試験当日の気持ち
受験生はドキドキして、試験当日を迎えます。
これまでの学習の成果を発揮する日がいよいよやってきます。
私も自分自身色々な試験を経験してきていますし、生徒の受験をもう30年以上見てきていますので、試験当日の複雑な心境はとてもよくわかります。
今回は試験当日に気をつける点をいくつか書きたいと思います。
早く試験会場に行くとか、準備をしっかりしていくといったことは、いろいろな所で書かれていたり、何よりも学校の先生がしっかりアドバイスしていると思いますので、
ここでは、メンタル面での注意をお伝えします。
「そろ~り、そろ~り」
受験の時のメンタルを一言で言うと
「そろ~り、そろ~り」と言った感じではないかと思います。
今までやってきたこと覚えたことを、間違いなく冷静に、すべて答案用紙に出し切ってくることが一番重要ですが、
それはあくまで「そっと」冷静にやるというイメージです。
「やるぞ!」と言った感じで
鉢巻をして繰り出すというのが
受験のイメージにありますが、
そういう受験のイメージは誤っている気がします。
受験は自分自身との戦いです。
他人との競争のように見えて、実は自分自身の弱さや大雑把なところ、ミスの多さなどをどう冷静にクリアしていけるかが当日の最も重要なポイントになります。
だから、勢いをもって試験を受けるということは、メンタル的にはお勧めできません。
忍者屋敷に入って、何か敵の仕掛けがないか「そろーり、そろーり」様子を見るように試験をスタートしましょう。
冷静さというものが非常に大切です。
スポーツをやっていると試合は、やはり勢いとか闘志とかが結果を左右することが多いので、冷静さに加えてそういうメンタルが重要になります。
しかし試験の当日の場合、闘志は邪魔になることはあります。
試験の前日までは闘志をもって準備をすることは良いと思いますが、当日はあくまで冷静を第一に考えることが必要です。
終わった科目は、もう終わった
もう一点メンタル面で重要なのが、
「終わった科目は、もう終わった」ということです。
変な言い回しになりますが、
非常に多くの受験生が、
「終わった科目を引きずって」次の科目の受験をしています。
これが本来十分に得点できる次の科目の受験へ悪影響を与えることは、本当に多いのです。
「数学が難しかったので、その後全然できなかった」というような話はたまに聞きます。
切り替えができず引きずってしまったということです。
受験は複数の科目の全体の出来で決まるのですから、
ここは、「数学は難しかった」「でもその後は普通だったよ」というメンタルでないといけません。
「終わった科目は」
どんなに振り返って嘆いても
「もう終わった」のです。
終了したと同時に、試験が終了するまで
すべて忘れてください。
次の科目に心を移動するのです。
旧司法試験の論文試験の話
私の失敗談をします。
旧司法試験の論文試験である年、
民法で今まで見たことのない、一体何をこの問題は聞いているのかわからないような出題がされました。
正直全然わかりませんでした。どんな模試にも類似の問題は出ていませんでした。
自分なりに利益衡量というのをやって、法的には確かにこちらの利益も重要だけど、反対利益も考慮しなくてはいけないから、というようなことをとりあえず書きました。
そしてその科目が終わったときに、
「今年もだめかな」と早々に思いました。
それで次の科目に移っても切り替えられず、試験時間中にすでに終了した民法の問題文を頭でなぞっていたりしました。
次の試験科目の問題は典型論点ばかりのもので、いつも書いているような内容の問題でした。
「これはとりあえず大丈夫」と思って軽い気持ちで書きました。
この年も論文は不合格だったのですが、
送られてきた成績評価を見て驚きました。
あんなにできないと持っていた民法はA
そして総合評価もA
あと一歩で合格という得点でした。
ではなぜ不合格だったかというと、典型論点で楽勝と思っていた次の科目の評価がGだったのです。
基本的な定義を間違って書いたため、この評価をもらってしまったようでした。
まさに不合格を確信したときに、本当は自分には合格の女神が本当は微笑んでいたのです。
科目の出来なんて、他の受験生の出来や平均、偏差値で変わります。自分ができないと思っていても相対的にできていることはざらにあります。
怖いのは、難しくない科目で通常しないミスをすることです。
だから「難しいな」と思ったときこそ
気持ちを切り替えてください。
出来ていないというのは、あなたが思い込んでいるだけかもしれません。
合格の女神は、そんなときにこそ実は微笑んでいるのです。
今後も皆さんのお役に立つ情報をアップしていきます。