【時間感覚】時計を見ないと時間がゆっくり過ぎる?

ラストあと10分しかない。どうしよう

 テストや模試で、正解を出せるのにそれをやる時間が足りないという時間不足に陥ったことのある人は、たくさんいると思います。

 「ラストあと10分しかない。どうしよう」という状態です。

 そんなとき受験生にはどんな手があるでしょうか?

 時間については主観的な時間というものがあり、掘り下げていくと非常に面白いので、それについてはまた稿を改めたいと思いますが、今回は試験というものの中での時間がテーマです。

集中と時間感覚

 試験の際の時間は実に面白いものです。

 集中して問題を解けている時には、意外に時間はゆっくり流れるように感じます。

大変複雑な問題なので、「これは時間がかかるぞ」と思っていて、解き終わって時計を見たら、案外時間が経っていないということはよくあります。

 逆に時間不足に陥ってパニックになったときには、時間がびっくりするほど速くなったように感じることがあります。

 問題を急いで解こうと思いますが、時計ばかり気になって上滑りになり、何回読んでも問題文が頭に入ってこなかったりします。

「無情にも時間は過ぎ去り…」という感じでしょうか。

本当に時間が足りないときに選択すべき一番正しい方法とは?

 私が昔、旧司法試験を受験していたころ、択一試験はかなり得意でこれには合格をすることが多かったのですが、この択一試験が時間と精神力の戦いのような試験でした。

今でも思い出すのがつらい試験です。

 当時の試験(今の新司法試験とは異なります) は3時間半ぶっ続けの試験で、憲法民法刑法3科目20問・計60問の1日勝負の試験でした。

 例年事務処理量が半端ない問題が出題されるのですが、ある年、桁違いの量の年がありました。試験会場で、「これはとても時間が足りるはずがない」と思いました。

 一緒に受験していた人の大半が、3科目中2科目を終わった時点で時計を見て不合格を確信したと言っていました。

 合計210分の試験ですが、当時は憲法と刑法の事務処理量が多く、最後の1科目(解く順番は人により異なります)を残した時点での、まわりの人に聞いた平均残り時間はたしか50分くらいだったと記憶しています。

 私は45分くらいでした。

単純に考えて210÷3=70分ですから、1科目70分必要です。

50分でも45分でもすべて解くのは到底無理です。

 それでどうなったかと言いますと、

 実は、時間が足りなかった受験仲間のほとんどが択一は合格しました。

 その時に話をした合格した人全員がほぼ同じことを言っていたのが、今でも大変印象に残っているので、今回それを書こうと思いました。

 それは、

「問題を解き残して、解ける問題だけ慎重に解いた」

ということです。

 私の記憶では、私は最後に解いた科目民法は20問のうち6問を解き残しました。

しかしこの年も択一に合格しました。

 民法は確か解いた問題で間違えたのが1~2問、解き残した問題のうち適当にマークして○になったものが2~3問あったような気がしますが、合計で15~16点はとれていたように思います。

 20-6=14なのに 15~16問正解したということになります。

 受験仲間の中には、ラスト科目は20問中16問しか解かずに16問正解という猛者もいました。

集中力が時間を操っているという感覚

  このことから学ぶべき教訓は、こういうことだと思います。

時間不足で本当に怖いのは、「上滑り」で問題を解くことにある。

落ち着いてペースを変えず集中して解けば、時間は必ず味方する。

抽象的ですが、集中力が高くなると「時間に追われる」のではなく「時間を操る」ような感覚を持つことができるように思います。

 だから一番良くないのは、「時間が足りないこと」ではなく「時間が足りないと感じて焦ること」なのです。

 同じ実力の土俵で勝負するような試験の場合(大学入試や国家試験)で

普通にやっているのに時間が足りないのは、出題者が時間が足りないことを想定して問題を作成しています。

 そんな時に相対的に落ち込まないために必要な事は、

 淡々と問題を解き、時間が無くなったらそこまでの内容で勝負するのだという割り切りと慎重さだと思います。

 試験会場での落ち着きということ以上に、受験生であるあなたに心強い味方はいません。

時間という魔物に大切な落ち着きという武器を奪われてはなりません。

 どうかこれから受験をする皆さんは、もし時間が足りなくなったときは、このことを思い出してみてください。

本当に他人と比べて解くのが遅い場合はまた別の対策が必要

 以上は普通に解くスピードがあるのに、出題や外部的な事情で時間が足りなくなった場合の話です。

元来丁寧すぎるとか決断に迷うとかで、他人と比べて解くのが遅い場合はまた別の話になります。

 こういう場合は、問題を残して勝負しても相対的に落ち込むことは当然出てきます。

時間対策をする必要があります。

 実はこういう受験生が、たぶんみんなやってしまっている自分では気づかない癖があります。

それは「一定時間問題に入り込んでしまって出てこない」という癖です。

 夢中で解いていて、思考をする間時間が過ぎていくことに自分が気づいていない状態です。

 これは最初に書いた、しっかり集中すると時間はゆっくり過ぎるという内容と一見矛盾するように聞こえます。

しかし良い集中が出来ている状態と、この「入り込んでしまう状態」は大きく異なると思います。

良い集中の条件は「リラックス」で

良い集中のもたらすものは「冷静」

だと思うのですが、

過剰に問題に「入り込んでいる」状況は、このどちらも満たしていないような気がするからです。

 では、そんな癖をどうやって直せばよいのでしょうか。

それには、試験会場で没入して問題を解く自分を見つめる、もう一人の自分と言えるような、

第三者的な客観的感覚を作るということが必要だと思います。

 抽象的な言い方になってしまいますが、

「入り込んでいる」ということに気づきストップをかける自分です。

 そして時間がかかりすぎる人を観察をしていると、時計をほとんど見ない人が多いように思います。

 だから時計を見つつ解答をしていけるよう、普段の学習時に時間をある程度決めて、

「この時刻までにこれだけやる」

というようなノルマを自分で課すようにすると良いと思います。

 そういう練習を重ねていると、次第に「ストップをかける自分」を持つことができるようになれます。

 だからと言ってすぐスピードが劇的に変わるわけではないと思いますが、長期的には一番効果がある方法です。

やってみると良いですよ。

今後も皆さんのお役に立つ情報をアップしてまいります。

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