変化球が来るのに直球しか来ないと信じているバッター
野球の練習で直球だけでなく変化球の打ち方も練習している選手が、試合になるとなぜか「直球しか来ない」と信じてバットをただ振り回したらどうなるでしょうか。
相手にとってまさに思う壺ですね。
直球を上手く散らしておいて、要所で変化球でストライクを取れば面白いくらい三振が取れるでしょう。
それを見ている観客は
「なぜ変化球を打たないのか」
と疑問に思うことでしょう。
変化球もあると思いつつ、直球にヤマを張るというのとは違い、やみくもにただバットを振り回しても上手く行くはずはありません。
問題文をきちんと読んで解答しない生徒
どうですか?ずいぶんダメなバッターだと思われたのではないでしょうか。
しかし実は私たちが指導をしていて、非常によく目にする生徒のタイプが、このバッターのようなことをやっているのです。
例を挙げて説明します。
テストの際に自分では「やった。これだ」と確信して答えたのに不正解になり首をかしげている生徒がいます。
もちろん間違いには理由がありますが、本人には一向にその理由がわかりません。
たとえば、
「三国干渉について、日本の置かれた状況に触れつつ簡単に説明しなさい」
という問題に
「日本に対してフランス、ロシア、ドイツが○○という点で干渉した」
というような解答をしても、「日本の置かれた状況」に触れていないため×になります 。
「日清戦争の勝利」により台頭した日本に対して「帝国主義」が主流の当時の世界において「列強」が危惧を抱いて干渉を行った
という面の内容が解答として必要になります。
本人は3つの国名をしっかり書いたし、干渉した内容もしっかり書いたからマルがもらえると信じています。
しかし出題者の聞きたいことを見事に外してしまっています。
またこのような高度な例でなく、もっと簡単な例で「抜き出しなさい」と「まとめなさい」の違いを無視して解答をしていたり、
「一文をさがし」と「部分を書きなさい」では答えは違ってくるのに、全く気をつけて解答をしていなかったりする生徒は後を絶ちません。
そういうことを一切お構いなしに自分の書きたいことを書いている生徒の多いことに、指導をしていて驚くことがあります。
どうしてこんな解答をするのでしょうか。
問題文の指示を読み飛ばす生徒の心情
このようなタイプの生徒が、問題文の指示を読み飛ばしたり無視するのには大きな理由があります。
それは問題文の要求水準を誤ってとらえているということです。
このタイプの間違いをする生徒は、問題というものはクイズ大会と同じで、聞かれたことの答えを見つけてそれをすぐ知らせればよいと考えているのです。
クイズの場合、正解を探す⇒答えを早く見つける⇒とにかく答えを言うという手順がとられますが、答えを言うとき「言い方」はあまり問題になりません。
だからクイズのように問題をとらえている生徒は、「解答の仕方」の部分はどうでもいいと考えてしまっているのです。
要は問題文の要求は、正解箇所を探す、あるいは正解内容を大雑把に表現するというレベルまでだと勘違いしています。
この意識がある限り、同様のミスはずっと続いてしまうことでしょう。
問題文の内容だけでなく形式をよく読むようにする
この場合の対策としては、問題文の指示を隅々まで読んで正しい内容を答えるだけでなく、指示に形式的に合った答え方をするという当たり前のことを行うしかありません。
具体的には特別指示の部分、上記の例で言えば「 日本の置かれた状況に触れつつ 」「抜き出しなさい」「まとめなさい」「一文をさがし」「部分を書きなさい」 などにアンダーラインを引いてミスを防ぐと良いと思います。
ただ、一番重要なのは意識です。
「出題者はそんな大雑把なことを聞いているのではない」ということに気づくことが、実は圧倒的に重要です。
そのことに気づきさえすれば、自然と注意をするようになるのです。
このような間違いを繰り返している生徒は、冒頭で書いた、変化球を投げる投手に対していつも直球が来ると思ってバットを振り回しているバッターと同じ状態です。
ボールをよく見ているかどうか以前の問題であることが実際は多いように感じます。
簡単に言えば、相手は変化球を投げてくると思っていないのです。
直球だけのバッティングセンターだと誤解していると言ってもいいでしょう。
だから、実戦では相手が変化球を投げてくることがあると気づくのが、まず対策の第一歩となるのだと思います。
変化球を打つ練習はしているのですから、このことに気づけば思ったより早く改善できるのがこのタイプの間違いなのです。
今後も皆様のお役にたつ情報をアップしていきます。