等速直線運動と慣性
中3物理で等速直線運動を学習します。
等速直線運動は読んで字のごとく「速さが一定で一直線上を進運動」です。
わりと単純な話で、これは楽勝と思っていると
突然「等速直線運動は力を受けていない運動(力が働いていない運動)である」という事が書かれているのを発見します。
ほぼすべての生徒がここで「あれっ?」と思うようです。
「何で力を受けていないのに動いているの?」と思うのが当然だからです。
そこで教師は待っていましたとばかりに説明をします。
「慣性の法則というのがあって『外から力を加えない限り、静止している物体は静止し続け、運動している物体は等速直線運動を続ける』ということだ」「だから等速直線運動をしているときに摩擦が働いていないと考えれば、それは慣性で動いているので力を受けてはいないのだ」
こんな感じです。
おそらくWEBサイトの学習の疑問への記事でもこれが書かれているのが普通でしょう。
生徒の大半はそれでわかったような顔になると思います。
しかし生徒の疑問は本当に解消されたのでしょうか?
本当に聞きたかったこと
確かに慣性で動いているときには実際には氷上をスーッと物が動いていくように
その物体には何も力がかかっておらず力の働かない運動であることは納得がいく話です。
もし力が働いていれば加速したり減速する、あるいは横からであれば一直線でなく進路がカーブを描いて曲線的な運動になってしまうからです。
理科の学習でマスターしなくてはいけないのも、この点の理解です。
でも、生徒が聞きたかった本当の質問は、その先にあると思います。
それは「どうして動いている前提で話が始まっているの?」という事です。
子の単元の学習をする場合にはだれもが、等速直線運動のことを考えるときには
その前の単元で加速や斜面を下る台車の学習などをするために、いったん加速した物体が平坦な場所などで等速直線運動をするに至ったような、そんな状況を想定しているため
等速直線運動は馬力をかけて加速した後の状態をイメージしています。
そのため「運動のためには力が必要じゃないか」と言う風に
時間的な要素を含めて考察をしていて、よくわからないというのが実態だからです。
つまり「現に起こっている等速直線運動」について考えなさいという質問に対して
「等速直線運動を始める所から現在に至るまですべての段階で」考えなさいという問題だと勘違いして考えているということです。
だから「慣性が・・・」と言っても
「それは今のことだよね」と思ってピンと来ないのです。
物理の得意な先生はこの疑問に気付きにくい
物理の得意な先生や元々優秀な学習者であった教師は
実はこういう疑問が生徒にあることに、気が付きにくいのではないかと思います。
「等速直線運動」はどんな運動ですかと言われたら、そういう人たちは、
その問題は「現に起きている等速直線運動について聞かれているに決まっている」と思っているからです。
問題文を正しく読む能力が元々自分にはあるから、生徒が何を迷っているか気づきにくいのだと思います。
しかし生徒がわからないのは、問題文の読みからから含めて、パッと考えてしっくりこない場所すべてになります。
このような齟齬が、実はこの問題での教える側とわからない生徒側で大規模な範囲で起こっているのではないかと思います。
だからもし先生の話やネットの説明サイトを見てわからなかった人がいたとしても
それはあなた(あなたのお子さん)のせいではなく
説明側が不親切なだけですので、安心してください。
上記に書いたようなことが、あなたの疑問解消の一助になれば幸いです。
今後も皆さんのお役に立つ情報をアップしていきます。