漢字を「何となく」で書けるのはなぜか?
日本では皆が小学校で漢字を習い始めます。
なかなか漢字を書けない生徒や苦手な生徒はいますが、
「じゃあ全然書けないのか」と言えば、そうでもありません。
英単語が書けないのとは比べ物にならない位、「ある程度」は書けるのです。
過去にも何回か記事を書きましたが、これには理由があります。
たとえば
「門」という漢字を覚えるとします。
まず門は象形文字なので、門の形を実際に文字にしたような形が漢字になっていますから
覚える生徒は、文字の形からぱっとイメージを浮かべることができます。
そして覚える場合も、
「門の上の両側に日があるなあ」と言う具合に、覚えるポイントを一目で気づくことが可能です。
つまり特徴があって、かつ具体的なのです。
だから、何回か書いているうちに時間がかかっても、いずれは自然に書けるようになります。
ビジュアルイメージ⇒印象付け⇒書けるようになる
そんな流れが実際に可能だと言えます。
「何となく」漢字をかけるようになるのは、これが理由です。
「何となく」では書けない英単語
これに対して英単語は、「何となく」では決して書けません。
例えば favarite (大好きな)という単語を
ビジュアルのイメージだけで覚えようとしても上手くいきません。
小学校で漢字が上手く覚えられた生徒は、同じやり方で中学でも英単語を覚えられると思って、同じように
「よく見て」
「確認して」
「何回も書いて」
「さあ書けるだろう」と思って、
実際に書いてみると
びっくりするほど書けなくて、ショックを受けることになります。
これはなぜでしょうか?
考えて見れば、これは当たり前の事なのです。
「門」という漢字のパーツは、上述したように一目見て忘れられないようなとても印象の強いものです。
というよりも漢字の構成パーツは、どれも印象的で覚えやすい形をしています。
象形文字ではなくて、記号的な要素の強い指事文字である「上」とかでも
「ああ、上に点がついてる」という風に、暗記の手立てがしっかりあります。
これに対して favorite の構成要素であるアルファベットはどうでしょうか?
f と t 、 a と o と e あたりは、
そもそも見た目も紛らわしく、それがこのように列をなしているだけの形で出てくるため
目で見た場合の印象は、著しく特徴がつかみにくくなります。
たとえば
tawonfe というつづり(任意文字列です)と
favorite というつづりが書いてあって
「さあどこが違うか言ってみて」と言われたとしても
「ええっと待ってください。v がwになっていて・・・」と言うような感じで
よくよく見なければ、判別さえなかなか難しいのではないでしょうか。
つまり「目で見るだけでは覚えられない」という事です。
音とつづりを結びつける
では、どうすればいいかと言えば
とにかく「音とつづりを結びつける」という事が重要です。
favarite (フェバリット)を覚えるときに
fa が「フェ」 vaが「バ」 riが「リ」 tが「ト」 eは「読まない」
と言った具合につなげて覚えれば
文字の塊が有機的に音という別のパーツとつながって、暗記する際の印象付けができるようになります。
ところが、実際に学校で英語を学習する際には壁があります。
「発音をカタカナで書くのはいけない」とか「フリガナ的に読みを覚えて行くのは間違っている」というような、英語学習の理論的な決まりからの制約をいつまでも続けていることです。
学校での英語教育は、文化面も含めて英語と言うものを知ってもらう必要があるために、あくまでもこういう事にこだわってしまいます。
それで結局生徒は「覚える」という一番最初にやらなくてはならないことが、いつまで経ってもできなくなります。
私は「フリガナ読み」も「カタカナ書き」も、それをすることでより早く単語を覚えるコツをマスターできるのならばやっていいと思っています。
「カタカナでは表現できない発音」や「フリガナにすると文字相互の対応で正確でないという問題が生じる」なんて細かいことは、とりあえず覚え方をマスターしてから順に説明すれば十分じゃないですか。
また、この英単語のつづりと音を結びつける学習はフォニックスと言って、海外の英語初等教育ではよく行われている学習ですが、
我が国の学校の英語は「会話を重視していこう」と言いながら、そういう方向へ学習過程を発展させることはせずに、
現場では、実際のところ相変わらず「英語が書けるかどうか」をかなり重視しているため
「何回も繰り返して単語を書く課題」を出し「回数をたくさんかけば評価が高い」というような間違った評価基準を未だに続けています。
たとえば
「oo ウ」「b ブゥ」「k クゥ」
「この音とアルファベットのパーツを組み合わせて意味のある単語を書け」
というような学習をさせれば
別に book を20回もノートに書かせなくても、
「ブック」の音を聞くだけで つづりがやがて浮かぶようになるはずなのに
こういうやり方が、どんどん生徒の合理的な英単語学習を阻害していると言っても過言ではないのです。
でも、このフォニックスを必ずしも系統的に学習する必要がある訳ではありません。
多くの英語を得意だった方がそうやっていたと思われますが、
favorite を何も「フェバリット」と言いながら覚える必要はないのです。
印象付けという観点からは、むしろ「ファボリテ」と言いながら書けばいいのです。
自製ローマ字型フォニックスとでも言いましょうか、そんな覚え方こそ役に立ちます。
お子さんがもし単語がどうしても書けないという状況にある場合には
一度突破口としてお試しください。
今後も皆さんのお役に立つ情報をアップしていきます。