【暗記のコツ】どこまでも伸ばせる「連想の鎖」とは?

記憶と連想は関係が深い

 以前、暗記をするのには記憶をグループにして、それぞれを単独でなく、つながりを持ったものとして覚えると効果がある話を書きました。http://wizzseiun.com/2019/11/24/remember/

 また、具体的に連想でつながりを作っていく方法についても書きました。http://wizzseiun.com/2019/11/25/remember2/

 今回は、さらにこの「連想」というものが広がると、記憶のつながりが、いかにスムーズに広がっていくかについてお伝えします。

 記憶というものは、そもそも連想ということとかなり関係が深いように思います。

 脳のどの部分で記憶をするのかは、専門家ではないのでわかりませんが、実際には記憶は一つのまとまった情報ではなく、断片的に点在する形で脳に入っているという話を聞いたことがあります。

 だから、記憶をよみがえらせる時点ですでに「自分なりの解釈」を加えて情報にしているといえるのだそうです。

 だから、その際にそれぞれの情報につながりを持たせるのが、連想なのだと思います。

誤った記憶は意外に単独の記憶が多い

 自信をもって「あの時こうだった」と断言した記憶が、実は全然違っていたなんて経験はないでしょうか?

 こんなことがありました。

 私が卒業した小学校で、バックネットの裏の木の下にちょっとしたスペースがありました。

私の記憶では、卒業するときにそこにタイムカプセルを埋めたことになっていました。

その中には、皆が20歳になったときに読むための作文を、各人がそれぞれ入れたものと思いこんでいました。

 確かにそういう記憶がありました。

 ところが、20歳になって成人式の後で私がその話をすると、大半の同級生は「知らない」というのです。

 この話の面白いところは、私が言い出すと全員が否定するのではなく、3分の1くらいの同級生が「そういえば埋めた」「いや絶対埋めた」ということを主張し始めたところです。

 しかし3分の2の同級生は、そんな記憶は全くありませんでした。

 信じ切っていた私は、心の底から驚きました。成人式の後で皆でそれを掘り起こすのが、私の中では完全に予定されていたイベントになっていたからです。

 結局、当時の先生にも確認して、そういう事実は実は全くなかったという結論になりました。

 私はまだ信じられませんでしたが、まさか1人で小学校に行って掘り起こすわけにもいきませんので、あきらめてしまいました。

 しかし後で考えると、これはたぶん私の記憶が誤っていたのではないかと思います。

おそらくドラマか何かのシーンが、自分の記憶に混ざってしまっていたのではないかと思います。

 はるか昔のことなので、どの同級生も「そういわれれば」という感じで、実際はっきりした記憶など皆なかったに違いありません。

 このように記憶は実にあいまいなものです。

 しかしここで1つ気がつくことは、「タイムカプセルを埋めた」という記憶が、単独の記憶であることです。

 もし、「先生が授業の時に」「生徒全員に道具を持たせて」「タイムカプセルを埋める指示をした」「本当は理科の授業だったが、卒業前なのでこの作業になった」「校長先生が見に来た」といったような周辺情報が一緒にあれば、おそらく忘れない記憶になっていた気がします。

 しかしよく考えてみると、タイムカプセルとその中に入っている作文しか、私の記憶の中にはなかったのです。

 本来なら上記のような周辺情報があったはずですが、そんな情景は一つも浮かびませんでした。

 だからこのことこそが、これが誤った記憶であったという証拠であるような気がします。

記憶をつなげる連想

 逆に言うと、周辺の情景や人の言動などが一緒に情報として詰まっていれば、記憶は後に残りやすいということが言えると思います。

 たとえば大人の人が、自分の中学の修学旅行の朝ごはんが何だったかそれ自体を単独で思い出せる人は、ほぼいないでしょう。

 しかし、友人のA君が「納豆を食べたことがない」といって大騒ぎしたという思い出、「納豆だけで食べられない」といってご飯にそれをかけてうれしそうに食べたB君の笑顔という印象に残る記憶があれば、納豆が朝食に出たという出来事は、何十年経っても軽々と思い出せると思います。

