Nature calls me.
話はずいぶん昔のことになります。まだ私が小学校高学年だった頃です。
中学校から帰って来た姉が、私の顔を見るなり「ねえ、Nature calls meってどういう意味か知っている?」と言うのです。
私は小学生のうちに姉が使い古した英語の学習教材を独学で全部読み通してしまっていたので、もう英単語は相当知っていましたから、その問いに対して「『自然がわたしを呼んでる』ってことでしょ」と自信満々に答えました。
ところが姉はそれを聞いて「残念でした」と言うのです。
そして「Nature calls meっていうのはね、と『トイレに行きたい(小)』ってことだよ」と説明してくれました。
今振り返って考えてみると、おそらく学校で豆知識みたいな感じで先生が教えてくれたのではないでしょうか。もちろん今も中学校ではこんな表現は習いません。
そんな出来事がきっかけで私はこの英語の慣用表現を知ったのですが、「自然が私を呼んでいる」という直訳自体はもちろん誤りではないと思います。
むしろ「なぜ『トイレをしたい(小)』ということが『自然が呼ぶ』ということになるのか」そんな疑問をその後考えるようになりました。
当時私が考えたのは、「古代の人は、決まったトイレと言うものが無くて野外で用を済ませていたから、人のいるところでない場所である所(自然)に行ってくるということから、こんな表現をしたのだろう」というものでした。
色々調べてみましたが、残念ながらこれについて由来について正確な情報を詳しく出ているサイトは見つかりませんでした。
ただ私が更に考えた事は、これは「水」の性質とかかわりがあるのではないかということです。ここからは私の考えたことになります。
「水」には実は大変不思議な性質がいくつもあります。
この世界にある物質には色々なものがありますが、大体の場合において体系的に「こういう場合はこうなる」という法則があります。
もちろんそういう法則には例外がいくつかあるものですが、物質の下でその例外が際立っているものがあります。それが「水」です。
ほぼすべての物質に見られる共通の性質が、なぜか「水」だけないということがいくつもありました。
今回は氷が水に浮く不思議、氷が膨らむ不思議、簡単に気化しない不思議をご紹介した上で、水の記憶や水が呼ぶという現象についてお話したいと思います。
例外が多すぎる実に特異な物質だということになりますが、こういう特異性がある物質が、地球においても人体においても、その大半を占める物質である「水」だということは、非常に不思議なことです。
水に浮く氷
普通物質は状態変化をして液体が固体になった時には、その固体は元の液体より密度が高いため、元の液体の中に沈んでしまいます。
ところが水だけは、氷(固体)が水(液体)に浮いてしまいます。
北極の氷山が海水の底に沈んでしまわないのはそのためです(もちろん海水は純粋な水ではないですが・・・)
これも分子間の隙間があることがその原因ですが、海水に氷が沈まないことによって地球上の生態系にはかなりプラスの影響があるようです(水循環効率など)
ぷくっと膨らむ氷
皆さんは冷蔵庫の製氷トレーに水を入れて置いたら、氷の表面がぷくっと膨らんでできたという経験をお持ちの方は多いと思います。
普通物質は気体→液体→固体の順で体積が小さくなりますが、水だけは液体である水よりも固体である氷の方が体積が大きいのです。
水は分子内では共有結合と言う非常に強い結びつきをしていますが、氷になると分子同士は水素結合などの形で結びつきます。ただこの分子間の結びつき方が隙間の多い形でつながっているため、水の場合のみ体積が大きくなるのです。
冬に凍結で水道管が破裂したりするのも、氷が水よりも体積が大きいから起こる事故です。
簡単に気化しない水
固体が液体になる温度を融点と言い、気体になる温度を沸点と言います。
水の融点はご存じのように0℃で沸点は100℃です。水の分子量は18ですがこのくらいの分子量で沸点が100℃というのは異例の高さです。
同じくらいの分子量16のメタンの沸点は何とマイナス164℃なのですから…
これは人類にはたいへん都合がよいと言えます。
人体の7割を構成している水、そして地球の多くを占める海水、どちらももし簡単に非常に低温になったら人間や関係する生物が生きていくのに大変なことになってしまいます。
しかし水が温度が低くなりにくい上に温まりにくい(簡単に気体になってしまわない)という事で、私たちにとって最適な環境がつくられているのです。
水の記憶
以上は現在の科学で明白にわかっている事柄ですが、最新の話として「水が記憶をする」という新しい主張が、有名な学者の方たちからもされるようになっています。
イギリスのノーベル物理学賞受賞学者であるブライアン・ジョセフ博士とフランスのノーベル医学・生理学賞受賞者のリュック・モンタニエ博士は、「水は情報を記憶し、転写までする」という内容の研究結果を発表しています。
そうだとしたら。水と言うものの「秘めたる能力」にも注目が今後集まることになっていくでしょう。
今後これについては更に研究が進んでいくものと思います。
「水が呼ぶ」という現象
皆さんも経験をしたことがあるかと思いますが、洗面台で水を出していると急にトイレに行きたくなったり、野外で川に降りていくと急に尿意を感じたりすることがあるのではないでしょうか。
これについては、実際に物質的に圧力が変わるわけではないのに不思議な話だと思っていました。「呼び水」は元々そこから来ているのかなと思ったりしたくらいです。
*実際の「呼び水(水をくみ上げるときに使用する技術)」は古代のポンプの仕組みから来ている言葉が語源で、本当が関連があるかもしれませんが、直接にはこのことから言われているのではないようです。
詳しい仕組みは全くわかりませんが、この現象(急に尿意を催す現象)を体感して、私は、何だか体の外にある水が体の内部の水を「呼ぶ」ことがあるような気はずっとしていました。
水には相互に何かひきつけ合うという性質があるのかもしれません。というよりもおそらく何かそういう性質があることは間違いないでのではないかと感じています。
更に、科学的に証明されている事ではありませんが、水をある周波数で振動させると体に良い影響があるというような話も聞いたことがあります。
水と言うのは私たちがまだ知らない秘密を秘めた物質であるということが言えるのは確かだと思います。
さてNature calls meの由来に話を戻します。
あくまで私個人の想像に過ぎませんが、古代の人々は、川のほとりなどに行き流水の音を聞いていると尿意が湧いてくることに気が付いていて、尿意が湧いた際には、「自然の中にある川や湖が自分を呼んでいる」と感じたのではないでしょうか。
それでこんな慣用的な表現が始まったのではないかと推測します。
いずれにしても「水」の不思議さは他の物質と比べて突出しています。
身の回りにいつもあり、生命維持のためにも欠く事のできない物質でありながら、こんなに不思議な特徴をもっているということは、おそらく私たち人類の誕生や存続に関しても大きな意味があるに違いないでしょう。
そしてそれらの特徴は、どちらかと言うと人類を守る方向に見られるのも何か感慨深いものがあります。
今後「水」についての真理が更に明らかにされていくのが楽しみです。