成績が変動しなかったり頭打ちになる本当の理由とは
一生懸命勉強して学習習慣も悪くない生徒が、意外に順位が伸びてこないときまず疑うのは、以前も書いたようにアウトプットの際に何か理由がないかということですが、それ以外の要因として本人に「思考の壁」がある場合があります。
生徒の順位がずっとほぼ同じであることがあります。記録ミスでなく正確に同じ順位を複数回取る生徒は珍しくありません。
これも偶然ではありますが、「思考の壁」が作用していることが多いのではないかと思います。
「思考の壁」とは、客観的にはそれ以上の成績を取れるのに、自分の中でそれ以上の順位は取れないという先入観や思い込みがあると、主観面でブレーキがかかり実際にもそのラインを越えられない現象です。
心理学的にそういうものがあるかどうかは専門家ではないのでわかりませんが、私は自分が司法試験を受験していたころから、ずっとこの「思考の壁」で成績が伸びない人をたくさん見てきました。
かく言う私もそうでした。
司法試験の択一模試で、まだ合格点に届かないレベルであった頃、とてもそんな高得点は取れないんじゃないかと感じていました。
ある日会場で準備をしていたら、すでに合格点を取っている人たちの会話が聞こえてきました。その話を聞いていて「おや?」と思いました。ずいぶん間違った内容を話していたからです。
私は最初は仕事のこともあって独学で勉強していたので、自信を持てずにいました。しかし、その時にふと「意外に自分は結構知識があるのか?」と思ったのです。
そして次の模試で合格点を超え、いきなり全国の優秀者として自分の名前が出ました。この時思いました。すでに出来るようにはなっていたのに、自分の中で壁を作っていてしまったのだと…。
試験にはメンタル面がきわめて重要ということもこのとき学びました。
成績の良い人は特別だという思い込み
勉強の成績に関しては、なぜか自分より成績が良い人について特別に優秀なんじゃないかという誤解を持つ人が多いです。
たとえばスポーツについて言えば、才能や体格などによる限界などがあるため、努力しても一定の限界ラインが生じることがあるでしょう。努力したって100mを9秒台ではなかなか走れません。
しかし勉強で成績を伸ばしていくときには、スポーツなどと比べると意外に限界は少ないように思います。
もちろん家庭環境は大きく学力に影響を及ぼしますが、それは実は本人自身の中にある壁ではありません。前に書いたように二宮尊徳などは、学習をしようがない厳しい環境の中で自ら学問をして世に功績を残しています。
正しいやり方で一定期間集中して対策をすれば、勉強の成績は案外簡単に上がるものであると思います。
けれども、多くの生徒は「あの子は頭がいいから」「あいつは部活もやらずガリ勉だから」と言って自分とは違うという先入観を持っています。本当に違うのはやり方だったりするのですが、そこには目を向けることがありません。
そしてその先入観が影響して、自分が勉強をするときにも、本当はあと少し先までやれば成績が伸びてくるのに、「自分の限界はこのくらいかな」と思って一歩手前でストップしていることがあるような気がします。
成績が優秀な人はきわめて普通の人
私の知り合いで中学のときに、テスト前に学校を数日休んで猛烈な勉強をして、100番以上順位を上げて1位を取った人がいます。結構荒っぽいやり方ですが凄いなと思ったのを覚えています。
彼の優れていた点は集中力でした。本人に聞いたら「教科書に書いてあるんだから、やればできるにきまっている」と豪語していました。
妙に納得しました。彼は悪い順位を取っていたからといって、自分が1番を取れないとは全く思っていなかったのです。
私の司法試験受験生時代、試験の性質上周囲には東大、名古屋大、早稲田大、慶応大といった有名な大学の卒業生が多かったのですが、みんな本当に普通の気さくな人たちでした。猛烈に勉強をしてカリカリしているというイメージは全くありませんでした。
また落ち着いて普通にやっている人ほど早く合格していったように感じます。そして、共通しているのは、自分がきっとできるに違いないと確信して勉強をしていたことです。「思考の壁」がなかったのだと思います。
能力を伸ばすカギは限界を設けないことかもしれません
私は結局司法試験を断念しましたが、後に私の長男は司法試験に合格しました。
しかし長男も別段頭が切れるという訳でもありません。勉強法を自分でよく工夫はしていましたが、私はほとんど見守っているだけでした。
ただ1つだけ、彼が学力をここまで伸ばせた理由を聞かれたら、答えられるそれらしきことはあります。
実は、私は彼に一度も「それは無理だからやめておけ」というような限界を設定することを言ったことがありません。
だいたいのことは「簡単簡単、できるに決まっている」というような感じでやってきました。それが彼が「思考の壁」を作らなかった一番の原因かもしれません。
思考の壁を破る方法
成績向上を阻む「思考の壁」なんて、作らないのが一番です。
お子さんの現在の学習状況にかかわらず、きっと成績が無限に上がっていくという未来を保護者の方がまず本気で思い描くことが大切です。
生徒本人が学習に関して一番影響を受けるのはやはり保護者の方です。「お前じゃ無理」なんてことは冗談でも言ってはいけません。
次に、もし壁ができてしまっている場合にも、本人の意識次第でいくらでも壊すことはできると思います。
私は上述した、私の知人の言葉が真実を言い当てていると思います。
「勉強なんて、教科書に全部書いてあるんだから、やればできるに決まっている」
この言葉を聞くと自分がいかに「思考の壁」を作っているのかを気付くことができます。
壁を作る生徒は、自分にとって難しいところにさしかかると「ここからは無理」と思って引き返します。しかし壁のない生徒は「ここから先にきっといける」と思って取り組みます。違いは本当にそれだけです。
そしてその違いは、この言葉のような「できるはず」という意識があるかないかで生じてくるものだと思います。だからその意識を持てばよいのです。
簡単に言うと「自分はできるはず」という「根拠のない確信」です。
笑う方もいるかもしれませんが、勉強で成功している人は皆頷いてくれるのではないかと思います。
今後も皆さんのお役に立つ情報をアップしていきます。
あらがとうございました。根拠のない確信が思考の壁を破る。とても良い格言です。自分自身にも当てはめますが、指導の際に、適応させたいと思いました。早速実践したいと思いました。あらがとうございました。
コメントありがとうございます。
知らず知らずに限界を引いているということはよくある気がします。
一度気づけば心の中で限界を取り払うことは意外にできるように思います。
指導にご活用ください。