【和風月名】4月は桜のイメージ。でも「桜月」でなくて「卯月」と呼ぶのには理由があります。

和風月名

 日本では月には異名(異称)があります。二月が如月(きさらぎ)、三月が弥生(やよい)というような呼び方です。「和」のイメージで、素敵な響きをもっていますね。

和風月名とも言われるこの呼び方は、意外に歴史が古く日本書紀にはすでに記載があったとされています。

 元々の由来は中国から来たものと言われていますが、こういう呼び名は、現在使われている新暦(グレゴリオ暦)以前の旧暦(明治初めまで使われていた太陰太陽暦)下では、一般に使用されていたものでした。

最近になって再評価されて、学校でも習うようになりましたし、カレンダーなどにも記載があるようになりましたが、和風のイメージや響きに人気があるようです。

卯月(うづき)

 4月の和風月名は「卯月」ですが、この名称の由来については色々な説があります。

 まず一番有力なのは、卯の花(ウツギ)が咲く月ということで卯月になったという説です。平安時代の歌学書である藤原清輔の『奥義抄』に「うの花さかりにひらくゆゑに、うの花づきといふをあやまれり」とあるのが由来とされています。


万葉集に、大伴家持が4月1日に詠んだとされる「卯の花の咲く月立ちぬ霍公鳥(ほととぎす)来鳴き響めよ含みたりとも」という歌があるため、それが用いられたのではないかという説もあるようです。

 ウツギは「空木」とも書き、幹の中が空洞になっているのでこの名前がついているそうですが、花は卯月(旧暦4月)に咲くことから卯の花(うのはな)とも呼ばれています。卯花月という呼び名もあるようです。

 二番目の説は、十二支「子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥」の4番目が「卯=うさぎ」であることから卯月になったという説があります。

 三番目は、旧暦4月は新暦では4月下旬から6月上旬にあたる時期で、苗を植える時期であることから、「植月(うづき・うえつき)」「苗植月(なえうえづき)」などというところから卯月になったというものです。

なぜ桜月じゃないの?

 「4月には桜が咲くのになぜ『桜月』じゃないの?」そんな疑問を生じる方もいるかと思います。

しかし和風月名は旧暦を元に作られた名称なので、桜は4月ではなく3月の花になります。それで3月の月の異名として「桜月」という呼び名があります。3月の和風月名は「弥生」が有名ですが「桜月」とも呼んでいたのですね。

 旧暦の4月というとむしろこのウツギがぴったりということになります。

 ではなぜこの花が月名にまでされているかということになりますが、ウツギは昔から日本の人々に非常になじみのある身近な木だったからです。

 日本のほぼ全土に広く生育していて、山野や林、川の土堤など日当たりの良い場所にどこでも自生していました。畑と畑の境目の目印として植えられることが多かったようです。高さも境目にはちょうど良かったらしいです。

また花は初夏のシンボルともされていました。

現代の私たちは畑の間の木や花なんて、あまり見向きもしないかも知れませんが、昔から人々日々の暮らしの合間にこういう花を見ては心をいやしたり、励ましたりしてきたのでしょう。

大切にしたいですね、こういう素敵な和の言葉や気持ちというものを・・・。


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