会話と文章表現の違い
現代では誰もがメールやSNSメッセージ、あるいはラインのやり取りなど
頻繁にネット上を行きかう文章を書く機会があります。
しかしこういうやり取りには、実は注意が必要です。
何気なく、日常会話のようにやり取りをしているつもりが、時に予想外に相手に誤解を生み厳しい反応を受けることがあるからです。
これは会話と文章表現の違いから生まれる誤解と言えます。
主語を不要とする日本語
古典を習うとわかりますが、日本語は、とにかく主語を省略することが多い言葉です。
英語などでは必ず
I played tennis this morning.「私は今朝テニスをやった」
というように主語(I)を省略しませんが
皆さんお判りでしょうが、普段私たちが話すときにはこんな言い方はしませんね。
「今日テニスやったよ」というように、誰がやったかお互いに分かる時には、普通主語を省きます。
作文や論文など文章を書く時には、分かりやすくするため、主語をしっかり書く方が良い文章とされますが
話し言葉の場合は、主語をわざわざ言うのは、かえって変な表現になります。
このように、書き言葉と話し言葉ではかなり違いがあるということがわかります。
明示的な返事を省くのは避けたい
SNSのやりとりでも、たとえば相手がやりとりの最後に
「〇〇については△△しておいてね」と書いてきた時に
「ふーんそうか」と思って、流れ的にわかり切っていると思って返事をしない人がかなりいます。
これが結構、相手にとっては「あれっ?」となることが多いのです。
仕事でこういうメソッドを使っている人には、日常的にこういうやり取りではとにかくまめに返事をする習慣があります。
そうしないとトラブルになる危険があるからです。
たとえば「了解しました」とか「承知しました」というちょっとした返事です。
ところが慣れていない人は、この一言を打たなかったりします。
送った相手は
①相手が読んで確認しているかどうか
②相手の反応がどうか
ということが、この簡単な返事がないためにわかりません。
これによって「わかっているのかな?」という疑問だけでなく
人によっては「失礼な奴だ」と思い込んでしまう人さえいると思います。
ほんの一言なのですが、誤解を生みやすいポイントなので注意が必要です。
少しくどい位でちょうど良いのだと思います。
修辞的な表現はやはり必要
ネット上のやり取りでは、ついつい厳しい表現をしてしまう人がいると言われますが
そういう事以前に、会話と全く同じと思ってやり取りをしてしまうことで
失敗をする人もいるようです。
たとえば、そんなに親しくない人と会話する際、全く修辞的な表現を入れないでやり取りをするのは避けた方がいいかも知れません。
「こんにちは。今日はお疲れ様でした」
「どうも」
「明日の件ですが、念のためスコップを持って来てもらえますか」
「はい」
「お宅にありますか」
「はい」
「ではお手数ですが、よろしくお願いします」
「はい」
どうでしょうか?
相手が業者とかならこれでもいいでしょうが、
そうでなく、たとえばPTAの役員同士なら
「愛想のない奴」「気がきかない奴」くらいの批判を受けてしまうかもしれませんね。
別に何も間違ったことは言っていません。
でも、文章を読んでみるとわかりますが、会話の対比からそんなイメージが湧いてしまうから言葉と言うのは本当に不思議なものだと思います。
ネット上のやり取りはその人の表情が見えません。
たとえば、上記の「どうも」「はい」「はい」「はい」を
書き手が満面の笑みで書いている場合もあれば
文面の通り、表情がない感じで書いている場合もあるのですが
そのような事を知ることのできるデータは文字だけなので、誤解がたくさん生まれてしまう危険があるのです。
無用な誤解を避けるためには、少しは修辞的な表現
たとえば「こんばんは。きょうはお疲れさまです」とか
「わかりました」とか
「あると思います。探してみます」とか
「連絡ありがとうございます」というような言葉を入れた方がベターなのだと思います。
そんなちょっとしたことだけで、無用な誤解を避けられるのならやっておいた方がいいですね。
今後も皆さんのお役に立つ情報をアップしていきます。