まちづくり
よく「わが町のまちづくり」などという表記を見かける方も多いと思いますが
「なぜ『町づくり』じゃないの?」
そんな疑問を抱く人もいるのではないかと思います。
「町」には平仮名の「まち」の他にも「街」という表記もありますね。
普段何気なく使っているこういう言葉の使い分けは、
イメージだけで使ってしまう場合も多いと思いますが、
一般的な使い分けの基準を一応知っておくと便利だと思います。
「まちづくり」の「まち」については
都道府県の単位の「町」の施設やら建物などを作っていくという場合は「町づくり」と言う言葉もありえますが、実際にはあまり使いません。
市が作成する文書などでも、そういう表記には普通なっていません。
地域の人々の活動まで含めて「地域を盛り上げていこう」と言うような普通の趣旨の場合は「まちづくり」と平仮名で書きます。
この場合「町」を変えていこうという場合だけでなく
「市」を変えていこうという場合でも「村」を変えていこうという場合でも
「まちづくり」になります。
抽象的な有機的に人や施設や組織や風土全体が一体となった地域を表す言葉が、平仮名でしか書けない「まち」と言うものなのだと思います。
地方公共団体として定義される「市町村」の区分とはまた別の次元の話ということになります。
町と街
次に「町」と「街」との違いについては、「この場合は必ずこう」と言うような正誤がはっきりした使い分けではなく、「この場合にはこちらが適している」というニュアンスでの使い分けがあります。
「町」の漢字の成り立ちの由来は、「田んぼのあぜ道」だと言われています。
「田」に「丁」で成り立っていて田を丁字に区切る道という感じですね。
だからイメージとしては田舎なのですが
今では地方公共団体の「町」の意味合いが大きくなっています。
しいて言えば自治体として「人々の共同体」としての意味合いを持つのが「町」という事になるでしょうか。
これに対して「街」の成り立ちの由来は、「十字路」とも言われているようですが
道を表す「行(ぎょうがまえ)」の中に、区画を表す「圭」が入っているので
人がたくさんいて行きかっている場所が「街」という事になります。
イメージとしては商店街が一番わかりやすいと思います。
商家が立ち並んでいて人が活発に行きかっている、そんな場所のイメージです。
そういう場所は「街路樹」などと言う言葉からもイメージできそうです。
「街づくり」
「町づくり」はなかなか言わないようですが
「街づくり」は別で、結構使われています。
例えば「『魅力ある商店街』のコンセプトを作って行こう」などという意味で使う場合には
「街づくり」と表現することができるでしょう。
もちろん上記の「まちづくり」でもいいと思います。両方ともありです。
行政では、町の施設を整えていくことを「街づくり」、地域の活性化をすることを「まちづくり」として用語を区分けしている所もあるようです。
施設の整備だけが「街」を作ることではないので、これはちょっと狭い定義になります。
イメージ的な用法の区別ということ
これらの区別はすでに書いたように、「正しい/間違い」という区分けではないように思います。
「私たちの『街づくり』をしよう」というのと「私たちの『まちづくり』をしよう」と言うのでは、
イメージの違いや対象の範囲の違いを感じますが
だからと言って
「街路を整える場合の計画は『街づくり』である」
「田舎の公民館の利用について新しい方法を考えるのは『まちづくり』である」
などと言って厳密に区分けできるものでもありません。
だからあくまで「こういう傾向で使う」ということで覚えておけばよいかと思います。
漢字には単に読み・意味だけでなく、その言葉の使われているイメージというものがあり
昔からの文化的背景がそこにあるような気がします。
そういうものも含めて漢字を理解していくといいですね。
今後も皆さんのお役に立つ情報をアップしていきます。