霜月(しもつき)
11月の和風月名は霜月(しもつき)です。読んで字のごとしで、「霜が降るからなんだろうな」とその由来を考えてしまいがちですが、ちょっと待ってください。少し早すぎではないですか。
その疑問はもっともですね。地域によりますがイメージとしては11月には霜はなかなか降りることはない気がします。
科学的に見た場合には霜は、0℃以下に冷えた物体の表面に、空気中の水蒸気が固体化して氷となり結晶として貼り付いたものです。
初めて霜が降りることを「初霜(はつしも)」と言いますが、Wekipediaによれば、1981年から2010年の平均データでは、初霜は、かなり寒い旭川では10月8日であるものの、本州の東京では12月20日、名古屋は11月27日、京都は11月18日、大阪は12月5日、福岡は12月12日ごろだとあります。
霜降(そうこう)
「霜降(そうこう)」という言葉もあります。1年間を24に分割した二十四節気(にじゅうしせっき)というものがありますが、その18番目の節気が霜降(そうこう)です。
つまりこの時期に霜が降りるされています。
霜降はだいたい10月23日か24日くらいの時期(これより遅い場合もあります)になりますが、これはもちろん旧暦を元にしたものです。だから実際に霜が降りる現在の暦による初霜とは時期がずれています。
同様に霜月も旧暦を元にすれば、その謎が解けます。
旧暦の11月は現在の暦に置き換えると、大体11月後半から1月初めくらいになりますから、確かに実際に霜の降り始める初霜の時期とぴったり合う事になるわけです。
和風月名
日本では月には異名(異称)があります。
師走(12月)などは有名ですが、他にもたとえば如月(2月)や弥生(3月)というような呼び方があります。
「和」のイメージで、素敵な響きがあります。
和風月名とも言われるこの呼び方は、意外に歴史が古く日本書紀にはすでに記載があったとされています。
元々の由来は中国から来たものと言われていますが、こういう呼び名は、現在使われている新暦(グレゴリオ暦)以前の旧暦(明治初めまで使われていた太陰太陽暦)下では、一般に使用されていたものでした。
最近になって再評価されて、学校でも習うようになりましたし、カレンダーなどにも記載があるようになりましたが、和風のイメージや響きに人気があるようです。
和風月名の一覧
和風月名を12か月並べるとこうなります。
1月 睦月(むつき)
由来はこちら 「なぜ1月を『睦月』と呼ぶのか?」
2月 如月(きさらぎ)
由来はこちら 「素敵な和の響きを持つ『如月』は2月を表す言葉」
3月 弥生(やよい)
由来はこちら 「3月はなぜ『弥生(彌生)』って呼ぶの?漢字『彌』に秘められた素敵な意味とは?」
4月 卯月(うづき)
由来はこちら 「4月は桜のイメージ。でも『桜月』でなくて『卯月』と呼ぶのには理由があります」
5月 五月(さつき)
由来はこちら 「五月晴れは『梅雨の合間の晴れ』だった」
6月 水無月(みなづき)
由来はこちら「田に水があって雨も降るのに、なぜ6月は水無月? |
7月 文月(ふみづき)
由来はこちら 「暑いのに7月に執筆?読書?『文月』の由来とは?」
8月 葉月(はづき)
由来はこちら 「8月なのに『葉が落ちる月』?」
9月 長月(ながつき)
由来はこちら 「9月に長いものって一体何?『長月』の由来とは?」
10月 神無月(かんなづき)
由来はこちら 「10月には神様がいなくなる?・・・何と留守番もいました」
11月 霜月(しもつき)
由来はこちら 「霜って11月に降りるの?『霜降(そうこう)』との関係とは」(本稿)
12月 師走(しわす)
由来はこちら 「12月は本当に師が忙しくて走っていたの?万葉集にヒントも…」
霜降月・下月・食物月
霜月は元々は「霜降月(しもふりつき)」という実際通りの名前でしたが、それがいつの間にか省略されて霜月と言われるようになったようです。
実は霜が由来ではなく別に由来があるのではないかという説もあります。
10という数字は満ちた数字であるから、これを上月として、その次の11はそれを過ぎてしまったので?これに対して「下月(しもつき)」という説があるそうです。
また、その年の食物の収穫に対して感謝するということから「食物月(をしものつき)」という言葉があったところ、それが転じて「しもつき」になったという考え方もあるようです。
いずれにせよ、和風月名は昔の人々の考えだったり自然観察であったり、彼らが普段考えていたことが推し量られて、「ああ、そうなんだ」と思わせてくれるものです。
まさに風流な和の心が表れた佳きものですね。
今後も皆さんのお役に立つ情報をアップしていきます。