予習型の学習スタイル
小中高共通して、塾や家庭教師を利用している場合はもちろん
そうでなく自分自身が自主的に行う場合も
予習型の学習スタイルをとっている生徒が一定数います。
塾の場合には、授業スタイルであれば予習型が主流ですし、個別指導でも復習型だけでなく予習型もあります。
予習のメリットは、学校で学習する前にある程度どんな事をやっていくのかを予測できるので
学校での学習に安心して参加できるようになるとともに
情報をたくさん得ているので、学習についていけない事が少なくなり
あるいは発言も的確にしやすくなるなどの点が挙げられます。
割と順調に勉強が進んでいる生徒は、積極的に予習を望む傾向があるようです。
やってしまいがちな失敗
私は長く塾の教師をしていますが、学生時代に
学校の教育実習に行った時に生徒に言われたこの言葉を忘れることができません。
その生徒は実習で私が授業の補佐をして個別に指導をしていた際に
間違いを直そうとすると
「これ塾でやったからわかる」と言って、私のアドバイスを一向に聞かなかったのです。
明らかに間違っているのですが、自分の中に変なプライドができてしまっているのか
何も聞いてくれませんでした。
これには大変驚きました。
当時私自身は塾には全く関係がなく、自分自身も司法試験予備校以外には塾と名のつくものには通った事がないので
「これは、学校の先生も大変だ」と思ったのを覚えています。
実は予習型の生徒が陥りやすい失敗とは、これです。
すでに一回学習をして出来てしまっているという自信が
柔軟なアドバイスを拒んで受け付けなくさせてしまうのです。
これもかなり前になりますが、私が塾で講師として授業をしていた頃にも同じような経験があります。
その塾の授業は予習型だったのですが、
その年のそのクラスでは、たまたま地域の学校の先生の授業の進め方が非常に速く
通常の想定を超えたスピードで進んだため、
学校の授業に追い越されるということがありました。
学校の先生は新人で、かなり雑な進め方でそれはそれで1つの問題となっていました。
何人かの生徒は私たちが指導をしようとすると
「そのやり方はおかしい」と言って
いくら丁寧に説明をしても全く聞きいれようとしません。
「学校の先生はこう教えた」という事を頑なに主張して、そもそも説明自体を聞かないのです。
この時学校の先生の教えた内容というのは、
教科書とは異なり、かつその先生の自己流の教え方で、そのやり方では後に生徒が混乱するのは目に見えているものでした。
しかし「すでに自分は知っている」という自信が聞く耳を持たせないようにしてしまっていたのです。
仕方なく私は、「じゃあそのやり方でいいから答えを出して」というと
生徒たちは喜んで、私に教えるように答えを出していきます。
そして私が思っていた通り
少し角度を変えて聞く問題になると、見事に1つも正解を出すことができません。
仕方なくもう一度正しいやり方を指導するのですが
すでに覚えてしまったやり方を変えられず、どうしてもそれを受け付けられないため
生徒たちはその後もかなり苦戦をしました。
少し思い込みが激しいタイプの生徒たちではありましたが、学校の先生の特異な指導で混乱を生じさせてしまったことは、本当にかわいそうであったと今も思います。
年度の後半になって、保護者からその学校の先生の指導にはクレームが入るようになったようですが
生徒たちは、そこで覚えてしまった方法を変えることは結局出来なかったように記憶しています。
勉強では、最初に情報を取得した時の印象というものがかなり強いため、
一番最初に学んだ事を大前提にしていまうというのが、心理的にはあるようです。
だから最初に習った事を覆すというのは、たとえそれが間違った内容であっても容易ではないのだと思います。
予習したからといって「すべてそれでできる」というような思い込みは禁物です。
予習については、それをしっかりやっていても
「少し入口を知っている」
「ちょっと知っている」くらいのイメージで
学校の授業を受けることをお勧めします。
実際成績が伸びる生徒ほど、予習をして知っていても
それをおくびにも出さないという傾向があるようにも思います。
塾で予習をする型の指導を受ける生徒の中には、さらにその前に予習をしてくるという生徒もいるのですが
そういう生徒の中には、上記とは逆で
「予習などしてないよ」という様子で
初めてであるはずの問題を、素知らぬ顔でできてしまうような生徒がいます。
そして、「どうしてできるのか」と思い不思議になって聞くと
「家で一通りやってみたけど、まだよくわからなくて」
などと謙虚なことを言ったりするのです。
こうなると、もし学校であれば高い評価を受けるであろうことは間違いないと思います。
でもこの生徒は、別に先生に高く評価されたくてこういうやり方をしているのではないでしょう。
好奇心、あるいは新しい内容への期待や不安から早く学習したくてしかたがないから予習をしてみた。
かといって、それで大丈夫とも自分では思わない。
だから、自分が「予習したという事実」よりも「内容自体」に興味がある。
こういう流れから、上記のような態度にもなってくるのではないかと思います。
そうなると、予習というものも
勉強への興味からスタートすることが一番大切で
「先生をびっくりさせてやろう」とか
「友だちより先に知っておこう」という動機も
悪くはないのですが
そういう動機の場合には、今回書いたような先入観が生じないように気をつけることが必要かもしれません。
今後も皆さんのお役にたつ情報をアップしていきます。