「記憶力がなくて」という嘆き
なかなか暗記ができない生徒が、時につぶやくのが
「記憶力がなくて」という言葉です。
でも、そういう生徒に限って
他人との約束事や、以前あった出来事などを
しっかりと正確に覚えていたりします。
ただ社会科の歴史の人名や法律の名前などを覚えられないだけだったりします。
テストで正確に暗記をして毎回100点を取るような生徒が
逆に日常生活ではぼんやりしていて
前に話したことを覚えていなかったり、
約束事を完全に忘れていたりします。
得てして勉強面でのエリートは、生活面ではしっかりしていないということがたまにあるようです。
こういうことを頻繁に目にすると、
「頭の良さとは何だろう?」と思わずにいられません。
おそらく、記憶というものは
単に「記憶力」と言われていますが
そこに差が出るのは
「記憶の仕方」をよく知っているかどうかによるだけのような気がします。
生来の能力差ではないのではないか、
そう思うようになりました。
暗記が苦手な生徒の共通点
暗記が上手くできない生徒と話していると
暗記事項が、単に「言語」的な記号に過ぎず
まったくイメージをもって頭に入っていない場合が多いことに気づきます。
「地租改正」という言葉を
お題目のように「ちそかいせい、ちそかいせい」と覚えても
たぶん記憶には残らないでしょう。
たとえば
「土地を持っているおじさんが、お金をお役所に持っていく姿」であるとか
もっとイメージ化して
「お札」「土地」「ひげを生やした役人の姿」を頭に描いてみるとか
そんな映像があって初めて
より記憶に刻み付けられることになるということを
彼らは全く知りません。
だからイメージや意味をしっかり説明していくと
次の機会に聞いた時に
「ああ、あの時のひげの役人」と言ったりして
ストーリーを思い出してくれたりします。
情報のつながり
また、以前何回か記事にしましたが
情報は、単独では非常に忘れやすいのですが
複数の情報がつながりをもってまとまっていると忘れにくくなります。
たとえば
「低気圧においては空気がどう動くのか」ということを単独で覚えようとしても
混乱して忘れやすいのですが
「低気圧」→「気圧が低い」→「周りから空気が吹き込む」→「行き場のない空気が上昇」→「水蒸気が上る」→「雲ができる」→「天気が悪くなる」
と言った形で ストーリーをまとめて覚えておけば
何も無理がなく、ひとまとまりの知識を暗記できます。
人間の頭脳は機械と違って
イメージングがあって初めてうまく作動するのかも知れませんね。
逆に言うと
こういう「記憶のやり方」を早い段階で知っている生徒が
暗記が得意な生徒のような気がします。
どうして差が出ているのか
ではどうして「記憶のやり方」を早い段階から知っている生徒がいるのでしょうか?
それは周囲の環境だと思います。
親が何かを覚えている様子を見たり、
あるいは誰かと話をしているときにピンときたり
テレビやネットを見ていて
面白い覚え方をやっているのを見て、
覚え方を考えるのが面白いことに気づいたり
いろいろなきっかけではないかと思います。
一つ言えるのは
そういう「記憶の仕方」を学ぶチャンスは
「学校に通っているから」
「塾に通っているから」
自動的にあるというものではないと言うことです。
だから、かなり大人になっても
「記憶の仕方」があるということに気づかないままの人が、結構いるように思います。
学習の内容とは独立して、学習法の勉強が必要であるというのは
こういう事があるからです。
正しい「記憶の仕方」をマスターしていけば
いつの間にか「記憶力のある人」と言われるようになり
いつの間にか「頭のいい人」と皆に言われるようになっているかも知れません。
今後も皆さんのお役に立つ情報をアップしていきます。
*青雲学院では、通常の学習指導とは別に「学習法コーチ」という指導もやっています。ご興味のある方はお問合せください。https://jukennoseiun.com/