敵です。

ここでの面積を求める面が、たとえば縦30㎝、横20cmの面だったとしましょう。

 まず、普通に30×20=600と書いて間違える生徒がたくさんいます。

cmのままではだめですね。

 次に、30㎝をどうしてもmにできない生徒が結構います。

0.3mということを思い出すまで、mとcmの換算をもう一度確認します。

 この関門を通過しても、0.3×0.2の答えが正しく出せない生徒もいます。0.6となっていたり時にはなぜか0.5などという答えも出現します。

 ようやく0.06を出せて分母にmとして記入できる生徒はごく小数です。

その次には、更に先ほど分子に入れた3Nと0.06の計算が待っています。「分母が小数になってしまった。どうしよう」という話になります。

 分母と分子を100倍してそれから約分するか、あるいは、3÷0.06の計算をすればいいのですが、まずアドバイスなしにできる生徒はあまり見かけません。

 面積の記入については計算してからmに換算することもできますが、いずれにしても単位の換算がしっかりできない生徒には、大変困難な作業です。

下ごしらえの勉強時間を公式の学習に組み込む必要性

 このように単に圧力の公式と言っても、そのパーツを入力するためには、その前提になる知識が小学校の復習の学習内容で相当含まれていますので、これをもう一度しっかり学習し直す必要があります。

 ところが、理科1年1分野の教科書を見ていただくとわかりますが、非常に内容量があります。だから圧力の計算の学習に割ける時間は本当に一瞬です。

 学校の先生の中にはこの単位計算の重要性に気づいて、専用のプリントを作って生徒に繰り返し教えている方も結構いますが、何にしても時間がありませんね。これはカリキュラムに問題があると思います。

 他方、圧力を含む力の単元すべてを2時間くらいでスッと通過して、テストにはしっかり計算問題で出題するという先生もいます。

小学校で習ったことは自分でしっかり復習しておくのが当たり前と思っているのでしょう。まあ、理想はそうなんですがね…。

 このように学校の授業はただスピーディーに進んでいくだけですので、本当にこの公式をマスターしたい場合は、小学校でやったkgとg、mとcmの換算で小数で答えなくてはならないもの、面積のmとcm の換算をもう一度しっかり復習するしかありません。

 私の感覚では単位の換算の復習だけで、標準的な実力の生徒でも学校で最低2時間程度の授業が必要だと思います。

 公式を習って覚えたのに「何かいつも間違えるな。なぜだろう」と感じている場合には、その前提の学習内容をしっかり復習しないといつまでも間違いを続ける危険があります。

まさに下ごしらえが重要なのです。

 圧力の公式は言って見れば、下ごしらえに大変時間がかかる料理のようなものです。

 皆さん、準備にはしっかり時間をかけましょう。

今後も皆さんのお役にたつ情報をアップしていきます。

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