【万葉仮名の世界】「春過而 夏来良之 白妙能…」これって漢文?

学校で詳しく習わない万葉集の本当の姿

この文を見てみなさんは、どう感じるでしょうか?

「春過而 夏来良之 白妙能 衣乾有 天之香来山」

「漢文かな?」

「中国の詩かな?」

そんな感じの感想を持つのではないでしょうか。

しかし外れです。

 これは万葉集の中でも、最も有名な短歌なんです。

春過ぎて 夏来るらし 白たへの 衣干したり 天の香具山   持統天皇

 これがこの漢字の正体です。

 そうです。

この漢字は音読みをするんです。万葉仮名というものです。

平安時代にかな文字としてひらがなが現われるまでは、もちろんひらがなというものは存在しないので、文はこのように漢字ですべて書くしかなかったのです。

 歴史の時代の順を考えてみれば当たり前のことですが

万葉集は中学の教科書でも、もちろんかな交じりの文章で書いてあるので

なかなかこのことには気づくことがありません。

いわれてみて初めて「ああそうか」と思うことです。

 高校の古典で万葉仮名を習いますが、イメージとして

万葉集の短歌と結びついている人は少ないのではないでしょうか。

万葉の会

 実は私は、「渥美半島万葉の会」という万葉集を楽しみ勉強する会に、毎月参加をさせていただいています。

かくいう私もこの会で、講師の人間環境大学教授の花井しおり先生の講義を受けるまでは

すっかりこの事は忘れていました。

 花井先生は万葉集について長年研究をされている先生で、万葉集について大変深い造詣のある先生です。

 この会に参加させていただいたおかげで、私の万葉集スピリットにも火か灯されたようで

とても興味をもって楽しみに学習をしています。

いくつになっても新しいことを学ぶことは、新鮮な驚きに満ちたものです。

 その中で、この万葉仮名の話が出て

「ああ、そうだった」とこのことを思い出したわけです。

イメージとの違いがミスマッチで面白い

 先生のお話によりますと、当時の今でいう官僚たちも、かえって漢文の知識があるだけに

万葉集を見つけた彼らも、これを漢文だと思い込んでしまっていて、それで万葉集の研究が進まなかった時期もあったようです。

 そりゃあそうですよね。漢文だと思って当然です。

まさか読みだったとは・・・

言い方があまりよくないですが、いわゆる当て字ですね。

 有名な持統天皇のさわやかな短歌が

こんな漢字の羅列だったと思うと少し興ざめではありますが

逆にミスマッチで、何か興味を持てる気もします。

謎への好奇心が「わかる喜び」への原点

 このように、「何かな?不思議そう」というような気持ちを持たせるものというのは

いつでも、私たちの好奇心を掻き立ててくれます。

それが歴史や文学に絡むとあれば、何か謎的な要素も感じるため、なおさらに私たちの心を揺さぶります。 

 映画やドラマもいいですが、こう言う本当にオーソドックスな学問の王道的なところでの「秘密」は

勉強をする人にとって、「わかる喜び」満載のアイテムだと言えるでしょう。

 こういう気持ちを、すべての学習をする人たちに伝えてあげたいと思います。

 万葉集、なかなか面白いです。

今後も皆さんのお役に立つ情報をアップしていきます。

 

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