大器晩成
よく耳にする言葉で、大器晩成と言う言葉があります。
大きな器(うつわ)は早く完成せず、完成までに時間がかかることから、「大人物となる人が大成するのには時間がかかる」という意味です。
今の時代は以前に比べてずっと人々が長生きするようになりました。
そしてそれだけではなく、子どもの成長も肉体的な面はともかく、精神面で大人になるまでには以前より時間がかかっているような印象があります。
最近何かの際に、「実は現在の若者の思春期は30代」というような話を聞き、「ひょっとしたら、そうかも知れない」と思いましたが、
社会的にも経済的にも、自立するまでにより長い期間が必要になっています。
こんな時代ですから、プロスポーツや芸能人や特別な若い才能を必要とするクリエイティブなジャンルはともかく、
それ以外の分野では、大きく成功を収めるまでには、ある程度の年齢と時間が必要なのだと思います。
「大器晩成」の時代ともいえますが、平均寿命が延びて100歳も普通になる今後は、60代70代での成功も、もはや「晩成」ではなく普通のことなのかもしれません。
最後に笑う人が最も良く笑う
そんな現代にぴったりのイギリスの格言があります。
それは「最後に笑う人が最もよく笑う」という言葉で He laughs best who laughs last. が原文です。
もちろんこれは必ずしも「人生の最後に」というわけではなく、何事も途中経過はともかく、最終的に結果を出した人が一番の利益を得ることができるという趣旨の言葉です。
簡単に言うと「油断してはいけない」ということになりますが、これを人生訓として考えると、
私は、「長い人生いろいろな苦労があるにしても、最期の瞬間に笑顔で終わることができたなら、それがベスト」という風な解釈を自分でしています。
そういう読み方をすると、自分を励ましてくれる格言に思えてきます。
最初にこの言葉を知ったのは中学生の時でしたが、その最初の時から、この解釈でこの言葉を励みにしています。
「最期の瞬間にはきっと自分は笑うに違いない」と思っていれば、少々の苦難は乗り越えていけるのではないかと思います。
「笑う」というのが実はポイント
ところで、大器晩成は人生というスパンで人物の器の大きさに注目しているので、このイギリスの格言とは少しニュアンスが違うのですが、
イギリスの格言の方は「笑う」という表現を使っているのが大変興味深いところです。
「人物の大成」と言うものには人格と言う面ももちろんですが、社会的な成功という色合いが濃く反映されていると思われます。
これに対して「最後に笑う」というのは、実際には「利益を得る」という意味で使われていると思いますが、なかなか味のある表現だと思います。
笑っている人は普通は幸福だからです。そのあたりがお国柄の違いなのかもしれません。
大人物になったと言って皆に尊敬されていても、本人は実は私生活では大変な人生だったという事も歴史を見ればたくさん事例があります。いやむしろその方が多いのかも知れません。
社会的成功と家庭や身近な人たちとともにある幸福を両立させることは実は大変な困難があるのだと思います。
人について能力や地位でだけその評価を考えたときには、そんなことはなく100点満点の幸福な人ばかりと思いがちですが、意外に私たちが気づかない不幸を背負っている偉い人というのはいるのです。
だからこのイギリスの格言は、そういう意味で味わい深いものだと思うのです。大人物にならなくても社会的地位を得なくても「最後に笑う」ことは誰でも可能です。
だからこそ「最後に一番よく笑う」ような人生を考えていきたいですね。
今後も皆さんのお役に立つ情報をアップしていきます。