【試験という非日常】「決して受験直前にやってはいけないこと」とは?

試験という非日常

 受験と言うものは「合格すればその学校へ行ける」というのは当然ですが、「合格しないとその学校へ行ける機会を永久に失う」という面があり、それが受験者の心を大きくかき乱してしまう要因となるものです。

もちろんやり直して入学することも本当はできるのですが、若者にとって1年は長く、実際には「永久にそこには行けない」という意識になるのも無理からぬところです。

そういう目に見えない恐怖というものが、受験生の心理を準備段階においても常に揺り動かします。今回はそんなお話です。

 私は過去に長く司法試験受験をしていたので、試験に対するメンタルというものを非常に身をもって体験しています。

ガタガタ震える気持ちや心配で眠れない気持ち、試験前に体調を崩してしまう事や、食欲を落としてしまうことなど、ありとあらゆる失敗体験をしています。

その経験から言えることは、とにかく試験を受けるということは「非日常」であるという事です。

「ただ勉強を十分にやってそれをテスト用紙にしっかり書けば合格する」そんな当たり前の事に過ぎないと言われる方もいますが、人間である以上普通の人ならば感情の揺れやプレッシャーがあります。

だから、そういう当たり前の一行事ではないという意識で臨む方がまちがいなく安全だと思います。試験にはどちらかというと「勝負事」の面があるのです。

それをスマートに言うと「アウトプットを万全に」という事になるかも知れません。

ただ今回はそんな試験を目の前にして、直前で「非日常」の試験が怖いあまり、森に迷い込んでしまう人が割といるため、そういう事がないようにするためのお話をしたいと思います。

受験まで秒読み

 今多くの高校生や中学生が受験の時期を迎えています。

受験直前期の勉強は「あれもやってない」「これも心配」という気分になって、気持ちは焦るものの、なかなかうまくできないという人が多いかもしれません。

 長期的にしっかり準備をしてきた人も、つい慌てて、無駄なことをしていまうのがこの時期だと思います。だから注意が必要です。

 受験まで、カウントダウンのようなことをする学校や塾も多いのですが、必要以上にプレッシャーがかかるようなら、そんなこともする必要はないでしょう。

 何回かお伝えしてきているように 試験で最も大切なのは平常心。そして試験は、準備でほとんどが決まります

 スポーツの試合のように気分を盛り上げていくよりも、「しんしんと冷静な気持ちで、スーッと受験に向かっていく」そんな感じが理想だと思います。

受験直前期にやるべき問題は?

 ではそんな受験直前の時期に、やるべきことは何でしょうか。

それは「得点になる事項」の「最終確認」です。

 テストに出るところを想定して、確実に得点できるところをしっかり確認します。

たとえば高校受験の理科であれば、「光合成」「蒸散」「維管束」とか、「示準化石」とか「飽和水蒸気量」といった2分野の用語などが代表例です。

 意外にこういう用語がしっかり書けなくて、失点を重ねていることが多いものです。

 反対にこの時期、簡単な計算問題はいいですが、そうでなくて「理科の計算の応用問題ができないから、これを一からマスターしよう」というようなことはやってはいけません。

 まず、第一に時間がかかります。その分全範囲をざっと見渡して繰り返すようなことができなくなってしまいます。

第二にコストパフォーマンスが悪すぎます。時間をかけて応用が短期間で得意になる確率と結局できなくて時間が無駄になる確率とを比べると、後者の確率の方がおそらく高いです。

 理科の計算は、受験生が心配する事の定番です。

 しかし理科の計算で合否が分かれるような場合は、理科で高得点を取らなくてはいけない入試の場合を除けば意外に少ないと思います。

 私が実際の生徒の答案を見続けてきて思うことは、「基本用語が書けるかどうか」という程度のレベルで実際の合否が決まることがほとんどだという事です。

 むしろ「理科の計算は理科の天王山だ」などど思い込み、それにばかり時間を費やしたが、結局得点にならず、取らなくてはいけない基本用語をかなり間違え、その結果理科で大打撃を受けるというようなパターンは、割と有るように思います。注意が必要です。

