同訓異字
同訓異字と言うものがあります。
皆さんはおそらく同音異義語についてはよく耳にするかもしれません。
同音異義語は一般には音が同じで意味が異なる語を言い、「性格」と「正確」のようなものがこれにあたります。
同訓異字はこれと異なり「訓が同じ」でも異なる字を書くものです。
ただここで注意が必要なのは、この場合意味が近いものを普通「同訓異字」として取り上げるという事です。「川(かわ)」と「皮(かわ)」のような意味が違って訓読みが同じ場合はこのジャンルには含めないのが通例のようです。
若干このあたりの定義づけについては争いもあるようですが、実際に漢字の学習などで定義を問題とする場面はほぼないと思います。漢字の区別ができることが重要であることは言うまでもありません。
「上げる」「挙げる」「揚げる」
たとえば「あげる」という言葉にはたいへん多くのバリエーションがあります。
「上げる」と書く場合は、読んで字のごとく「位置的に上方に何かを動かす」という事が基本になるかと思います。
「幕を上げる」「シャッターを上げる」「髪を上げる」「船を陸に上げる」などはこれにあたります。
また「程度が高くなること」も「上げる」と書くことがあります。
「調子を上げる」「成績を上げる」「成果を上げる」などです。
「物事が終わること」も「上げる」と書くことがあります。
「雨が上がる」「これで上がり」と言うような場合です。
「挙げる」の場合で有名なのは「手で高くかかげること」です。
「手を挙げる」と書きますね。
また「はっきり示すこと」も「挙げる」と書きます。
「犯人を挙げる」「証拠を挙げる」などです。元々は「手で高くかかげる=はっきり示す」というあたりから来たのでしょうね。
さらに「みんな全員で」と言うような場合もあります。「村を挙げて」と言うような場合です。
「挙行すること」も「挙げる」です。「結婚式を挙げる」というのはこの字ですね。
式を挙げるというのは、まあ「はっきり示す」という事でもありますから…。
「揚げる」についてはすぐ浮かぶのは「油ものを揚げる」ですが
「高い位置にふわふわというイメージであげる」場合は「揚げる」です。
「凧を揚げる」「旗を揚げる」とかです。「国旗掲揚」と書きますものね。
プレゼントを「あげる」は?
ではプレゼントを「あげる」はどの漢字なのでしょうか?
上記のものには含まれないような気がしますよね。
しかしこの「あげる」
本来は敬うべき人に「差し上げる」と言う所から来ています。
大きなくくりで言うと下(自分)から上(敬うべき人)へ向けて動かすという事になるため
プレゼントを「上げる」が正しいことになります。
ただ最近ではこの用例がだいぶ緩く使われているようです。
そもそも敬うべき人に対して物を差し出す場合のみが「上げる」だったようですが
「ペットに餌をあげる」などという使い方(与えるの丁寧語)も耳にしますね。
この場合は元々の漢字と少し意味合いが違ってしまいますから、
「ペットに餌を上げる」ではなく「あげる」というひらがなにしておくのがベターでしょう。
ペットを「敬うべき対象」としているならいいんですけどね・・・。
今後も皆さんのお役に立つ情報をアップしていきます。