【受験というもの】合格・不合格は出発点

高校入試制度は場所により相当違う

 公立の高校入試の合格発表が行われて、進路が決まっていく時期を迎えています。

 中学受験などをしていない生徒にとっては、高校受験が初めての大きな岐路になります。

 試験である以上合否は当然あるのですが、弱冠中学3年生の子どもが、不合格の結果を平然と受け入れられるはずもありません。

 さらに公立高校の受験制度は住む県によってもだいぶ異なっています。

 私が代表を務める青雲学院には5つの教室がありますが、その2つは静岡県にあります。

 静岡県では全日制の公立高校は国立を除けば1校のみ受験できます。私立高校受験も受験は1校となっています。

 県の統一の学力調査が行われるため、中学校の先生も進路指導がしやすく、受験者や保護者もかなり情報がある中対策を考えることができます。

さらに私たちの塾での情報もありますので、指針を設定しやすいと思います。

 青雲学院が静岡県に最初の教室を設けたのは10年前ですが、2教室ともに第1志望校合格率はずっと100%です。

 これは難関校受験も含めての数字ですので、データを取った訳ではありませんが、比較的受験対策を立てやすい県であることは言えるのではないかと思います。

複合選抜制度

 これと異なり、お隣の愛知県はずっと複合選抜制度というものを採用しています。学校群制度というものを設けて、公立高校を複数受験できる制度です。

 さらに私立高校の受験も3日程で行われ、最大3校受験できることになっています。

 受験生は理論上はこの制度の中で、最大で公立2校私立3校、更に国立を受験すればもう1校まで受験できることになります。

 もちろんそんなにたくさんの学校を受験をすることはなかなかありませんが、静岡県とは制度がだいぶ違います。

県の統一の学力調査もありません。

 複数受験できるので安心に違いないと考える人が多いのですが、人間心理はそんなに単純でもありません。

 受験をする側の心理としては、1つしか受験できないという場合に比べて「チャレンジしてみよう」という気持ちがどうしても高くなります。

 そのことが良い事なのか悪い事なのかは判断自体することが無理だと思いますが、結果としてチャレンジ型の受験というものがかなり多くなっているのは事実です。

 そのため公立高校2校に不合格というようなことも割とあると聞きます。

 滑り止めの高校があるので大丈夫と思われるかもしれませんが、当人にとっても保護者にとっても、実際に不合格になるというのは気持ちの上ではかなり厳しい面があるのは否定できません。

