【一体の変わった使い方】「一体彼は全く知らない」…なにそれ?「一体にこの辺りは雨がよく降る」…一帯の間違いでは?

一体生徒が全然悪いです。

 私たちは日本語を使っていて、自分がよく使う言葉については、「きっとこういう意味に違いない」という確信を持っているものですが、

実はその用法以外の使い方があることもあります。

たとえば近代文学の小説などを読むと「おやっ」と感じて、それで気づいたりします。

私の場合は「一体」という言葉の使い方について、小説を読んだりした際に違和感を感じることがありました。

「一体」というのは、一番よく使われるのは疑問文で「一体君はどういうつもりか?」というような副詞での使われ方でしょう。

ここでは単純な名詞としての「一体」は除外して話を進めます。名詞の「一体」は「一体になって進む」というように「一つにまとまっていること」を言うのがポピュラーですね。

しかし文学の中ではちょっと変わった使われ方をしている「一体(副詞)」があります。

 たとえば夏目漱石の坊ちゃんの中に「一体生徒が全然悪いです」という表現が出ていきます。

しかし、こんな言い方はあまり聞いたことがない人がほとんどではないでしょうか。

この場合の「一体」は「元々」という意味で、「元々生徒が全然悪いです」という意味の文になります。

単に「元々」という意味だと知っていれば難しい事でもないのですが、最近の口語ではあまり使わないのではないかと思います。

 だからたとえば「一体彼は全く知らない」と誰かに言っても、「お前変な言葉遣いやめろ」と言われるのがオチかもしれません。

これは「元々彼は全く知らない」という意味で、文法的には立派に通じる言葉だということになります。

一体にこの辺りは雨がよく降る

「一体にこの辺りは雨がよく降る」と書くと、「ああ、それ漢字が違っています。『一帯』です」と言われそうですが、

実はこの「一体に」は正しい使われ方をしています。

「一体」という名詞を副詞的に使う用法で、「総じて」という意味の言葉です。

これについても文学の中ではわりと見かける表現です。

「あたり一帯」という意味ではないのです。

「一体」が「ひとまとまりの」という意味なので、それが副詞的に使われて「全般的に」と言うような意味合いになって来たのでしょうね。

このように知っている言葉でも、意外にその別の使われ方を知らないということはよくあります。

日本語はやはり奥が深い素晴らしい言語ですね。

今後も皆さんのお役に立つ情報をアップしていきます。

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