そしてこれは何も高校受験に限られたことではありません。どんな試験でもすべて同じです。私は司法試験の短答式試験に相当数合格していますが、不合格だった年の結果を分析したら、驚くほど難易度高の正解が多い一方、難易度低の問題をたくさん落としていました。

 試験と言うものは、そういう数値に現れる冷静なものなのです。難易度の高い問題に執着した学習などよい事は何もありません。むしろ難易度の高い問題ばかりの情報提供をする人は敵とおもってもよいくらいです。

98点か100点かという勝負ではない

 受験のおいて合格点が95点以上になるような試験はほぼありません

どんなに高くても、9割あれば普通は悠々合格ライン(トップ合格レベル)になるでしょう。

試験によっては6割で受かる試験もあり、定員割れしていなくても「半分取れたら合格する」という受験も、珍しくはありません。

 これは何も偏差値ラインが低い学校の受験に起こるという事ではなく、実は進学校でもまったく同様です。

「9割取れなくては到底受からない」巷でそんな噂がある高校の入試でも、実は「8割くらいで楽勝」なんてこともよくありますし。9割を実際に取ったら、「TOPクラスの合格で特待生になった」なんていうこともあります。

でも一般に流れている話を見てみると、「あそこは難しいよ。知っている人が90点取ったけど落ちたよ」なんて話が、実はたくさんあります。これはいったいなぜでしょうか?

私が思うに、それにはおそらく色々な裏があります。

 まず一つ目は内申点が非常に悪くて得点だけでは元々届かなかったという場合。これは今の受験制度ではよくある悲劇です。

たとえば内申基準40(愛知県高校入試では2倍します。わかりやすくここでは80でカウントします)でテストの合格点基準が74点の場合、合格ラインは154点ですが、もし非常に優秀なその生徒が90点を本当に取っていたとしても、内申が64(つまり32)以下なら受からないという事になります。これは十分にあることなのです。

74点で受かるテストを90点でも落ちるテストという理由はここにあることが多いと思います。

 そして次に考えられるのは、残念ながら不合格になった場合の説明と言うものはどうしても正確な事は言われないという事です。

「あの子なら必ず通るよ」と言われていた生徒が予想外に不合格になった場合の心境を皆さん考えたことがありますか?

私たちは日夜そういう事がない様に全力で指導を行っているわけですが、人に聞かれたら「自分はできたけどなぜか落ちた」と説明するに決まっています。でもそれは決して悪い事とは言えないでしょう。無理からぬ話なのです。

 あるいは自分は受験したかったのに、内申とか学校の先生の説得で受験できなかった生徒や保護者が、非常に高い基準を他の人に伝えているような場合も実は多いのではないかと思います。

 考えてみると試験の合格点については、正確な情報が人づてに流れることなどはあり得ないと言っていいかも知れません。

 だから合格点なんて、正式に発表されているもの以外は安易に信じてはいけません高めに噂されているに決まっています。

 そんな風に偽の情報に振り回されて、難しいことを受験直前にやってしまうことは、何としても避けるようにしたいものです。

 やってきたことをきちんと確認して 「ベーシック問題は必ず正解して」「ミドル問題である程度正解」すれば、どのような受験でも普通は悠々合格ラインを超えます

受験とはそういうものなのです。

 私は指導を長くやってきて、基本に徹した生徒が大逆転合格をした事例は数限りなく見ていますが、難しい問題の森に迷い込んでしまって、当日基本をかなり落としてしまって予想外の不合格になってしまった悲劇も多く知っています。

そういう生徒は、本当に今回書いたような「誤った試験像」を描いてしまっていた場合がほとんどです。それは非日常である試験というものが生み出してしまった誤ったイメージだと言えます。

「すべては基本をしっかりやる事、すべては誰もが取れる問題を100%取る事」という、まずはそういう意識からスタートすべきです。

そうすれば心配することなく合格は必ずやってきます。

今後も皆さんのお役にたつ情報をアップしていきます。

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