 青雲学院では、全5教室のトータルの実績として、ここ6年間中5カ年が第1志望校合格率は90%以上(うち2年は97%以上)という結果を残すことができました。

今年も95%でした。

 ただこのような数字を出しているといっても、第1志望に行けない生徒はいるわけです。

 受験の結果は第一には本人の学習がその理由ではありますが、住んでいる県で、制度がこれだけ違うのもどうかなと思わずにはいられません。

 過去には公立では埼玉・三重などでの越境受験者を合格させたことがありますが、やはりそれぞれの県で大きく制度は違いました。

 そして意外に自分の住んでいる県の高校入試が特殊であることを保護者の方は知らなかったりします。

受験を取り巻く環境には運もある。だから…

 ここから書くことは、残念ながら今回受験で不合格になったすべての人にお読みいただきたい内容です。

 保護者の方は、ここからのくだりはぜひ受験をされたご本人に読んでもらってください。

 受験というものは万能の制度ではなく、人生の一時において条件を絞り込み、その中で受験生を競わせるというものに過ぎません。

 上記のように、ただ県境をまたいだだけで受験制度や県が受験に関与してくれる割合も全然異なります。

 たまたま学校群や受験日程の関係で、組み合わせから第1志望とはかけ離れた第2志望校に通うことになる場合もあります。

 親が通っていたころはわりと合格しやすかったのに、時代が変わって難関になってしまったり、

 兄弟が通っているのに、たまたまその年だけ倍率が急に高くなって合格が難しくなったり、

 少なくとも受験を取り巻く環境には運もあると思います。

 そして受験というたった1日のことで、受験生の全てを評価できるはずもありません。

 そこには、単にその日の試験問題で合格点を取れなかったという事実しかありません。

 ひょっとして翌日に別の問題でやれば結果は違ったかも知れません。

 何が言いたいかというと、

「合格・不合格は始まりに過ぎない」ということです。

 合格をして「もう勉強はいいや」と思って、高校で赤点を取ってしまう生徒もいます。

 逆に合格が嬉しくて、どんどん勉強の楽しさを知り中学の時とは別人のようになる生徒もいます。

 同様に不合格になった場合にも、自分の通う学校のことを好きになれなくてやめてしまう生徒もいますが、

 逆に第2志望の学校のため、入学後いきなり優秀な成績を取って、意欲が増して勉強に邁進する生徒も見かけます。

 私は長い間受験というものに関わってきましたが、受験の結果の意味というものは、出された結果を自分が次のステップにどう生かすかで180度変わってくるものだと思っています。

 すべては自分の考え方、将来へ向けてどのように生きていくのかという展望次第だと思います。

 受験で決まることは、

単に自分が通う学校がどこになるかということだけです。

自分の未来は、

そんなことだけでは変わりません。

自分が変えようとした時にだけ

未来は変わるのです。

 これまでしてきた学習上の努力は白紙になることはありません。

 受験というものは結果で判別されるものですから、80点が合格、79点が不合格であれば、1点足りないだけで天と地の差があると考えてしまいがちですが、実力差はわずか1点です。

79点の実力を不合格者は持っているのです。不合格の瞬間から0になったわけではありません。

「ではその力をどこで生かせるの?」という疑問を持つ人も多いと思いますが、実は必ず生かせる時がやってくるものです。

 学習生活を終了させてしまうなら別ですが、進学を考えていれば次の関門(大学入試や専門学校入試)で蓄えていた力を生かせます。さらに国家試験や就職試験などその次の関門もあります。

いくらでもチャンスはあります。

 前にも書きましたが、高校受験で第2志望校に進学した生徒が、最上位の成績を取り指定校推薦をもらって、第1志望校に進学していてもおそらくなかなか行けなかった大学へ進学した例なども結構あるのです。

 受験の失敗は、想像している以上にその生徒をより強くさせてくれることが多いのだと思います。

合格した先にあるもの

  不合格になった人への話が多くなりましたが、もちろん合格した生徒にとっても合格は始まりです。

 新しい環境で自分をどこまで伸ばしていけるか、今はスタートラインに立ったばかりです。

受験に全力を注ぎこんで合格をした生徒の中には、燃え尽きたようになってしまう生徒が時にいます。

 高校に入っても、「一休みかな」と思ってペースを落としていると、いつの間にか勉強がわからなくなってしまうということもあります。

 特に推薦で合格をした生徒については、入試の制度にもよりますが、学科の得点で合格をしているわけではない場合が多いので、油断をしないようにしなくてはいけません。

 今の中学の内申評定のシステムでは、得点力=評定ではないので、自分が中学で高く評価されたとしても高校で学習についていけるかどうかは未知数です。

 多くの方が誤解をしていますが、

「高校に入って勉強についていけない」という事態は、

内申が足りなくて合否ぎりぎりで合格した生徒には、そんなに生じません。

内申が足りないのに合格できる得点力があったからです。

 むしろ内申がとても高かったけれど、得点が取れなかった生徒に起こる場合があります。

推薦の場合は、得点はわからないままである上に得点力とは別の要素で合格している場合もあるので、なお安心はできません。

 高校では授業スピードやボリュームが急に変わります。

最初が肝心というのはいろんなところで言われることです。一段落したら、新しい勉強のことをしっかり考えていかなくてはなりません。

 高校へ進学するときには、部活をどうするとか友達はどうかとかなどをまず考えている人はとても多いのですが、一番最初に考えなくてはいけないことは、何といっても勉強のことです。

 いずれにしても、合格・不合格は本当に通過点に過ぎず、そこが新たな出発点になります。

「あのとき合格して良かった」

「あのときの不合格があって今の私がある」

どちらの未来も素晴らしい未来だと私は思います。

合格発表が終わったこの時期ですので、今回は普段と異なり、後半は特に受験生の方へ向けて書いてみました。 

今後も皆さんのお役に立つ考え方をアップしてまいります。

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