 連想が重要なのです。

 歴史の学習で言えばこんな感じです。

以下は、連想ゲームだと思ってお読みください。

 銀閣ー書院造ー足利義政8代将軍ー他の代は?-3代が有名ー足利義満ー何をした?ー金閣ー勘合貿易ーなぜ?ー倭寇対策ー倭寇って?ー日本人の海賊ー似たようなものがあったな?ー元寇ー何時代?-鎌倉時代ー元が攻めてきたー台風で助かったー北条時宗ー執権制度ー鎌倉で有名な将軍は誰?-源頼朝ー何か合言葉があったぞ!ー「いざ鎌倉」-「御恩と奉公」-将軍と御家人ー御家人=武士の始まりは何だった?-藤原純友・瀬戸内海で乱ー平将門・北関東で乱ーその後平家の流れは?ー平清盛ーおごる平家ーでも源氏に滅ぼされたなー壇ノ浦の戦いー源義経ー奥州藤原氏ー藤原氏と言えば?ー一番有名なのは藤原道長・頼通ー摂関政治ー何時代?-平安時代ー文化は?-国風文化ー寝殿造ーそういえば鎌倉時代の文化は?-鎌倉文化ー東大寺南大門金剛力士像あたりー室町時代の文化は何だった?-北山文化・金閣ー東山文化は?-銀閣(最初に戻りました)

といった具合でしょうか。

 これだと、室町時代ー鎌倉時代ー平安時代ー室町時代とぐるっと一回りして、結構な内容が頭に入っている状態です。

 これが自分の頭に入っていれば、途中のどこを切っても、そこから連想でさらにいろいろな細かい情報をつなげておけば、非常に役に立つ形でいつでも引き出すことができます。

 記憶力のいい人の頭の中はおそらくこういう鎖がいっぱい行き交っていて、大きなまとまりは、それぞれ記憶の「箱」に入っているのではないかと思います。

 別名「記憶の引き出し」という表現もされますね。

 もちろんこのような「連想の鎖」がすべてを網羅しているわけではないし、連想のやり方も結構自分の独断で飛躍もあったりしますが、むしろそれがいいのです。

 暗記をする際にテキストにある情報をそのまま脳にインプットするのは機械ではない人間には合ったやり方ではありません。

 バラバラな項目を「自分の頭で考えたつながりの鎖」でくっつけておくというのが、記憶をしっかりのこしておくコツといえるからです。

 だから、教科書に書いてあることをそのままノートに写して覚える方法は明らかに遠回りです。

 書いてあることを自分の頭の中に入るように、記憶のまとまりを自分の視点で整理して、なるべく相互につなげてインプットすることがポイントだと思います。

 具体的に言うと、似た言葉や比較しやすい言葉、同一系列の概念などをつなげていくのが最もオーソドックスです。

 たとえば、8代将軍と来たら、別の代の将軍を一覧してみるとか、

 国風文化と来たら、文化の名前を順に挙げて確認していくとか、

 銀閣と来たら、金閣、書院造と来たら寝殿造といった具合に連想を進めていき、さらに別時代の比較できる建造物を思い浮かべるとか、

 倭寇と来たら、元寇を連想するとか、

 いずれもごく当たり前に思うことばかりです。

 ところが、そこで連想先に進んでいかず、「ああ、そんな分類もあるのね」で止まってしまうため、記憶に残っていかないのだと思います。

連想することで関心が生じる

 人の脳というのは面白いもので、Aという情報単独では興味が持てないことも、Bと照合するだけで興味が持てたりします。

 たとえば、「日本一高い山の名前は富士山」という情報だけでは、「ああ、そうですか」となるかもしれませんが、

「では世界一高い山は?」と照合すると、少し面白くなります。

さらに「では日本一長い川は?」とか

「世界一深い海は?」とか照合するものを変えていけば、どんどん興味がわいてきます。

こういうのをつなげるだけで、1つのクイズ番組ができてしまいますね。

 勉強に興味がある子どもたちは、決まってこういう問答が大好きです。

そうであれば、こういう連想を楽しみ、同時にそのままつなげてしまって、自分の頭に入れていってはどうでしょうか?

 実は暗記力育成のガキはこんなところにあるのだと思います。

「記憶の良い人には「記憶力」という何か特別な力が備わっているように見えますが、実際は「記憶のやり方」をよく知っている人であるだけだと私は考えています。

 だとしたら、自分は記憶が悪いなと思っている人にも、まだ大きなチャンスがあると思いませんか?

 今後も皆さまのお役に立つ情報をアップしていきます。

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