「書いて覚える」こと
よく先生に「何回も書いて覚えなさい」「手に覚えこませなさい」という指導を受けたという話を耳にします。
私も学生時代にはよく言われましたが、学習はとにかく合理的にやろうといつも思っていましたので、実はそういうやり方にはあまり魅力を感じませんでした。
しかし、ただ目で見ただけでは人間覚えられる情報に限界がありますので、こういうやり方自体は間違っていないと思います。
「書く」という作業を通じて視覚情報を現実的な情報に置き換えるということが可能になりますから、「書く」という学習法は、記憶をしっかりしたものにするためには一定の効果があるのです。
暗記をしようというときに、たとえば本を読んでいるだけでは、なかなかすぐ英単語を書けるようにはなりませんね。
やり方には気をつける必要がある
けれども「書く」ということにあまりにこだわると、逆効果になることがあります。
以前記事にしましたが、たとえば「かさ umbrella」という単語を覚えるのに、
一生懸命「 umbrella umbrella umbrella umbrella …」と繰り返し同じ単語を書いても、頭が活動しているのは最初の数回くらいで、あとは本当に作業をしているだけになってしまいます。
単純なやり方というものは時にかなり効率が悪い方法になることがありますが、書く場合には、能動的な行動の繰り返しになりますので、その分無駄の度合いも大きくなります。
書いては隠して覚えるとか、自己テストを織り交ぜたりするなどやり方の工夫が必須です。効率よく暗記するノートの書き方などもあります。
いずれにしても、ただ連続して書くだけという方法は避けた方が良いです。
書くのには時間がかかる
またどのようなやり方をするにしても、「書く」方法には時間がかかります。
たとえば明日テストだというのに、ワークの最初から大事なことを順に書いていこうとしている生徒をたまに見かけます。
「テスト直前なのでまとめてみよう」という趣旨なのでしょうが、これも効率が悪すぎます。
こういう場合は、「読み直す」という方法の方が適しています。
そして、忘れかけているところをもう一度詳しくやり直したり、「漢字で書けるかな」と思ったような場所についてのみ、実際に書いて覚え直せばよいのです。
つまりTPO(時と場所と状況)を意識して学習の方法を考えるということがとても重要です。
どうすればTPOに合った方法がわかるのか
そうは言っても、自分ではTPOに合わせた方法がわからないという方もいるかも知れません。
そういう方は勉強着手前に、
①今時間に余裕があるのかどうか
②そこは、落ち着いてたくさん書くことができる場所なのか
③「書く」方法以外で目的を達成できるもっと良い方法がないのか(書く方法はなるべく避けた方が作業の強度が小さいので楽になる)
の3点について一度立ち止まって考えて見るとよいと思います。
テスト直前には、時間の余裕もないし、「書く」方法以外にも全体の「読み直し」という良い方法があるので、たくさんのことをやるのを阻害してしまう「書く」方法は避けたほうがベターです。
しかし普段の勉強時に、おちついて順に記憶をしっかり定着させるような場合には、「書く」やり方も効用があります。
おそらく 合理的な学習をしている人は 、こういうチェックポイントを強く意識もせずに、的確に判断して学習をしているのではないでしょうか。
けれどもやり方が悪い人は、こういう判断をすることなしに、いつも同じ方法を機械的にやってしまっているのだと思います。
ほんのちょっとの工夫というものが、大きく変化を生じさせることができる場合があります。学習のやり方などはそのいい例だと思います。
普段から勉強を始める前には、「このやり方は今からの学習にあっているかな」と立ち止まって一度考えてみる習慣を作ると良いと思います。
今後も皆さんのお役に立つ情報をアップしていきます。