【漢文の訓読】気づいてますか?漢文は「古典外国語の読解」

漢文の訓読

 中学高校で古典の1ジャンルとして漢文を学習するのが通例です。

もちろん高校入試にも大学入試にも出題がされます。

漢文と一口に言ってもその表記は様々です。

大きく分けるとこんな感じです。

白文 中国で当時書かれていたままの漢字だけの表記の文

訓読文 日本人が読めるように「訓点」を付けた文。「レ点」「一二点」や「上中下点」などの「返り点」や「送り仮名」「振り仮名」が訓点の代表的なもの。

書き下し文 訓読文をさらにかな交じりの日本語の文として読めるようにした文

たとえば

「読書」が白文であるとすると

「読」が訓読文     *横書きで少し読みにくいのはご容赦ください。

「書を読む」が書き下し文となります。

漢文の訓読とは、本来外国語であって古典でもある白文を、現代の日本語としてスムーズに読めるようにして読むという作業です。白文を訓読文にすることも、さらに書き下し文にするもともに訓読作業だということになります。

何でこんな記号を覚えるのか?

 漢文を学習する際には上記のような「レ点」や「一二点」などの返り点を使った読み方をまず覚えることになりますが、多くの生徒はなかなかこの仕組みが理解できません。

というよりも「なぜこんな変な約束事を覚えるのか?」そんな疑問を持ったまま学習している人も多い気がします。

漢文学習の謎の1つは、「漢文」がどういうものであるかという概念や定義づけを行わずそれを十分に知らせないで、いきなり訓読の学習に入り、古典としての読解に入ってしまうというカリキュラムにあります。

誰もが「今何を学習しているのか」を知らないままで、それを十分に味わって学習を進められるとも思えません。

漢文学習の歴史

 漢文として我が国の人々が大陸からやって来た漢字だけの文を読み始める方法を編み出したのはいつからかについて争いがあるようですが

奈良時代の末期のものとされる最古の訓読文的な記述がある文献があるそうなので

おそらくそれより前の飛鳥時代あたりから考案され始めたのではないかと私は思っています。

前にも記事にしましたが万葉集は万葉仮名と言って漢字だけの文で書かれているのですが

そういう表記をして当て字的に和歌を書いていたところを見ると

当然それ以前にすでに、漢字だらけの文をどう読むかについてある程度のノウハウの蓄積があったとみるのが自然でしょう。

 そしてこれらのことからわかることは

江戸時代にオランダ語や英語が日本に入ってきて、それを何とか翻訳できないかと人々が四苦八苦して辞書を作り読み方を覚えていったのと同じように

漢文も当時の中国語(基本的には漢民族の使用していた書き言葉、つまり「漢字」という事になるでしょうか)を何とか日本人が分かる形で翻訳できないかと考えられた末にできた読解のテクニックだという事を示しています。

 だから漢文学習は、大陸からもたらされた外国語の学習と当時の文学や歴史などの叙述からその内容を学ぶ古典学習の二つの面を持った学習だと言えるでしょう。

 このことがはっきり示されればどうでしょうか?

返り点の学習はいわば英語学習で言うハイフンやピリオド、アポストロフィーを学ぶものと大差がないでしょう。気持ちとしては取り掛かりやすくなるのではないでしょうか。

ただ、読み方の順番ということでそれらよりは複雑です。そして何となくでは決してマスターできないのも事実です。

大した決まり事でもなくそんなに複雑でもないのに、返り点の学習ですでに漢文がお手上げになる生徒の多さを見るにつけ、学習というものは初めの説明の仕方が本当に重要なのだと思わずにはいられません。

 漢字と言う私たちの書き言葉のベースになっている文字が並んでいるものですから、一旦興味を持って学習に入れば漢文は大変面白いものです。

実際古典の中では「漢文はわかるけど古文が苦手で」という人も結構多い気がします。

実際には訓読のルールは、高校ではしっかり正面から学習をするのでまだいいのですが、中学では先生によっては一瞬で済ましてしまっている場合もよく見受けられます。

そうなると漢文の学習は高度なパズルを読み解くにも等しい苦難の学習になってしまうこともあります。読みの順がよくわからず意味など取れるはずもないからです。

 訓読のやり方は難しくはないけれども、侮ってはいけない学習だと言えます。

まず最初に何をやっているのか、それを知りその技術(翻訳のテクニックなので「技術」と考えればいいのです)を早期にマスターしておきたいものですね。

今後も皆さんのお役に立つ情報をアップしていきます

 

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