【英単語学習の秘訣】あなたが英単語を覚えられない本当の理由

 中学校に入ると、小学校英語でやっていたような、どちらかというと文化の違いを知ったり会話が中心の英語学習が、それとは一気に変わってしまい、覚えて行かなくてはどうにもならない「書く英語」になっていきます。

生徒たちは中学校の英語でも最初は話し方やらリスニングみたいなことを楽しくやっていて

「なんだか中学の英語も大丈夫そうだ」

そんな風に感じて授業を受けているのですが、ある時を境に急に英単語の書き取りに追われるようになります。

学校の先生が英単語の覚え方について理解が深い場合には、それでも覚え方を詳しくやってくれたりして徐々にペースをつかんでいけるのですが、自分が学生時代に難なく英単語が自然に覚えられた英語の教師にあたってしまった場合、時として悲劇は起こります。

「ノートに1単語ごと最低1行(10回)書いて毎英語時間に提出」

なんて宿題が出た日には、

「これは単語が書けなくなって苦しむ生徒が出そうだ」

そんな予測ができてしまったりします。

なぜかというと、こういう宿題の出し方はそもそも英単語の覚え方の法則に真っ向から反した指示だからです。

順に説明をしますね。

 皆さんご存じの通りアルファベットは全部で26文字あります。

そして英単語はすべてそのアルファベットの組み合わせだけでできています。

ではどうでしょうか?単純な数学の場合の数の問題です。

aとnとtを組み合わせたアルファベットで出来る英単語は何通りできるでしょうか。

3つの文字を順に並べる順列になりますので数学的に言えば3!(3の階乗と言います。3×2×1の計算をします)で6通りあることになります。

ant atn tan tna nat nta という感じです。

わずか3つのアルファベットを取り出して考えただけでも6通りの単語ができてしまう。

これがもっと長い単語だったらどうでしょうか。

4つなら4×3×2×1=24通り

5つなら5×4×3×2×1=120通りになってしまいます。

たとえば高校で学習するabで始まる単語で有名なものとして abandon abundant absurd absorb abrupt などがあります。

5つ~7つのアルファベットの組み合わせでできた単語に過ぎません。でもこれらがずらっと並んでいたらその区分けは見ただけでは大変難しいですね。

abandon 断念する abundant豊富な  absurdばかげた  absorb吸収する  abrupt 突然に というようにさっと意味が言える生徒は大学受験生でもなかなかいません。書くとなればもっと大変です。

この難しさの正体は何でしょうか。

それは文字列が単純に並んでいるものを人間の記憶力では覚えにくいということにあるのです。

abandon abundant の違いを 音も分からず字面だけで暗記して覚えられるようには人間の頭脳はなっていないのです。

だからこの動画にあるように、スイスイ英単語を覚えていける大学受験生でもやはり再度似ている綴りの単語を並べて覚え直すというような必要も出てくるのです。

ところがこれが漢字ならどうでしょうか。

同じように並んでいても文字に特徴があります。

般若波羅蜜多心経(はんにゃはらみたしんぎょう・有名なお経『般若心経』の一節)と書いてあったとしてもアルファベットと違いずいぶん特徴がありますよね。英単語より断然覚えやすいと言えます。記憶のひっかかりが断然多いのです。だから漢字の書き取りは割と効果があるのです。

またひらがなだとアルファベットに近いようにも思われますが、ひらがなは音と文字が一致しているので、これもまた割と覚えやすいのです。

「たけやぶやけた」と書いてあったとしても、ほどんどの人は音と同時に文字を覚えるので、意味がそれにつながってくれば、思ったよりも早期に書けるようになっていきます(もちろん海外の人には初手が難しいとは思いますが)

このようなアルファベットの特徴から考えてみると、英単語を覚えられないことには、「文字の羅列に記憶の手がかりを残しにくい」という点にその大きな原因があることがわかります。

だとすれば音とつながりを持って覚えていけば、それが記憶を引き出すトリガーになり、英単語がなかなか覚えられないというハードルを越えられるのではないかということになります。実際その通りで、音とつなげることで英単語は劇的に覚えやすくなります。

