不可逆的な解決
以前日韓関係の政治問題のニュースなどで「不可逆的な解決」と言う言葉が流れて、しばらく話題になったことがあります。
内容についてはかなり政治的なので、ここでは省略しますが
「不可逆的」って何だろうと思われた方は多いはずです。
これ以外の場面でも特に政治家は「不退転の決意」とか「不可逆的に云々」と言うような、ちょっと大げさな熟語を使います。
その方が受けがいいということもあるかと思いますが、言葉の意味を知っておくという事は
その話の内容がどのようなものかを理解するためにはもちろん重要ですね。
「不可逆的」は「可逆的」の対義語で、「後戻りすることができないような」という意味を示す言葉です。逆に「可逆的」であれば、「後戻りが可能なような」という意味になります。
化学を始めとした理科の分野で使われる「不可逆的変化」という言葉が代表的な使われ方だと思いますが、一般でも割と良く耳にするようになりした。
不可逆的変化
化学の世界での話がわかりやすいかと思いますのでご紹介すると
たとえば水は液体ですが、状態変化という変化をします。
ご存じの通り氷(固体)になったり水蒸気(気体)になったりします。
実際には変化の過程で拡散したりするので質量が完全に一致するというわけではないですが
これらはすべて同じ物質であるため変化しても元に戻ることができます。
このような変化が「可逆的変化」です。
これに対して、物が燃焼する場合は「不可逆的変化」です。
例えば服が燃えてしまったとします。その結果炭になりますが、じゃあその炭を集めて戻したら服になるかと言えば、魔法かタイムマシーン的なものがなければそれは無理ですね。
こういう「もとに戻すことができない変化」が「不可逆的変化」ということです。
ただし化学で登場する化学変化のすべてが不可逆的変化と言うわけではなく、このような燃焼や酸化の例である鉄がさびることとか、あるいは酸と塩基が中和する反応などが不可逆的変化をするものとして知られています。
こんな化学反応でなくても身近な例としてよく挙げられているのは
卵を割って中身を出してしまったら、それを元の卵に戻すことはできませんね。
これも「不可逆的変化」です。
不可逆的な変化というもののイメージをつかむことができたでしょうか?
考える楽しさ
「不可逆的」と言う言葉はよく耳にする言葉であるのに
ちょっとその意味を想像しにくい言葉だったかも知れません。
しかしこうして例を挙げて考えてみると
物事にはすべて「後戻りできること」と「後戻りできないこと」というのがあることに気づきます。
「何でかな?」という気もしますね。
「氷になった水がまた水に戻るように、卵の中身が集まって卵が復元されても、本来おかしくないはずなのになぜそういう風になっていないのかな?」
そういう考え方もあるのではないかと思います。そしてその理由を考えてみるのも楽しいと思います。
何もかも「これはそうだから」という事ではなく、「なぜそうなっているのか」という事を考えていく先に学ぶ楽しさがあるのではないでしょうか。
今後も皆さんのお役に立つ情報をアップしていきます