ヒットか三振か
野球の試合でクリーンヒットを打つ打者がいると、私たちは「ああセンスがいいな」と感じたりするものです。
逆に三振をする打者を見ると、「なんで打てないのかな」と思ったりします。
しかしただ見ているのと打席に入って打つのでは大違いです。
私は学生時代には野球をしていませんでしたが、卒業後よくバッティングセンターに行って打っていました。
子どもができるとスポーツ少年団で野球をするようになったので、コーチの一員になって野球の指導に携わっていた時期が10年位あります。
その時選手の様子を見ていて思った事は、素振りとか練習をただ形だけやっている人の多さです。
素振りなどは何も考えず無心で振っている者がほとんどで、ただの筋トレに近いものになっていることが多かったように思います。
せめて「あっ速球だ。内角」とか思いながら振れば少しは違うのにとよく思ったものです。
「自分がヒットを打てる選手に変化しようと思っていないのかな」などと思いつつ、やり方をアドバイスしたりしていました。
チェックと改善の重要性
生徒を見ていて、成績が伸びる生徒にはある共通点があります。
それは「変化を恐れない」姿勢です。
間違いがあったときには、一生懸命やっていればいるほど生徒はショックを受けるものですが、その時の様子を見ているだけで伸びる生徒かどうかはかなりわかります。
「そんなはずはない」
「先生答えが違っていませんか」
というような反応の生徒が少なからずいます。
違っていることをよく説明して、その理由を詳しく教えます。
それでもなかなか納得ができません。自分の考えに強く自信を持ち過ぎているので、そこに誤りがあると更に納得ができなくなります。
多くの場合基本理解を誤っていて、完全に反対の内容で覚えていたり、よく似た概念と勘違いをしているのですが、
そのことを指摘しても、違っているという意識になるまでにかなりの時間がかかります。
こういう場合に自信があり過ぎる生徒の傾向として、決して前にやったことや指摘された内容について、すでに学習したところを見て確認をしようとしないということが挙げられます。
絶対違っていないと思い込んでいるため、軌道修正に時間がかかります。
そして、さらに問題を解いていきますが、その自信がまだ残ってしまうため同じような間違い方を続けてしまうことになります。
このような状態になるときは、間違った理解のまま1年以上同様の間違いをしてしまうという状況も珍しくありません。
三振した理由を「自分のフォームや選球眼」に求められるか
野球で三振をした選手が、その時にどう感じるかは人それぞれです。
「あのピッチャーは打てない」と早々に諦める者もいます。
反対に「たまたまいい球が来ただけ。今度は打てる」と開き直る選手もいます。
実に単純な話ですが、三振をした場合には
①三振をした理由を考えて
②その理由をなくす方法を考え
③そのための練習をする
この3ステップで対策をするのが最も効果があることは、おそらく間違いがありません。
①と②を飛ばしてただ素振りを繰り返しても三振は続きます。1万回素振りをしても三振することでしょう。
コースはどうであったのか。選球を誤っていないか
自分のバットの振り出しはどうだったのか
バットコントロールはどうか
バットのスピードはどうだったか
ダウンスイングができていたかなどチェックする点はたくさんあります。
それを検討することが対策そのものと言って良いでしょう。
それをやらないで回数をこなしても何も変わらないのです。
変化する勇気
野球でも学習でも、ある程度一生懸命やっていると自分に自信がついてきます。
その場合に、やり方が間違っていることを自分で認めることは、勇気がいることかもしれません。
しかし、学習や練習というものは何のためにするのかを改めて考えて見る必要があります。
目的は「結果を出すこと」です。
自分のやり方を変えられない人は、現在の自分のままで良いと言っているのと変わりがありません。
学習においても間違える方法でやっていれば、三振と同様1万回やっても間違えます。
でも正しい方法にその瞬間変えることができれば、たった1回で間違えなくなります。
言ってみるとごく当たりまえのことですが、現実には間違った方法を直すことなく延々と繰り返して首をかしげている生徒の多いことに驚きます。
まず間違いの原因を見つけて、しっかりそれと向き合うべきです。
「正しい方法でないから間違いになっているという事実」に正面から向き合って、軌道修正を素早く行っていくのです。
このことができるだけで、劇的に成績を上げることが実は可能です。
成績を上げられない理由は、こういう当たり前の所にあるのだということを知ってほしいと思います。
今後も皆さんのお役に立つ情報をアップしていきます。