分数と比の意味を理解できていない中高生
分数も比も小学校で学習をします。複雑な問題はともかく割合などに比べると比較的繰り返しによって理解が進んでいく単元かと思います。
でも「中高生でも分数と比がわかっていない」と言ったら驚くでしょうか?
分数と比の考え方についてしっかり押さえていない生徒は実に多いのです。
例を挙げて説明します。
重さ3.5kgのパイプがある。このパイプをA :B=2:5の長さに切断してBの部分を山田君に渡した。山田君に渡したパイプの重さを答えなさい。
これは小学校で学習する内容です。
しかし中学生あるいは高校生でも意外に答えられない生徒がいます。
答えられる生徒も、大体はこんな解答をします。
3500÷7=500 500×5=2500 A.2.5kg
正解ですが、「じゃあ。1つの式で出してみなさい」と言うと
大抵答えられません。
1つの式であれば
3500×5/7 A. 2.5kg
という形になります。
このようなことになるのは、
分数というのが、比の概念を別の角度から見たものであることをしっかり理解していない
つまりは分数が分かっていないということが原因です。
5/7というのが全体を7つに分けた5つ分であることを理解していれば、上記のような1つの式で答えを求めることができます。
しかし2:5という比の考え方にこだわって、これが全体を2と5に分割していること=全体を7つに分けていることをしっかりとらえられていないと、分数という発想が出てきません。
数学はもちろんですが、理科(化学や物理)では、この考え方が非常に頻繁に出てきます。
特に高校の化学や物理で「解説書に書いてある意味が分からない」と言って相談してくる生徒の中に、この考え方の部分が分かっていないため質問をしてくる例がわりとあります。
一度確認しておけば大丈夫だとおもいますので、チェックしてほしいところです。
分数の計算を十分にマスターできているのか?
分数の計算というと、たし算や引き算で出てくる通分が苦手だといって、中学生でも忘れていたりできなかったりする場合があります。
しかし意外に理解できていないのは分数と比の考え方の関連性です。
例を挙げて説明します。
a b = c d を a について解きなさい。
これは 「式を a = の形の式にしなさい」という問題ですが、
両辺をb で割れば
a = cd / b という解答を出すことができます。
では
a / b = c / d を a について解きなさい。
という問題ではどうでしょうか。
これも割と簡単です。
両辺 × b で
a = bc / d という解答を出せます。
ところが
b / a = d / c を a について解きなさい。
この問題を見ると、高校生を含めほとんどの生徒がどうしたらいいかわからず手が止まってしまいます。
見た目そんなに難しそうではないので、わからないことを自覚すると皆意外に思いますが、
基本計算力をしっかりつけておくということは重要であるということを知るためには良問だと思います。
いくつかのやり方がありますが、
分数が比を別の形で言い表したものであることを利用すると
bとa の比がdとcの比と同じであることを、この分数の式は表しているので、
b : a = d : c と考える事が出来ます。
したがってこれを計算すると a d = b c という式になります。
*これを「斜め掛けは等しい」として、公式にして覚えておいても便利です。
そして 両辺をdで割って
a = bc / d となります。
基本計算で引っかかった時に確認をする
このような基本の計算については中学高校と進むにつれて、実際に「どう計算するのだろう?」という場面にならないと学習をするチャンスがありません。
逆に言えば、わからないと気づいたときにしっかりやり方を確認しておくことが重要です。
高校数学や理科では、理論を考えるための時間はあっても、計算法を考えるために与えられる時間は段々短くなっていきます。
そのことを考えると、計算の部分がわからなくて時間を失うことがないようにしていかなくてはなりません。
計算法のような基本的なことだからこそ「おやっ?」と思ったときに確認をしていくべきです。
普段の学習の中では、そういう確認をする時間はなかなか取れないかも知れません。
しかし時間がある今であれば、
ふと「この計算法は?」と思えば、確認をする余裕も十分にあると思います。
ひっかかりが出来たときに一度じっくり確認をすると良いと思います。
今後も皆さんのお役に立つ情報をアップしていきます。
ありがとうでございます。分数と比の関連性を知っていない子はけっこうみうけられます。早速指導にいかしてゆきたいと思います。感謝致します。
コメントありがとうございます。
やはりそうですか。正面から教わっていないということもあるかも知れませんが、役に立つ知識なので知っていて欲しい内容だと思います。