【素敵な春の夜】「春宵一刻値千金(しゅんしょういっこくあたいせんきん)」

春は人の気持ちを変える

 長い冬が終わり春を迎えると、多くの人は何となく幸せな感覚を覚えます。

それは自然な感情で、寒さもなくなり曇天の日も少なくなったりしているのもありますが、周囲で花が咲き始めたり、動植物が活発に活動を始めるのを見ると、人は自然から何かエネルギーを受け取るのからかもしれません。

 もちろん花粉症であったり春になると一面厄介なこともありますが、春が人の気持ちをかき立たせて楽しい気分にしてくれるのは間違いがないことです。

そんな春ですが、夜もまた暖かくなってきて気持ちの良い感覚を味わうことになります。

花見のような行事もありますから、夜桜を見るなんていう風流な過ごし方もありますね。

春宵一刻

「春宵一刻(しゅんしょういっこく)」というのは、直訳すると「春の夜のひととき」という意味になりますが、

普通には、この四字熟語の元になった「春宵一刻値千金(しゅんしょういっこくあたいせんきん)」という漢文の一節の意味から、「春の夜は風情があり価値がある」という意味であるとされています。

「春宵」は「春の宵(よい)」という事ですが、宵は夜のことで、日が暮れて間もない時間帯を指します。

 そして元の「春宵一刻値千金」の「値千金」「千金(大金)にも値する素晴らしさである」という意味です。

つまり「春宵一刻値千金」は「春の夜は風情があり価値があって、千金にも値する素晴らしさである」という意味になります。

この言葉は中国の漢文の一節で、北宋の詩人の蘇軾(そしょく)という人が書いた『春夜』(しゅんや)という七言絶句(しちごんぜっく・漢文の形式)の起句(最初の一行)です。

春宵一刻直千金 花有清香月有陰 歌管楼台声細細 鞦韆院落夜沈沈」というのが原文です。

「春宵一刻 直千金  花に清香(せいこう)有り 月に陰有り 歌管(かかん)楼台(ろうだい) 声 細細(さいさい)鞦韆(しゅうせい) 院落(いんらく) 夜 沈沈(ちんちん)」というのが書き下し文です。

そしてその訳は、ざっとこんな感じになるでしょうか。

「春の夜は風情があり価値があって、千金にも値する素晴らしさだ。花は清々しい香りがして月はおぼろに陰っているのでその光は優しく地上を照らしてくれる。先ほどまで賑やかな歌や管弦の音が響いていた高殿(高く作ってある建物)も、今はすっかり静かになってしまって、ぶらんこのある中庭に、夜が静かに更けてゆく」

 この漢文の内容を読むと、春の夜のとても素敵な雰囲気が実感できます。さすがに歴史に残る素晴らしい漢詩だと言えます。

そして思う事は、中国でも日本でも春の夜の嬉しさや幸せ感を味わう人々の気持ちは同じだということです。

存分に幸せな春の夜を楽しみましょう。

今後も皆さんのお役に立つ情報をアップしていきます。

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