結論がはっきりしない答弁
よく国会答弁などを見ていると、大臣に代わって事務方の官僚が出てきて答弁をしていることがあります。
でも大体は「イエスかノーか」「要はどうなの?」と言いたくなるようなはっきりしない内容の場合が多いです。
「間違いを回答することはできない」
「正確な回答をしなくてはならない」
という趣旨から、あのような答弁になるのだと思いますが、聞いていてストレスがたまります。
たとえばこんな感じです。
「ご指摘のありましたAという薬品の副作用につきましては、調査の結果そのような兆候がある場合もあるものの、同一条件下でかような症状が表れることの有意性が高いものとまでは言えないとの意見もございまして、現在調査中でございます」
「この兆候がどのくらいの確率で表れるものかどうかは、今後更に多くの症例を確認して見ないと何とも言えないものでして・・・」
言っていることはおそらく正確なのでしょうが、正確であればあるほど情報伝達力は弱くなっているような気がします。
科学者の正確な説明
科学者の説明も同じで、より正確に説明しようとすればするほど白黒はっきりしない説明になっているのをよく見かけます。
これもやむを得ないことで、
正確な説明というのは
「原則はこうである」
「例外がある」
「その例外にも再例外がある」
ということをそのまま伝えるということですから、それはわかりにくい話になって当然なのです。
聞き手の求めているもの
でも、このようなやむを得ない場合ではない通常の場合には
聞き手は完全に正確なことを聞きたいとは思っていません。
それよりも、情報をわかりやすく伝えてもらいたいと思っているものです。
教師の説明も同じで、教科書を読んでいるだけのような説明を聞いても生徒には全く響きません。
上記と反対の
「要はどういうことか」
がずばり頭に入ってくるような説明を求めています。
たとえば「三人称単数のs」の授業をするときに、最初の説明で、不正確なことを言いたくなくて
「sだけでなくes の場合やyをiに変えてesの場合もある」ということを先に細かく説明することは確かに正確ですが、
要は「どんな時にsがつくの?」を知りたいときに「そんな次のステップの知識を細かく言われても」となってしまいます。
わかりやすい話の条件として
「単純化」というのがありますが、一度に細かいことまで説明するのはそれと反対のことになってしまっていますね。
話をつまらなくさせるたった1つの制約
上記の話には実はすべて共通点があります。
それは「正確に話さなくてはいけない」という制約があると話が伝わりにくくなるということです。
書かれた文章の場合と比べて口頭の場合は、そんなに一度に大量の情報を受け取ることができません。
聞き手のことを考えれば、
「正確な情報を間違いなく伝える」ということも確かに重要ですが、
「相手に情報をわかりやすく伝える」ということの方がまず優先される場面が多いと思います。
だから、表現をするときにはTPOを考えて、
正しい情報を伝えるのが一番の趣旨なのか、
わかりやすい方がいいのかをよく考えて話し方を考える必要があると思います。
通常は、
①まず「要はどういうことか」を聞き
②その後で「詳しくはどうなっているのか」を聞きたいものです。
だから最初の①のステップでは「わかりやすさ」を考えて話すことがよいのではないかと思います。
そこで細かい話を持ち出すと
多くの場合聞き手は話自体を聞いてくれないかもしれません。
今後も皆さんのお役に立つ情報をアップしていきます。
初めに結論ありきですね。しかも、分かりやすく簡潔で、もっと知りたいという気持ちが湧き上がるような終わり方が、自分にできればと思いました。心がけたいと思いました。ありがとうございました。
コメントありがとうございます。
聞き手の側になると良くわかるのですが、話し手側になると気づかないことはたくさんあるように思います。
立場を変えて考えて見るのがコツかもしれませんね。