青雲学院では小中高一貫指導をしていますので、小学校から中学、中学から高校、あるいは小中高と長く通う生徒が結構います。
塾へ来た最初はなかなか問題をうまく解けず、どうしたら良いペースに変えていけるだろうかといろいろ対策を考える必要がある生徒が、時を経てある時を境にびっくりするほどできるようになることがあります。
逆に、小学校の時は打てば響くようにとてもクレバーにさくさく解答していた生徒が、念願の志望校に合格して高校生になった途端にペースが落ちてしまう場合もあります。
この仕事を始める前は私も、たぶん一般の人のイメージもそうであるかと思いますが、頭の良さや学習能力というのは実は最初からある程度はレベルが決まっていて、超えられない壁というのは現実にはあるのではないかと漠然と思っていました。
しかし、実際はそうではありませんでした。子どもは驚くほど変わります。予想はいい意味で裏切られました。
小学校で学習に四苦八苦していた生徒が、中学が終わるころにはトップクラスにいたり、中1で数学で10点も取れなかった生徒が中3で80点以上の得点を取ったりすることもあります。
もちろん、このような短期的な場合には、学習の工夫で成績を上げる方法が功を奏しただけかもしれません。
けれども、長期的に見違えるほどできるようになっていく生徒もかなりいます。そういう生徒は自信が出るせいか、風貌も心なしか変わるようにさえ見えます。このような現象はなぜ生まれるのでしょう?
長年生徒を見て来て思うことは、子どもが「なぜ?」という問いかけをできるかどうかが、その変身の鍵であるように思います。
簡単に言えば好奇心ということになりますが、長期的に伸びる生徒は、初めの頃は多くの場合、1つのことについてどうしてそうなるのかがわからず、そのことを考えているうちに別のことを与えられて処理不能な状態になって、成績が上がらないということがわりとある気がします。
ゆっくり型ですね。
これに対して初めの頃から、与えられた題材をそういうものかと「なぜ?」という問いかけを経ずに吸収していく生徒は、やり方にもよりますが、長い学習生活で学習がつまらなくなっていく場合が時にあります。人間は暗記マシーンではないからです。
ぐんぐん伸びてくる生徒の集中力は凄いです。こちらが話しかけても気づかないこともよくあります。「今日はここで終わり」といっても「あと1問教えて、あともう1問…」と終わりません。勉強が面白くて仕方がないという感じです。正に好奇心全開です。
このような「なぜ?」から始まる不思議の力こそが、人を学習へといざなうものなのかもしれません。
そして、不思議の力を失うと、勉強への推進力も失われてしまうような気がします。保護者の皆さんもそうではありませんか?「なぜ?」と思っている間はとにかくそのことに集中しますよね。大人も子どもも同じだと思います。
「これはこうだよ」と教える前に、
「どうしてそうなると思う?」と聞いてみるのはいかがでしょうか?