最近一部の地域でススキが減少したという話を聞きました。
私の住む地域は比較的田舎なので、今でも結構ススキを見かけます。
秋を感じさせてくれる植物ですね。
ススキは秋の七草のひとつで、尾花という名称で呼ばれていました。枯れ尾花という言葉を聞けば「幽霊の正体見たり枯れ尾花」ということわざを思い出す人もいるかと思います。
秋の七草は万葉集で山上憶良が歌ったところから始まったそうですが、その中でもススキは本当に秋の代名詞といってもいいものです。
月見と言えばススキと団子という定番のイメージもありますね。
ススキを見て秋を感じるときいつも思うことは、ススキのような草を七草として句にしてしまったり、月見のアイテムにしたりしてきた日本の文化が、とても素敵だということです。
最近ススキは海外に進出して、アメリカでは侵略的外来種になってしまっているそうですが、ところ変われば文化も違い、あまり歓迎はされていないようです。
現代は主観的な時間のスピードが加速している気がします。
自分のことを振り返ってみても、子どものころ夕焼けを見ながらススキに囲まれた田んぼ道を歩いてのんびりと家に帰った情景は、懐かしい思い出として心に強く残っています。ですが年を経るにつれ、そんなゆったりとした時間の流れの中に身を置くことは本当になくなってきている気がします。
名もない庶民であった人々は、今より生活は苦しかったり大変な目にあったりしたことも多かったに違いありませんが、精神面では、ススキを愛でて秋を楽しむ、実に豊かな暮らしをしていたのだと思わずにはいられません。
日常にある身の回りのありふれたものを見て季節を楽しむ、そんな日本に昔からある自然と調和して生きていくライフスタイルを今こそ大切にすべきだと思います。