【情報リテラシー】責任を負わないメディアの本質「1983年富士山噴火」「2020年42万人死亡」

富士山大爆発

 ずいぶん昔の話です。

私がちょうど大学生で東京で暮らしている頃

「富士山大爆発」という本が出版されて一世を風靡しました。

相楽正俊という方の出版書で

「1983年9月に富士山が爆発する」という内容の本でした。

ちょうどその時期に帰省やら旅行やらで、新幹線で富士山の前を通る予定が何回かあったため

私はかなり心配をしていて、悩んだのを覚えています。

 単に学者が危険を煽る予測を立てて本を出すことだけなら

それはその学者の研究や信念によるものですから、止めようもないのですが

この本については、例によってテレビや週刊誌が大々的に取り上げて

毎日のように危険について話をしていたと思います。

もちろんテレビなどが「噴火する」とは決して言いませんが

そのセンセーショナルな取り上げ方を見れば、普通にそう思う構成になっていました。

だから、私は完全に信じていました。

 そして心配のあまり、結局その時期の旅行などはすべてとりやめにしました。

 ところが実際には、ご承知の通り富士山は2021年の現在に至るまでまだ噴火をしていません。

 最近また、噴火を危惧する話題が動画サイトには上がっていますが

マスメディアの流布する情報と違い

今の情報は、「あくまで一情報」という目で見られるので

意味合いが全く違います。

 1983年当時の状況だと、自分の実感としては

「テレビの言うことは全て正しい」と思っている人が、おそらく日本人の90%以上はいたのではないかと思われます。

 そんな中での煽り報道でしたので

私はその煽りにまんまと引っ掛かってしまった感じです。

「何もなくて安全だったからいいじゃないか」と言う方もいるかもしれませんが

「その前後1年間位の心理的動揺をどうしてくれるんだ」という気もします。

まあ、信用した自分が馬鹿なのですが・・・。

今では笑い話になっていますが、メディアの行動ということを考える良いきっかけになりました。

 では、この予測が外れて実際にどうなったかと言えば

当の本人の正式なコメントがあったのかどうかはわかりませんが

テレビなどでは、何もなかったように別の話題に移ってしまったように思います。

あれだけの事を煽っておいても、あっさりしたものです。

 私の知る限りでは、「間違いだった」というメディアによる正面からのコメントはありませんでした。

 そして私はその頃から、マスメディアを信用しない側の10%未満の側の人間になっていったような気がします。

 メディアにとっては、人々が不安になっても、おそらくこれは報道ではなくエンターテイメントだったのでしょう。

「話題も取れたし、その上何もなくて良かったじゃない」程度に思っているのかも知れません。

「42万人が死亡するおそれ」

 こういう事例に似ているとしては、昨年来メディアを騒がせた

「行動制限をしっかりかけないと、42万人が死亡するおそれがある」という趣旨の

試算データの公表があります。

主張された西浦博教授にもお考えがあってのことでしょうから、その当否については

わたしなどが批評できるものではありませんが

実際には、全くそんな事にはなりませんでした。

確かに「行動制限がかけられたからそうならなかった」「警鐘したことが重要」というような事をおっしゃる方もいるかもしれません。

 しかし身近な年配の方が

本当におびえてしまって、大変なことになっているのを見ると

昔新幹線にどうしても乗れなかった自分と、姿がだぶって見えて切なく思います。

 その後も、このことについての検証の情報提示などはメディアではされていないかと思います。

「危険を伝える事こそメディアの役割」という感覚なのでしょう。

危険情報は人を簡単に動かす。

 以前書いたことがありましたが

戦国時代に、他国を攻める際の戦略として

「危険であるという偽情報を流して扇動する」というものがありました。

「毒入りの食べ物が配られた」

「A国の人が密かに潜入して企てをしている」と言った

偽情報を巧みに流して

安全のためには、こういう行動を取らなくてはいけないと言って

庶民や兵士を誘導して自分の有利に事を運んでしまうのです。

 普通の人は、危険情報には弱く

詐欺なども、多くは

「こんな事があります。ご心配でしょう」というような所から

騙す行動が始まります。

心配をすれば、人は安全を求めて何かをしなくてはいられないからです。

そして、そんなときは普段より情報に対する目も甘くなりがちです。

注意が一番必要なのは、そんな時なのかもしれません。

誰も責任を取らない

 さらに問題なのは

そんな危険煽りの情報流布を繰り返していても

それによって生じた実害について

学者もメディアも何も責任を取ってはくれないということです。

最近は、別の事で一転して、安全情報ばかり強調するようなメディアの行動も始まっているようですが

どちらの方向の煽りであっても

信じ切っていることによって、不利益を被るのは

私たち国民一人一人です。

 今や正しい情報とそうでない情報を見抜く力をつけることが

我が国の国民にとって、本当に重要な課題になっていると思います。

知らない間に、世の中は大きく変わってしまっているようです。

 だからメディアの情報は、それが学者の研究の結果であっても、鵜呑みにせず、

よく自分自身で「反対情報がないかどうか」を調べて信憑性を吟味するようにすべきです。

後になって信じ切っていたことを後悔することのないように・・・。

今後も皆さんのお役にたつ情報をアップしていきます。

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