現在完了形の意味がつかめない
中学英語で現在完了形を学習します。
その中でも「継続」のジャンルでは、まずその意味をつかんでいくのですが
英語と言うよりも、日本語での意味事態をうまくつかめない生徒がいます。
これは無理もないことで、
日本語では国文法で「過去」「現在」「未来」を表す時制の勉強を
英語のように大きな文法テーマとして分けて学習することがないため、
そもそもこれらの時制自体についてもピンとこないからです。
国語の場合は、助動詞の一種として「過去を表す『た』」というようなものが登場して、それをそのまま覚えることはあっても
「『過去形』の文章を作りましょう」というような学習は、国語の勉強では普通やりません。
過去形について語の用法を考えるのは、古典の学習をするようになってということが多いのではないかと思います。
ましてや「現在完了」なんてものを普段の生活で意識するということは、全くないでしょう。
だから、生徒たちの一部には
「何だ。それは?」と言うことで大いに知的好奇心をそそられる者もいますが
逆に「どういうこと?」と言って、いつまでも英語どころか国語的な意味のつかみができないままとなる生徒も多いのです。
「ずっと」の意味がわからない
現在完了形の中でも「継続」は時間的間隔のある概念で
たとえば
過去が 「3年前ロンドンにいた」
現在が 「今年はロンドンにいる」ならば
現在完了形継続は 「3年間ロンドンにいる」
そういう意味の用法です。
幅のある時間ずっとそれが続いていることを示すもので、そのことを頭に入れていくことがまず重要となります。
ここで日本語と言うものの言い回しが、英語のように1つだけではないことが大きな壁になることがあります。
たとえば、「3年間ロンドンにいる」という現在完了継続の表現も
英語では I have been in London for three years. という1つだけの表現になりますが
日本語であれば、ざっと見ただけでも
「3年間ロンドンにいる」
「3年間ずっとロンドンにいる」
「3年間ロンドンにいた」
という複数の表現が可能となります。
3番目の表現は、普通は過去完了継続の場合の表現になりますが
今ロンドンに住んでいる場合に、過去の一時点までと言うわけでなく、今までずっといることを表す場合にも使う人はいます。
それはさておき「ずっと」については、入れることも入れないこともOKと言うのが
生徒を混乱させます。
「いつも(always)」や「よく(often)」のような副詞は単語があるのに、「ずっと」は文全体の意味として当然のように出てくるのかがおかしいと感じたりするようです。
そこで私たちは、テストや問題解法のコツとして
「現在完了の継続が分かっている」と言うことを採点者にアピールするためにも「ずっと」は必ずつけておいた方が良い
そういうアドバイスをします。
でも、学校の先生も人によっては訳の言葉に「ずっと」を入れたり入れなかったりする(テストの模範解答を見るとわかります)ので
そういうことで簡単に生徒は混乱してしまいます。
几帳面に考える生徒ほど悩みます。
「『ずっと』をつけたら✕ですか」という質問をたくさん聞きます。
もちろん〇なのですが、こんなあいまいな所が生徒を英語嫌いにしてしまうのかもしれません。
英語と国語の違い
英語と国語では文法が微妙に違っていることや
このように日本語の言い回しが柔軟であり複数可能であることが
英語をわからなくしているとしたら、それは大変もったいないことです。
例えば日本語なら
「私はその山へ行った」という言い回しは、
「その山へ私は行った」「その山にぼくは行った」「その山に俺は行った」「僕はその山へ行った」etc・・・
たくさんの言い方があり語順も柔軟な部分がありますが
英語ではわずかに
I went to the mountain. という言い回しだけです。
倒置や強調はあるとしても、普通のいい方ならほぼこれ以外は通じません。
それが大きな違いです。
英語学習者も英語指導者もともに、この点の認識が甘い可能性があります。
英語自体がわからないというよりも、こういう英語と国語の違いについてよく意識することで、苦手がなくなってくる場合は
思ったより多くある気がします。
一度考えてみてもいいかもしれませんね。
今後も皆さんのお役に立つ情報をアップしていきます。