算数の謎
小学校の算数で「広さ」や「かさ」という言葉が登場します。
ざっと言うと「広さ」は面積で、「かさ」は体積や容積であるという事になるかと思いますが、広さはともかく普段小学生が使う事がない(最近では大人もあまりつかわない)「かさ」という言葉が、かえって学習の際にはわかりにくさを生み出してしまっています。
生徒によってはこの言葉の登場で、算数の謎部分が1つ増えてしまう事もあるように感じます。
「面積・体積・容積だけで統一用語的にやればいいのに」と私などは思ってしまいますが、今回はこの「かさ」のお話です。
かさ(嵩)
体積は簡単に言えば立体のサイズのことです。詳しく言えば、縦横高さのある3次元空間における物体の広がりの程度という事になるかと思いますが、もちろん小学生がそんなことまで意識する必要はないでしょう。
おそらく面積が何かわからない生徒がいて、それをわからせるために「面積って言うのはね、広さの事だよ」という事で説明がうまくいったので
「体積はね、かさのことだよ」と言ってわかりやすく説明したというのがこの話の始まりだったのだと思いますが、時代が変わって体積の方が「かさ」という言葉より一般に使われるようになったので、ちょっと「おや?」という生徒が増えてきているのだと思います。
ただ「かさ(嵩)」は体積だけを指す言葉ではありません。
「かさ(嵩)」は物の分量や内容量のことであり、体積のほかに容積や、場合によっては数量なども含む広い概念の言葉です。
容積は容器に内容物を入れた際にどれだけ入るかという意味での立体のサイズです。容器の部分の体積を除いた中身のサイズと言ってもいいかも知れません。
少なくとも算数の勉強の範囲では、「かさ」は体積だけでなく容積も含む言葉だと言えます。
あくまで私見ですが、「かさ」は日常の生活で使う言葉なので、それと無理にリンクしようとして数学や算数に登場させることなどはしないで、そちらでは体積とか容積のように定義が単純な言葉のみで学習を進めた方が分かりやすいと思っています。
嵩張る 嵩む
「かさ(嵩)」の意味がよくわかるように嵩を使った言葉を挙げると
たとえば「かさばる(嵩張る)」や「かさむ(嵩む)」などがあります。
「かさばる(嵩張る)」は体積や容積が大きくて取り回しづらいという意味です。
「お土産をいただいたけれども、ちょっとかさばってしまうな」などという使い方をします。
「かさむ(嵩む)」は数量が多くなるという意味で、「出費がかさむ」などと言う言葉もあるので、お金についても数量を「かさ」という表現をつかっていることになりますね。
このように見てみると「かさ(嵩)」は広く物体の体積だけでなく数量も含めたサイズを言う言葉であることがわかります。
単に学校で習う体積・容積のみにとどまらない広い意味の言葉が「かさ(嵩)」であるということになるでしょう。
今後も皆さんのお役に立つ情報をアップしていきます。