【bはブゥ・cはク】あなたが単語を全然覚えられないのには訳があります。

英語の苦手意識の理由とは?

 英語の学習を続けている中学2年生や3年生だけでなく、まだ中1で英語の学習をそんなに進めていない段階から

「英語がさっぱりわからない」「単語が書けない」と言って塾の戸をたたく人が例年結構います。

 新しい科目として張り切って学習を始めたはずなのに、わずかの期間でこんな苦手意識をもってしまうのは、私は本人だけの責任ではないように感じています。

 以前も書きましたが、近年我が国の学校における英語教育は、会話や話せる英語・実際に使える英語を強く意識した流れになっています。

 もちろんそれ自体は悪いことではないのですが、

他方で学校のテストや受験は、相変わらず文法重視・書くこと重視のいわゆる学校英語のままのため、生徒はしばしば困惑します。

 中でも中1の英語学習の初めに、そのギャップで一気に英語が苦手になってしまう生徒をこれまで多く見てきました。

英語学習の初めは、どこの学校でも「さあ、楽しく会話をしてみましょう」と言って、「書くことなどは気にしなくていい」というスタンスで授業が進みます。

 ところがある日を境として「実際に書いて見ましょう」「これはこう読みます。書いて見ますね。『desk』は『デスク』と読みます」

「はい、ノートに何回も書いて・・・」

生徒は一生懸命覚えようとしますが、一向に書けません。

 いつの間にか授業が進み、文法なども始まってきます。

 そしてテストでは、あんなに最初はゆっくり会話を楽しんでいたのがうそのように思えるほど筆記問題がずらっと並んでいて、ほとんど書けない状態に・・・。

 これは何も極端な例ではありません。

割とよく起こる状況です。特に近年は英語の教科書のボリュームがけた違いに増えたので、生徒は大変になっています。

大小の違いこそあれ、どの生徒も英語の学習の進め方にはかなり苦戦をしているのです。

 こういうことを心配して塾や家庭教師や英会話スクールに皆早く通おうとするのが昨今の風潮ですが、問題の核心に気づかないと、早くから英語を学習していても、何時まで経っても単語が書けないという悲劇はやはり起こります。

相変わらず「エイ・ビー・シー」ですか?

 初めて英語を学習するときには、今も昔もアルファベットを覚えます。

その時には一生懸命アルファベットの読み方を声に出して覚えたりします。

皆さんもきっとやった覚えがあると思います。

「エイ・ビー・シー・・・」

何回も繰り返します。

 しかし、この「エイ・ビー・シー」というのは、実はただのアルファベットのそれぞれの文字の名称(呼び名)に過ぎません。

だから教養として知っている必要はありますが、実際の英語を書くのに役に立つことはまずありません。

 アルファベットは表音文字と言われ、漢字などのようにそれを見れば意味が分かる文字(表意文字と言われるもの)と異なり単なる記号のようなものですが、表音文字の仲間であるひらがなとも異なり、呼び名と読みが一致していないのです。

 「あ」の読み方は「あ」であり、文字の呼び名も「あ」です。

 しかし、「a」の読み方は「ア」や「エイ」、文字の呼び名は「エイ」なのです。

 アルファベットを具体的にどう読むかということについては、皆さんも知っている通り、aは「ア」、bは「ブ」、cは「ク」と読んだりしますよね。

boxを「ビーオーエックス」と読まず「ボックス」と読むのは、bが「ブ」、oが「オ」、xが「クス」と読まれているからです。

 このようなつづりと発音を結び付けた学習は、「フォニックス」と言われ、ずいぶん前から日本に紹介がされています。

英語圏の初等教育で使用されている学習法として有名なものです。日本でも幼児の英会話スクールなどでは教えているところも多いです。

 以前は一部の学校でも授業で取り入れているところもかなりありました。

出版物もたくさんあるので、興味がある方は見てみるといいですよ。

 ただフォニックスは、英語学習の滑り出しにおいては、単語の読み方をマスターしていくのに役立ちますが、例外も多く完全なものとまでは言えないので、これに頼りっきりになってもいけないもののようです。

 いずれにせよ学校で英語を学習するときに一刻も早く覚えたいのは、アルファベットの呼び名である「エイ・ビー・シー」などではなく、実際にどう読むのかという「読み方」なのです。

文字と音がつながっていない暗記は、苦行そのものになる

 「ア・ブ・ク・ドゥ…」と「フォニックスの読み方」の暗記をする必要まではありません。

そんなことをしなくても読みを意識して単語を覚えていくと、フォニックスのような読み方は普通自然に覚えてしまいます。

 アルファベットの名称の読み方である「エイ・ビー・シー」をノートに何回も書いて覚える暇があったら、早めに単語を音とともにきちんと覚えていくということを意識して行っていくべきだと思います。