でもなかなかそれができていない。なぜでしょうか。

実は英語を学び始めたばかりの日本人が英単語を覚えるのに非常に苦戦するには理由があります。

それはたとえばアメリカの小学校などで言葉を覚えるときにはフォニックスといってアルファベットの読み方を覚えることから学習を始めているのですが、日本の学校英語教育ではあまりそこに力を入れていないと思われることに原因があります。

一時期このフォニックスは大きく取りざたされた時期がありましたが、なぜか未だに英語の学びの初めに正面からそれをしっかり教えていないように見えるのは、私からすると大変謎です。

学校教育で歌とかを歌ったりしてアルファベットが言えると言っても、あの「エイ・ビー・スィー」はアルファベットの読み方ではありません。あれはアルファベットの文字の名称に過ぎません。

bの名称はビーですが読み方は「ブッ」ですね。それを正面から学習するのがフォニックスです。

だからひどい場合になるとgoodを書けない生徒に「読みとつなげて書くと早く覚えられるよ」と言っても「ジーオーオーディー」と読んで覚えようとしていたりしてびっくりしたりします。

でもgは「グ」ooは「ウ」dは「ドゥ」と読めるようになっていけば、知らない単語も自然に読めるようになり、覚えられるようになるのです。

フォニックスという分野のことを知らなくても英単語の読み方を自己流に覚えて英単語を書けるようになったという人はたくさんいると思います。

私が子どものころは田舎の中学生がもちろんそんなフォニックスなんて知るはずもない時代でしたから、アルファベットの正しい「読み」など知るすべもなかったのですが、たとえばwatchを「わとち」とかkitchenを「きとちぇん」とか言って覚えたものです。

そしてそういうことに気づいた生徒ほど英語はよくできるようになったものでした。

自分の頭で勉強というものをとらえていたからでしょう。別の言い方をすると「学ぶ力」を持っていたと言えるのかも知れません。

 このような経験から言わせていただくと英単語を書けるようになる一番の秘訣は「読みとつなげて覚える」ということに尽きるのではないかと思います。

このような表現をすると「ああ英文を丸暗記する昔流のやりかただね」などと言われる方がいるかもしれません。

しかしそれは2つの意味で間違っています。

まず1つ目は「英文」を丸暗記するのではありません。

私たちが英語を学習した昭和の時代には確かに英文の丸暗記「暗誦」や「暗写」などが普通に学校でも行われていました。

私自身も中1中2の教科書などは何も見なくても全文書けたものです。

しかし今回お話しているのはそういうことではありません。自分が書けないと思っている英単語については「音」とつなげて覚えるべきと言っているに過ぎません。

英文の暗誦は実際には英語的センスのベースを創り上げるのに役立つ部分も多いので一概には否定できませんが、無理にそれをする必要はありません。

また私自身の考えになりますが、今の教科書は会話文だったりタイムリーな教育的な話題(外国文化のこととかが盛り沢山出てくる)が多くなっていて暗記するに足りる内容があるとも思えません。あとで潰しが効く英文が昔と比べて少ないのです。

たとえば今時 This is a pen.とかがそのまま出てきませんよね。そういう表記でThisは登場せず色々な難しげな単語がちりばめられた英文の中に出てきます。そのような英文を丸暗記してもそもそもそれを自分のベースとして活用がしにくいのが実際です。むしろ単純な昔風の学校英語的英文だったからこそ暗誦の意義は大きかったのだと思います。

次に2つ目はとしてこのやり方は英単語を暗記するわけではありません。

むしろ暗記する前の段階が問題になっています。

上述のようにアルファベットの無味乾燥的な無限とも思える文字の組み合わせの中で暗記のためのトリガーを探すことこそがテーマになっているのです。そのために音とのつながりが大切なのです。

でもこれは難しそうで意外に難しくはないのです。やり方はこんな感じです。

まず普段から英単語を書くときに、自分流でいいので音とつなげて書くようにします。

その際には正しい発音で書くよりもむしろ自分流がいいのです。その方がより忘れにくくなります。発音の学習とは切り離してこれを考えてください。

たとえば studyを覚えようとする場合に 「スタディ」と正しい発音で音を出しても生徒は sutadi と書いてしまうのが普通です。

一生懸命ローマ字を勉強してきた生徒ほどこうなります。

sを単独で「ス」と読むことを意識出来ておらず「ス」はsu と信じてしまっています(ローマ字なら正しい)

