文字変換に頼る日々
私たちは小学校中学校と漢字の書き取りをしたりして、漢字を「書く」ことを学んで大人になります。
しかし大人になるとパソコンで文字を打ったり、スマホで文字を打ったりするのが最近は普通になっているので、漢字を覚えていなくても、大体の字体の記憶があればひらがなを正しく漢字変換することができます。
たとえば、カエルの漢字が良くわからなくても、「かえる」と打って変換のエンターキーを押せば「変える・返る・飼える・帰る・孵る・買える・蛙・替える・代える・換える・還る・🐸・・・」などど出てくるので、「ああ、そうか!蛙だ」と気づくことができるわけです。
全く便利な世の中になったものです。
だから誤変換で恥ずかしい思いをすることはないのですが、その反面漢字と言うものに無頓着になっている面もあるかもしれません。
いつも見ている漢字なのに、正しく認識ができていないなんてことはよくあります。
烏龍茶
ウーロン茶はお茶の中でも割と人気が高いものかと思われますが、最近はカタカナでウーロン茶と書くことも多くなっています。
「烏龍茶」という漢字を目にする機会が徐々に少なくはなっていますが、漢字で書くと中国伝来のおいしいお茶というイメージが良く伝わる面もあって、ペットボトルなど商品そのものには多くの場合漢字で表記がされているようです。
「烏龍茶」の「烏龍」はぱっと見ると「鳥龍」のように見えるので
「ウーロン茶の漢字ってどう書く?」と聞くと「ああ、あの鳥(とり)に龍(りゅう)って書くやつね」という風に答える人もいたりします。
しかし正しくは「烏(からす)」に「龍(りゅう)」で「烏龍」と書きます。
「烏龍」という言葉自体には色々な意味と用法がありますが、烏龍茶の場合に「烏龍」という名前が付けられた由来については、
皆さんも見たことがあるかもしれませんが、烏龍茶の茶葉が黒くて細くてくねくねしたような形をしているために、「烏(からす)」や「龍(りゅう)」みたいなお茶という事で名づけられたという説が有力なようです。
「じゃあ鳥だって良かったじゃないか」という方もいるかも知れませんが、そこは烏の黒色というのがポイントなので鳥ではなく「烏(からす)」という事なのでしょう。
「烏(からす)」と「鳥(とり)」は漢字が似ているのでこのように熟語になっていると特に取り違えをしやすいので注意が必要ですね。
漢字を生み出す感性
でも茶葉を見て「ああ、烏みたいだ」とか「まるで龍のようだ」と感じて、実際にそれを名前にしてしまう感性というのは大したものではないでしょうか。
もしも現代の日本でこういうお茶が初めてできたとして、企業の研究室で名前を付けようとしたらどうでしょうか?
今の日本の企業は、こんな素朴でありつつも夢がある名前を生み出すことができるでしょうか?
まず「売れなくては」という事ばかり考えるので、当然そういう観点が入ってくると思います。
おそらく龍は言いにしても「烏(からす)」については良い印象を持っていない人が多いので、こういうものは間違いなく避けようとするでしょう。キャラクターにしてしまって販売戦略を立てるという方法もありますが、チョコボールとかではなくお茶なのでちょっと難しいかもしれません。
でも実は烏は縁起の良い鳥だとされているんですけどね・・・
すべてがそうと言うわけではなく、じゃあ自分なら素晴らしい名称を浮かべられるかと言うとそれはきっと難しいのでしょうが、
「売れる」「お金が儲かる」という事がすべてのベースにあり、マスコミに代表される本当ではない「世間」を基準に様々なことが決まっていくこの時代・・・
色々な意味で夢が失われた時代を生きているのかなあと思ったりします。
カラスと竜のお茶という烏龍茶のネーミングセンス、なかなかのものだと私は思います。