なしのつぶて
「なしのつぶて」という言葉があります。
「なしのつぶて」は「音沙汰がない、連絡が来ないこと」を表現する言葉です。
多くの場合は、自分が連絡したいのに、あるいは連絡をしたのに返事が来ないような場合に用います。
ではこの言葉、漢字で書くとどう書くかご存じでしょうか。
意外に知られていないと思いますが「無しの礫」ではありません。
漢字で書く場合には「梨の礫」と書きます。
礫(つぶて)は石ころのことなので、「無しの礫」であれば「石ころなし」というようないみであり「投げ返される石ころはないまま」というようなところから、返事が来ないことを示しているかと思いますが、
「梨」とは何かと言う話になります。
実は「梨」というのは当て字のようです。ただ「無しの礫」と言われても少しイメージがわきませんので球体である梨の実を連想させるためもあってかこの漢字が当てられるようになったのかも知れません。
でも梨が投げ返されてきたら、それはかなり痛いので、本来の意味から考えると少し大きいイメージになってしまいますが・・・
消息を絶つ
「なしのつぶて」は「返事が来ない。どうしたのかな?」という感じの言葉ですが
似たような言葉で「消息を絶つ」という言葉があります。行方不明になって連絡が取れないという意味の言葉です。
「なしのつぶて」より少し深刻な状態かと思います。
「彼らの乗った船は紀伊半島沖で消息を絶った」と言うような使い方をします。
この「消息」というのも少し気になる言葉ですね。
「息が消える」ということは死んでしまうことかな?と考えたりますが、元々「消」はそのまま「消える」という意味だとして、「息」には「生きる」や「生じる」という意味がありました。
そのため「盛衰(栄えたり衰えたりを繰り返すこと)」と同じような意味で「消息」は使われていて、「変化が起こっていること」を示す言葉だったようです。
だから「消息を絶つ」はその変化の状況がわからないということになるということで、行方不明だったり連絡が取れない事を示す言葉になるのです。
身近に使っている言葉でも、どんな漢字を使うのか、どんな意味が隠されているのかが分からない言葉は意外に多いものです。
ちょっと調べてみると面白いですね。