「タ」だからta だと思い「ディ」だからdi(あるいはdei) だと思うのです(どれもローマ字なら正しい)

まずはそのつながりを断ち切って

s→「ス」

t→「トゥ」

u →「アともウとも読む」

d →「ドゥ」

y → 「イ」

こういった音と語の英語的つながりを覚えつつ自分流で覚えればいいのです。

たとえばまず最初は 「スツドゥわい」というような音で覚えて行けばいいのです。

そうこうしているうちに、とても重要な英語の読み方のポイント「yはほとんどの場合『イ』と読む」ということも知らず知らず学んで覚えて行けるのです。

英単語が書けないというのは多くの場合決して努力不足が原因ではありません。ほとんどの場合コツがつかめないことが原因です。

でもコツをつかめない生徒はなぜいつまでもその状態から抜け出せないのでしょうか?

それは1つには、学校での英単語学習指導がえてして方向性を誤っているということ。

だからひたすら書いて書いて書きまくって、1つの単語もかけないという悲劇がよく起こっていると言えるのです。

今回は取り上げませんが、英単語の上手な覚え方として一度に10とか(大学受験なら100とか)ずつ違う単語を同時に覚えるという方法が良いと言われることがありますが、これは人間の記憶力をよく理解した良い方法だと言えます。

つまり同じ単語、しかも特徴をつかみにくいアルファベットを繰り返し書いても記憶の襞には何も残らないことの方が多く、複数の多くの単語を同時に覚えるようにすることで特徴を覚えることができるという発想から言われているのがこの方法なのです。

とにかく同じ単語を10回書けば、おそらく3回目くらいで誰でも単なる作業になり頭を使って記憶するということとは全く違うことを延々と続けることになってしまうのだけは間違いありません。時間の無駄です。

それは1つには、周りの人間が「英単語も覚えられないのは努力が足りない」という誤った評価をしてしまっているということ。

多くの場合周りの人間は自分自身が何となく覚えられたので、その生徒が覚えられないのは怠けていると勘違いをしています。

しかし英単語学習の環境は学校の指導のやり方で千差万別です。実際のところ同じ学校の英語の先生が複数いる場合に「A先生のクラスの英語は壊滅だけどB先生のクラスではやたらに単語が得意な生徒が目立つ」なんてことはよくあります。

保護者の方が学生時代に幸い英単語を覚えやすい指導に触れて英単語が得意であっても、お子さんの学校の先生は「20単語を1単語10回、全部で200単語書いてきて」と言って毎日宿題を出す先生なのかもしれないのです。だから問題は親子での能力の遺伝の問題などでは全くなく、ましてや努力の量の問題などでもなく、単に環境として与えられた英単語学習における指導者の質の差の問題だったりするのです。

これとは逆に保護者(親)が英単語で苦しんで昔それを乗り越えた方の場合に、(親が親身にアドバイスをすることで)むしろお子さんが英単語をよく覚えられたという事例を私は過去に何度も見てきました。できなかった方の方がコツをつかむまで工夫をされて修正法を知っているのです。

だから努力ではなくコツだと言っているのです。

それは1つには、勉強の成果と言うものが投入時間に比例して得られるという大きな誤解があるということ。

実はこれが一番厄介な問題かもしれません。

不幸にも保護者の方も本人も学校の先生も同時にこのような同じ感覚を持っていると、ほとんどの場合英単語はいつまでも覚えられず、ずっと苦痛の中英単語をノートに書き続けるという作業を生徒は永遠に続けることになってしまいます。

すべてはコツなのです。とすればやり方を変える事が真っ先にやるべきことであり、そこが最も大切になります。

「なぜこんなにやっているのに覚えられないのか?」

その理由を冷静に一度考えてみるべきです。

音とつなげず単にノートに同じ単語を続けて書写することは、言ってみればバットにボールが当たらないのに猛烈な筋トレを毎日繰り返しているようなものです。当たるための工夫を見つける事こそすぐ行うことなのです。

今することはたくさんやることではないのです。

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