三角定規を上手く使えない生徒
小学校の算数で三角定規の使い方を習います。
直線を引くというようなごく簡単なものから、二つの三角定規を組み合わせて平行線を書くような作業もあります。
またそういう平行線の作図と分度器を上手く使って、ひし形を書いたりするようなものもあります。
普通生徒に書き方を教えても、なかなかうまくできません。
最初からスイスイ書ける生徒は少ないと思います。
まず細い線が引けない
多くの生徒が、鉛筆を持つ手に変に力が入ってしまって筆圧が強く太い線になったり、定規と鉛筆の合わせた部分の角度がブレてゆがんだ線になったりします。
見ていると苦戦の連続です。
線を普通に引くのですらそんなに手こずってしまうのですから、平行線やひし形など夢のまた夢です。
平行線を書くつもりが、なぜか線が交わってしまうなどという離れ業も見かけたりします。
むしろ定規を組み合わせスライドさせているのに、二つの線が交わるように書く方が平行線を書くより数倍難しい(というか書けない)ように思いますが、
生徒が没頭してやっていて「先生できました」と言うので見たら、平行線でなく交差する線だったときには正直驚きました。
思わず「どうやって書いたの」と聞いてしまいました。
これくらい定規の使い方がなかなかうまくマスターできない生徒は多いのです。 この傾向は割と最近の傾向のように思います。
理由は簡単です
なぜこんなに定規を皆上手く使えないのだろうかと疑問に思って考えてみました。
まず考えられるのは、学校で練習をあまりやらなくなったのではないかということですが、いろいろ聞いてみると、昔とそんなに変わってはいないようです。
それで謎に思っていたのですが、ある時定規を上手く使えない生徒に共通点があることに気づきました。
塾で生徒に宿題を出すときに作図の宿題を出すと、「家に定規がない。学校から持ち帰らない」というのです。そうでなくても筆箱に定規が入っていないことが多いのです。
最初は宿題逃れて言っているのだと思いました。
しかし結構そういう生徒がいることに気づきました。
「定規を学校に置いたままにしておく」
低学年ならそういうこともあるのかも知れませんが、およそ意味のない行動です。
また、定規なんて筆箱に入れておいていつでも使えるようにしておかないと、器具としての役割が果たせません。
それで「ああ、これが原因か」と思ったのです。
器具の使い方は手にして使わないと身につかない
器具というものは、紙面に使い方が書いてあっても実際に手に取って使ってみないと上手く使えないことが多いと思います。
イメージだけでは使えません。
最近は教科書にも分度器の絵などが書いてあったり、定規の使い方も図解で丁寧に書かれていたりするものもあり、至れり尽くせりの感があります。
しかし、そういう教科書などの親心がかえって生徒の「試す楽しさ」を奪っているのかもしれません。
幼児が積み木を積んでは壊して何かを創り上げる、創作力を育むお遊びをするのと同様に、三角定規の使い方も、実地にあれこれ試しているうちに自然と使い方もマスターするものだと思います。
昔の子どもたちは遊ぶためのゲームなどもなかったので、三角定規をピストルに見立てて遊んだりしたものですが、その方がまだ定規の使い方をマスターできたのかもしれません。
小学校で使う算数に用いる器具類としてはほかに電卓などがありますが、いずれにしても壊れそうになるくらい頻繁に使ってやり方を覚えるのが、今も昔も一番近道のような気がします。
勉強ではありますが、こういう事についてはやはり昔ながらの方法が正しいのかもしれません。
今後も皆さんのお役に立つ情報をアップしていきます。