自分のやっていることに気づかない
学習指導をやっていると、色々な学習面での問題点を持ってる生徒に出会います。
大体の場合において、彼らがなぜ思ったように学習内容を十分に理解して順調に成績を伸ばしていくことができないかと言えば、それは「自分のやっていることに気づかない」ということに原因があるように思っています。
成績が伸びない一番大きな原因を多くの人は「頭が悪い」とか「才能がない」という所に求めるのが常のことではありますが、私は少なくともそれらは影響がない訳ではないものの決して一番の原因ではないと考えています。
一番大きな原因は「行動パターンが学習向けになっていないこと」にあると思います。わかりやすく言えば学習習慣が良くないという事になります。
たとえば小学生の時にきわめてクレバーな頭脳を持っていて優秀だった生徒が、中学高校へ進むにつれて思ったように成績が伸びない場合、
その原因を探ってみると「ああ、こんなことわかるよ」「計算を書いてやらなくても簡単にできるから」と言った感じで、きちんと手順を踏まなくてもできた過去のやり方に自信を持っていて、それを変えられない場合をよく見ます。
これなどは「頭は良い」のにその行動パターンが合理的でないために情報量が少ないうちは何とかなるものの、学年が進んで学習の内容量が多くなるにつれ対応が困難になっているため、彼の学習スタイルが、「必要な学習向けの行動パターン」を取るという最低要件を満たさなくなってしまったということが言えるのではないかと思います。
そしてそういう場合もそうでない場合も共通するのは、そういう状況にある自分の学習の姿というものを振り返るということが極端にできていない、つまり「自分のやっていることに気づかない」という状態です。
負けに不思議な負けなし
「勝ちに不思議の勝ちあり。負けに不思議の負けなし」
プロ野球の野村克也元監督が座右の銘として有名になったこの言葉は、江戸時代に随筆集「甲子夜話」を書いた平戸藩藩主松浦静山の言葉と言われています。
成功した場合には、どうして成功できたかは意外に本人にもわからないことが多いのかもしれません。
東大に優秀な成績で合格をした人が、他人に上手く教えることができるかと言えばそうではなく、プロ野球の名選手が必ずしも名監督や名コーチになるわけではないことからも、それは明らかです。
しかし、失敗したことにはどんな場合も必ず理由があります。
「なぜ失敗したのかわからない」という人は、ただその理由を探し切れていないだけで、理由は必ず存在しているのです。
言ってみれば、失敗の理由が一つもない状態になれば成功がやってくるということになるでしょうか。
だから失敗の理由を知るということは、非常に重要なのです。
成績が上がらない生徒の共通点
私は長い間生徒指導に携わり、成績というものを見続けてきました。
その中で、成績が伸びない生徒には共通点があることがわかっています。
それは程度の差こそあれ、暗記を勉強と思い込んでいたりすることや、日常生活に学習が上手くマッチしていないということなど、学習のやり方や習慣に関する問題点ということになりますが、
今回はその中でも2つ、これをやると絶対に「成績は上がらない」だろうと言える行動をお伝えします。
どうか皆さんのご家庭やあるいはご自身が、この情報を反面教師としてお役立てください。
人のアドバイスを全く聞かない
まず第1は、「教師などの周りのアドバイスを一切聞かない、あるいは聞き流してしまって検討しようともしない」という行動です。
もちろんオリジナルなやり方や自分で工夫をできる生徒は、良くない教師のアドバイスを敢えて聞き流すということもあるでしょう。
でもそのように考えがあってではなく、最初から人の話を聞かないという姿勢をとってしまうと、進歩をその姿勢が大きく阻害をしてしまいます。
実際に一番多く見かけるのが、数学などの指導において、大変やりにくくてミスばかり出る自己流のやり方をしている生徒に、懇切丁寧に簡単でミスが出ないやり方を指導してそれを実際にやらせてマスターさせても
次の瞬間からまた自己流に戻して、ミスを繰り返したりしている生徒です。
合理的にできると言う事を実感できているのに敢えて間違いを続けるその姿は、まさに「聞く耳」を持っていない言っても言い過ぎではないでしょう。
また指導時に間違いの説明をしている最中に、まだ説明途中である段階から、やり直しをしてまた間違えるというような生徒も結構います。
きちんと聞いて、やり方を直していくという発想自体がないため、結局行き当たりばったりで正答率を上げる事が極めて困難になります。
そういう時は「今説明した事を言ってみて」というような方法で、きちんと理解しているか確認をしますが、だいたい曲解をして思い込んでしまっています。
相手の情報が正しく有益かどうか不明であっても、まずは聞いてみる、情報を入れてみるという姿勢は学習の上で非常に重要なことだと思います。
変化しようとしない
第2は、学習の途中の段階において「変化をしようとしない」という姿勢です。
ちょっと信じられない方がいるかも知れませんが、
生徒の中には、最初に学習して「こうだ」と思い込んでしまったやり方が、どんなに間違っていてたとえば1つもマルをもらえない場合でも、それを頑なに信じて変えようとしない者がいます。
この生徒にとっては、常に最初に学んだ事がすべてなのです。
これでは軌道修正はできませんから、当然成績を伸ばす事は難しくなります。
学習面での成績向上は、やはり考え方の柔軟性というものと深い関係がある気がしています。
「このやり方は違っているかもしれない」「このやり方ならどうか」「間違いが分かって良かった」といった不断の軌道修正の繰り返しこそが学習の本体であり
変化し続けていくからこそ、人はどんどん利口になるのです。
変化を止めてしまっては、成績を上げることは難しいです。
こんな極端な例でなくても、新しい変化を拒み自分のやり方を疑うといことが意外にできないという人はいると思います。
しかし、「成績が上がる」ということや「成長する」ということは、それ自体が「変化すること」なのですから、今までと同じことをやっていて自然に上手くいくと考える方がおかしいと言えばおかしいのです。
「変化を怖がらない姿勢」これがとても大切だと思います。
今後も皆さんのお役に立つ情報をアップしてまいります。