【四字熟語で和の風景を】「花鳥風月」「山紫水明」「雪月風花」

自然を表現する言葉

 私たちはこの日本という、四季があり豊かな自然に囲まれた国で暮らしています。

そんな私たちの周りの自然や風景を

「わかりやすい言葉で、簡潔に表現できれば良いのに」と思う場面があります。

絵画や写真でなら、瞬時にその素晴らしさを表現できますが、「言葉では無理だろう」と思われるかも知れません。

「筆舌に尽くし難い」という言葉もありますから・・・。

でも、言葉も捨てたものではありません。

 熟語の中には、わずか数文字の漢字で美しいこの世界や自然を瞬時に切り取って伝える素晴らしい言葉があります。

 今回は、その言葉を見たり書いたりするだけで、その風景が脳裏に浮かびイメージできるような、そんな四字熟語をご紹介します。

花鳥風月

 花鳥風月(かちょうふうげつ)は天地自然が大変美しい様子を表した言葉です。世阿弥の『風姿花伝』の中にも出て来ます。

「花」「鳥」「風」「月」という4つの自然を象徴する語が、それぞれの世界を空想させてくれるとともに

花が咲き乱れる世界を、鳥が飛び爽やかな風が駆け抜ける。そしてその向こうに輝く月…

そんな情景を描くこともできます。

 そして空想は自由なのでイメージを膨らませると、桃源郷的な夢の世界のような風景を描くこともできるでしょう。

 この言葉にはさらに、そういう美しい自然を愛でて鑑賞する風流という意味もあります。

「花鳥風月を楽しむ」というような表現がされます。

山紫水明

山紫水明(さんしすいめい)は、山水(自然)の景色が清らかで美しい様子を表す言葉です。


「日光に照らされて山が紫に映え、流れる川は澄んで見える」

そんな情景を表しています。

 江戸時代の歴史家である頼山陽は、京都の鴨川沿いに私塾を開きましたが、そ個から見る京都の風景が大変美しかったので、「山紫水明処」と言う名を付けました。

 この言葉が「山紫水明」の語源になっています。

四字熟語としては珍しい国産の言葉です。

「山紫水明の地」というような使い方がされますが、

自然に囲まれ、特に山が静かに美しく輝く中、透き通った川のせせらぎが聞こえてきそうなイメージが湧いてきますね。

雪月風花

 雪月風花(せつげつふうか)は、四季ごとの美しい景色や自然の美にあふれた様子を示す言葉です。

この言葉は花鳥風月と同様、これを愛でる風流の心も表す言葉です。

冬の雪、秋の月、夏の風、春の花というアイテムを、季節ごとの美を象徴する言葉として挙げています。

「雪月風花を感じる」というような使い方をします。

冬から始まる言葉に、かえって寒さから次第に柔らかいイメージへと流れる感覚を感じて、そこにより深い美を感じてしまうと言ったら言い過ぎでしょうか。

なお「風花雪月」と言う言い方もあります。

和を感じる言葉

今回の「花鳥風月」「山紫水明」「雪月風花」は

日本の四季折々の風景の美しさと、山々や川などの素晴らしい自然を象徴するような言葉だと言えます。

 そしてこういう言葉を通して感じるのは「和」のスピリットです。

少なくとも、アメリカの大平原や雄大なヒマラヤ山脈というような大自然を

こういう言葉から連想することはありません。

日本、広く言ってもアジアの自然を連想させるような、そんな響きと質感を持った言葉です。

古来から日本人がこういう言葉を通して、自然を「言葉」として取り入れ

そういう作業を通して、和の精神を文化の中に育んできた歴史というものに思いを馳せる事は、

現代を生きる者にとってとても大切なことかも知れません。

 私たちは、自然と共存する文化をこれからも継承していきたいですね。

 今後も皆さんのお役に立つ情報をアップしていきます。

日本の自然と

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