かかる状況に鑑みて…
よく政治家の演説などで「かかる状況に鑑みて抜本的な対策を」と言った具合の言い回しがされるのを耳にします。
でも実際に「かかる」はどういう意味か分からずに聞いている人が多いのではないでしょうか。
割と昔に法律学を勉強した人は大体この言い回しが分かると思います。
法律の論文などではよく見られた言葉だからです。
この「かかる」は漢字で書くと「斯かる」であり、元々は「斯くある(かくある)」という言葉が短縮されて使われるようになったものと言われています。
意味は「こういう」あるいは「この」というもので、前に書かれている内容を指し示すための言葉です。
「今大変な円安が進行しています。かかる状況に鑑みてその抜本的な対策をしてまります」というように前に書いてある状況を受けて次の文が書かれるようなときに「かかる」が使われます。
まあ、抜本的な対策を本当にするかどうかはわかりませんけどね…
このような表現は文語的な言い回しで、大変大げさな感じの表現だと言えます。
良く言えば「格調高い」悪く言えば「小難しい」言い方という感じでしょうか。
今では法律家の方も「かかる」はそんなに使わず「こういう」や「この」という表現を使っている方が多いようです。
でも相変わらず政治の世界では使われているようです。演説だとリズム感があって言いやすいのかも知れません。
「かような」
同様に「かような」もそんな言葉です。
「かような事態に直面して我々はどう行動すべきか」と言った感じで使われます。
「斯ような(かような)」も前の話題を受けそれを指して「このような」という意味を表すものです。
何か散々な目に遭った時に「かような有様で…」なんて表現で聞いたことがある人がいるかも知れません。
しかしほとんどの人はあまりなじみがなく普段は使わなくて
政治家の演説とかで「あれどういう意味?」と言った感じかも知れません。
断言しますが、言葉は相手に何かを伝えるためのものです。格調高くてもリズムが良くても相手がわからなかったら、そんなものは役に立つとは言えないでしょう。
ただ、何か難しい言葉を並べておいて勝手なことを彼らがしてしまわないように、意味を知っておくのは大切だと思います。
言葉は人を助け、世界を良くする一方
人を騙し、人を攻撃して、戦いを鼓舞するにも使われます。
難しくてよくわからない言葉を多用する人を見たら注意すべきかも知れません。
今後も皆さんのお役に立つ情報をアップしていきます。