数学の苦手
色々な科目がありますが、数学については他の科目と異なり、単元ごとでかなり内容が異なるため、たとえば数学が苦手な生徒でも、計算系はダメだが関数系は得意という生徒もよく見かけます。
しかし過去の学年の学習からつながりがある単元の場合には、過去の学習での得意苦手が影響を及ぼすことは他科目と変わりません。
小学校で「変化と対応」がさっぱりわからなかった生徒が、中1で「比例・反比例」に悩み、中2では「一次関数」、中3では「二次関数」で悩むということはよくあります。
どこかで歯止めをかける必要があります。
しかし方程式の単純計算の学習は、こういう単元と比べると深みがありません。文章問題なら別ですが、そうでなければ一度きちんとやり直しをしておけば、その後ずっと得意にするということが、比較的簡単な単元だと言えます。
数学と言っても単元ごと千差万別ですから、分析をして考えていけば得意にする方法はいくらでもあるのです。
連立方程式の正答率の差
中2でこの時期に学習する連立方程式は、XとYの場合が多いですが、簡単に言うと二つの文字が登場する方程式です。
1つの方程式にXとYという2つの変数が存在すると、もちろん解が1つに決まらないため
2つの方程式を「連立」させて解を1つに絞りこめるような形になっています。
この連立方程式については「いくらやっても一向に正解を出せない」という生徒が少なからずいます。
また「ほとんどやり方ができている問題ばかりなのに、点数が20点だった」などというショッキングなことが起こるのもこの分野です。
逆に得意な生徒はかなり正答率が高くなり、正答率の差が非常に大きくなるのもこの分野です。
そこで今回は、「なぜこのようなことが起こるのか」その防止策をお伝えします。
お子さんや友だちが連立方程式で頭を抱えていたら、アドバイスをしてあげてください。
理由その1 二つの答えを出さないと正解にならない
まず連立方程式では、たとえばX=3という解を出しても、それをもう一度式に代入してYを求めなくてはなりません。
私の実感では、最初に求める数値(たとえばX)の方は加減法と代入法と言う連立独特の解法に慣れてくれば、かなり出せるようになります。
練習による効果が見込めるのです。
しかし、その後の二つ目の数値(Y)で代入ミスをしてしまい、結局問題全体としては誤りとなってしまう場合が、非常に多いと感じています。
これには理由があります。
連立方程式の解法はかなり技巧的なので、それができて数字がスパッと決まる(分数などでなく整数できれいに出る)と「やった。多分正解」という印象を、他の問題より大きく受けます。
苦労をして出したという満足感です。
そこでXを出した時点で、すでに1問解ききったという気分に必ずなってしまいます。
だからその後のもう1つの数値(Y)を代入で求める作業は、最後のおまけぐらいに思って、すこし気を緩めてやってしまう傾向がかなりあります。
だいたいは符号の取り違えなどで誤りになります。
でも一生懸命時間をかけて一方の答えを出したのに、最後の締めですべて誤りになるというのは何ともつらいところですね。
こういうこともあって、何問か同じような誤りが続くと
気持ちが折れてしまって連立自体を嫌いになってしまうこともあります。
そういうことにならないようにするには、連立へのイメージを変える必要があります。
1つ目の答え(Xの数値)が出た時に、「出だしはOK」「さあ、ここからが本番だ」というイメージを持つようにするだけで大分違います。
ミスが出ている生徒を観察すると、大体2つ目の数値の計算を雑にやっている場合が多いので、符号のミスが多いのがはっきり見て取れます。
ここは意識を変えることが何より重要だと思います。
理由その2 方程式自体が苦手
連立方程式は2つの方程式の組み合わせで解答を出すので、そもそも方程式でミスを多く出している生徒は、さらにミスが増えます。
確率でいえば、単独の方程式で正答率が5割だとすると、二つの場合だとかけ算になるので、0.5×0.5=0.25 となり、4問に1問しか正解できないことになってしまいます。
これでは「たまに正解」という感じになるのも無理はありません。
方程式に苦手を抱えてしまっている場合は、連立の問題をどんどんたくさん解くよりも先に単独のXだけ登場する方程式(1元1次方程式)をたくさん練習すべきだと思います。
符号でミスが続出している場合には、更にさかのぼって「正負の数」の加減計算の練習を行う必要があります。
できないからといって連立の形で問題をたくさんやっても、
まず第1につらくなります。
解くのが楽しくなってしまえば、その先上手くいかなくなる危険が大きいです。
第2に練習の効果がほとんど見込めません。
時間が無駄になります。しっかり戻って装備を整え直してからもう一度チャレンジするというのがかえって近道になります。
しかし実際には連立の苦手な生徒にこれらをやらせても、嫌がることが多く連立方程式を解いていこうとします。
気持ちはわかりますが、毎回✕を付けられるのが嫌であれば、早期に戻り学習をするべきです。
そして単純な方程式の練習は、よほど数学が苦手な生徒でなければ、1年前からずっとやっている学習なので、実際には短期間で何とか思い出してミスをなくすことができます。
それをやって連立方程式に戻るのは、実はコストパフォーマンス的にかなり合理的な方法なのです。
理由その3 処理事項の多さ
連立方程式は、言ってみればこれまでの2問分を解く問題になります。
ミスで一番出やすいのが符号(プラスマイナス)に関するミスですが、
気をつけなくてはいけない場面が、1つの問題で10回くらい登場することもあります。
「感覚やイメージで何となく解くやり方」をしていて、自分なりのチェックポイントを設けていない生徒は、続々とミスを重ねてしまうことがあります。
たとえば
Y=-2X-3を 2X-4Y=16 に代入する際に
2X-4(2X-3)=16と最初から間違って代入してしまったり
2X-4Y(-2X-3)=16としてしまい、次に何をやるか分からなくなってしまったり
ミスが本当に出やすいタイプの問題なのです。
だから丁寧に手順を行う習慣をつけるべきです。
連立方程式を解くのは普通にやっても、1問にかなり時間がかかります。
しかしミスの多い生徒で、非常に解くのが速い生徒がいます。
まず時間をかけてミスがなくなってから、スピードを考えるべきでしょう。
中には代入を暗算でやる生徒がいますが、上記のような代入を暗算でやる意味がありません。
必ずミスにつながりますのできちんと手順を書いてやるべきです。
今後も皆さんのお役にたつ情報をアップしていきます。