【対策学習のコツ】対策の合理性を上げるために重要な「捨てる何か」とは?

合理的な対策が結果を生む

 テスト対策・受験対策で直前期にどんな学習が重要かと聞かれれば、「合理的な学習」ということになります。

 よくテストが近づいてきて、課題が終わった生徒が「やることが済んで、何をやったらいいかわからない」と言っていることがありますが、課題が終わっても、意識して自分の弱点を埋めるようなやり方をしなければ、それは対策をしたことにはなりません。

 対策は課題が終わって初めてスタートするくらいの意識を持ちたいところです。

無駄を省くこと

 対策で重要な「合理的な学習」とは、「無駄を省いて今の自分に必要なことを手当てする」ということです。

 テスト対策を皆がなかなかうまくできない理由は、時間的な制限があるというところにあります。

 もちろん普段からテストまでを意識して準備していれば時間は結構あるのですが、日々忙しい生徒たちにはなかなか難しいことでしょう。

 部活動や学校行事などをすべてやめて純粋に勉強するだけの学校に変われば別ですが、今の日本の学校制度では無理です。

 部活動もしっかりやり、学校行事でも主体的に活躍して、友人関係も活発で、その上に勉強も日々しっかりこなして、テスト前には準備が一回通り仕上がっている、そんな生徒を文科省は想定しているのでしょうが、そんなスーパー生徒に皆がなれるものではありません。

また、なる必要もないと思います。

 話が脇にそれましたね。

無駄を省く学習の具体的な話に移ります。

無駄を省く一番の要諦は、現実的に「やらないことを決めて、それはあきらめる」ということです。「捨てる何か」を作るのです。

あれもこれもと考えてやり始めると時間はいくらあっても足りません。

1つのことをカットすれば、他の1つのことを十分できる時間が生じる

 たとえば、中2の数学のテストを例にとって説明します。

テスト範囲が、一次関数、二元一次方程式とグラフ、一次関数の利用、角の基本だったとします。

 課題として数学の副教材が2冊、提出しなくてもよいが自分でやるように言われたプリントが8枚程度与えられているとしましょう。これくらいが実際もだいたい平均的な量だと思います。

テスト前々日を想定します。まだ副教材もプリントも終わっていません。

その時期に生徒本人が、角の問題は何とかできるが、一次関数がまるでわからない状態だったとします。

この場合に万遍なくすべてをやろうとしても、結局一次関数という大部分の分野で得点がもらえません。

 こんな時は、一次関数の式の作り方・グラフの書き方・読み方は比較的簡単に仕上げができるため、角とその部分だけに学習の重点を置きます。

時間がなければ二元一次方程式とグラフ、一次関数の利用は捨ててしまいます。一次関数が理解できていないのに複雑な文章題を短期間でマスターすることはほぼ無理だからです。これが「捨てる何か」です。

 ただ、ごく簡単な問題 Y=3とかをグラフ化する問題などだけはやってもいいかとは思いますが…。 

 課題についても副教材についてはやりますが、提出不要のプリントは余裕がなければやりません。

その代わりに上記の今自分ができないが、おそらく時間をかければ完全にできる部分に力を注ぐのです。 

現実を見ず理想ばかりでは現実の生徒の成績は伸びない

 このようなことを書くと真面目な学校の先生方から反発が起こるでしょう。しかし、学習とは「その生徒が今できることの少し前に向けて」進んでいくことではないでしょうか?

 テスト前に上記のような生徒が、副教材のたくさんの課題をやっていて、決まって「先生、一次関数の利用のこの問題とこの問題がわかりません」と聞いてきます。

 私なら、生徒の状況が上記の状態であれば、「その問題は答えを見て書いておけばよい。それよりこちらの問題をやろう」と言って基本の問題をやらせます。

 上記のような状態であれば、応用問題が直前期にわからないのは当然です。それを理解度にかかわらず全生徒への課題として一律出してあることがそもそも問題なのです。

 真面目な生徒ほど、延々と本人が今できそうもない問題に悩みそれをやり続けます。「解説書の答えを見てからやりなさい」といっても答えを絶対に見ません。時間の無駄この上なく、基本がほぼわかっていない状態で応用をやっているので、この勉強が結果に結びつくことはありえません。

 ABCDとやることがあり、A一番の基本、B応用、Cかなり応用、D基本という場合、A→D→B→C の順にやって仕上げていくのが正しいやり方なのは誰が考えてもわかることです。

しかしこの生徒はABCDの順でやり、BCのところで頭を抱え込んでいるため、AとDの徹底ができず、BCはわからないままという結果になってしまうのです。

 学習のやり方が良くない典型例です。

できる問題はもうやらなくてよい

 逆に一次関数も角も十分にできていて解ける生徒の場合はどうでしょうか。二元一次方程式もたぶん大丈夫なものの一次関数の利用だけ自信がないとします。

 副教材は終わったが、課題のプリントについては、たぶんほぼできるけれども終わっていないとします。

この場合には、もうプリントはやらなくてよいのです。

また一次関数の利用以外のところを繰り返す必要もありません。できるのですから。

一次関数の利用の問題を、副教材の見直しや別のプリントなどで徹底して繰り返します。ほかのところは当日直前にやり方を見直せばOKです。

 こういう状況でも、「心配だから」と言って一次関数の基本や角の基本問題を繰り返している生徒が時々います。こちらも上記の生徒の場合と反対の意味で無駄な学習をしていると言えます。

 結局詰めの甘さで高得点が取れないという結果になってしまいかねません。

学校課題が制約になってしまっている事実

 このように対策学習では、「無駄を省いて今の自分に必要なことを手当てする」 ということが一番重要です。

それがスムーズにできた場合には良い結果を得ることができるはずです。

対策学習のポイントはここにあります。参考にしてみてください。

 しかし現実には、一律に出される学校課題によってこのような役に立つ対策のやり方ができにくくなっているのも事実です。

せめてテスト前には課題をなしにしてはどうでしょうか。学校の先生方。

生徒はテスト前にやるべきことがそれぞれ違うのですから…。

 今後も皆さんのお役に立つ情報をアップしていきます。

 

“【対策学習のコツ】対策の合理性を上げるために重要な「捨てる何か」とは?” への2件の返信

  1. 大変勉強になりました。捨てさせる勇気を持って、基本的な問題をやらせ、理解させたいと思いました。ありがとうございました。

    1. コメントありがとうございます。
      捨てさせるのは確かに勇気も必要になりますが、その時間を重要なことに回すことができます。
      その見極めが大切になりますね。

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