 英単語は漢字とも異なり、アルファベットの並び順の組合せのみでできています。

見た目において漢字よりもさらに個性がないため、もしこれを文字の羅列として暗記するとなると、それこそ電話帳の電話番号の暗記と同じになります。

 人間の頭はこういう暗記には向いていません。

 英単語をいくら一生懸命覚えようと思ってもなかなか書けない理由は、実は「音」と結びつけて暗記をしていないということにあるのです。

 だから英単語の暗記は、必ず「音」と一緒に頭に入れていく必要があります。それもつづりと音とを同時に入れていくのが最も合理的です。

そしてその「音」というのは、まさに単語のパーツごとの「読み方」ということになります。

ということはそういう「読み方」の仕組みを知ることこそ真っ先に取り組むべき課題ということになります。

これが英語が書けるために必要な「たった1つのこと」です。

 しかしこの当たり前のことを、学校では普通時間をとって指導をしません。

ただ教科書を読み、意味を取り「さあ英語を書いてみなさい」と言います。

書けないと「練習をくりかえしましょう」と言って、同じ単語を繰り返して書く宿題を与えられます。

 これだけで要領よく書けるようになるのは至難の業です。

自分で覚え方を考えない限り自動的には覚えることができないというのが、実は本当のところではないかと思います。

 圧倒的に重要なのは、「読み方と書き方の仕組み」を知ることです。

音とつながった文字の記憶は、記憶の塊として定着しやすい

 私が英語を学習し始めた頃は、もちろんまだフォニックスなどというものは誰も知りませんでしたが、英語が得意な生徒は皆、「ボックス(box)だ。クスクス」とか「キッチン(kitchen)はキトチェンだ」などと言って文字の読み方を極端にして覚えたりしていました。

 だから「チェン」と言えば「chen」や「chan」が書けるし、「アー」と言えば「er」「ar」がスッと出てきます。「oo」は「ウ」と読むことも、フォニックスなどなくても知っていました。

 このように音とつなげて文字を書くようにするだけで、言葉が発音とつながった記憶の塊になって頭に残っていくため、英単語が無理なく覚えられます。

 暗記することについてはずっと以前の記事で、グループにして記憶の塊を作り箱の中に入れていくイメージでやるのが非常に効率的だと書きましたが、http://wizzseiun.com/2019/11/24/remember/ 

これもその一例です。「読み方」のグループを言葉とつなげて記憶していくのです。

 単なるアルファベットの断片を並び方だけで覚えるのでは、気が遠くなるような大変な記憶になりますが、2,3個のアルファベットの文字の塊+その読み方をひとまとめにして印象付けてまとめていくと、暗記は一気に容易なものに変わります。

 また、慣れてくれば、音を聞くだけで辞書など引かなくても英単語を書くことができるようになります。

そうすれば極端な話、読み方を覚えるだけで書くことも可能です。

 事実、私は中1の秋ごろには、英単語は全く見たことがなく知らないものでも音を聞くだけで、だいたい正しいつづりで書くことができるようになっていました。

英語が得意な生徒にはそういう人は多いと思います。 

英単語が書けないという症状は、やり方を変えない限りずっと続く

 英単語を書くとどうしても一部ローマ字になってしまう、英単語をいつまでたっても少ししか覚えられないという生徒が大変たくさんいます。

 その期間が長い生徒では、中3や高1くらいまで単語の覚え方がマスターできず、それがために英語が苦手なままになる場合も多くあります。

つづりが間違いだらけのため、正解できるのは並び替えや記号問題だけになってしまうからです。

 こんな状況は変えなくてはいけません。

 ところが、そういう生徒が学校の宿題で相変わらずやらされているのは、英単語をただひたすら何回もノートに書くという作業です。

せめて「音」とつなげて書くように生徒に指導をすると、生徒はしぶしぶ発音をするのですが、今度はどの単語も間違った読み方しかできず、まず読み方から教えることになります。

何もかもやり方を間違えているように思います。

 まず、英語の授業では単語をどう読むかをしっかり聞いて覚えることが重要です。そしてそれを頭の中で言いながら単語を書くようにするのです。

 何回も何回も書くのであれば、その都度頭の中で単語、というより文字の塊を「音」にして読みながら書くのです。

 これを繰り返していると、ある時単語のつづりと音が頭の中でつながります。

「あれ、この音ならこう書くのかな?」と思い、単語を見ると合っています。

 そしてこの時にようやく、本人が単語をどうやったら覚えていけるのかを実感としてわかることができます。

 そうなればしめたもの、英語を書くということについては全く苦痛なくできるようになります。

たとえば、ch を「チ」と読むと言うことがわかれば、watch change church など chが出てくる単語はぐっと覚えやすくなります。

フォニックスというか、この「音と読み方から入る学習」こそ、英語を学ぶ際に一番最初にマスターすべきコツなのです。

このやり方は実際のところ、知らない生徒がやってみると劇的な効果があります。

意識して試してみることをお勧めします。

 今後も皆さまのお役に立つ情報をアップしていきます。

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