【和風月名 文月(ふみづき)】暑いのに7月に執筆?読書?「文月」の由来とは?

文月(ふみづき)

 7月の和風月名は文月(ふみづき)と言います。

3月の弥生(やよい)や12月の師走(しわす)などの有名な月の異名については、そんなに和風月名に詳しくなくても、知っている人が結構いるかと思います。

でもおそらく7月のこの和風月名は一番思い浮かばない人が多い名称ではないかと思います。

 なぜかと言うと、7月と「文(ふみ)=書物」のイメージが季節的に関連性が薄く、思い浮かばないからです。「読書や執筆なら秋でしょう」そんな声が聞こえてきそうです。

和風月名

 日本では月には異名(異称)があります。

上記の弥生(3月)や師走(12月)は有名ですが、他にもたとえば水無月(6月)如月(2月)というような呼び方があります。

「和」のイメージで、素敵な響きがあります。

和風月名とも言われるこの呼び方は、意外に歴史が古く日本書紀にはすでに記載があったとされています。

 元々の由来は中国から来たものと言われていますが、こういう呼び名は、現在使われている新暦(グレゴリオ暦)以前の旧暦(明治初めまで使われていた太陰太陽暦)下では、一般に使用されていたものでした。

最近になって再評価されて、学校でも習うようになりましたし、カレンダーなどにも記載があるようになりましたが、和風のイメージや響きに人気があるようです。

和風月名の一覧

 和風月名を12か月並べるとこうなります。

1月 睦月(むつき) 

由来はこちら 「なぜ1月を『睦月』と呼ぶのか?」

2月 如月(きさらぎ)

由来はこちら 「素敵な和の響きを持つ『如月』は2月を表す言葉」

3月 弥生(やよい) 

由来はこちら 「3月はなぜ『弥生(彌生)』って呼ぶの?漢字『彌』に秘められた素敵な意味とは?」

4月 卯月(うづき)

 由来はこちら 「4月は桜のイメージ。でも『桜月』でなくて『卯月』と呼ぶのには理由があります」

5月 五月(さつき)

 由来はこちら 「五月晴れは『梅雨の合間の晴れ』だった」

6月 水無月(みなづき)

由来はこちら田に水があって雨も降るのに、なぜ6月は水無月? |

7月 文月(ふみづき) 

由来はこちら 「暑いのに7月に執筆?読書?『文月』の由来とは?」(本稿)

8月 葉月(はづき) 

由来はこちら 「8月なのに『葉が落ちる月』?」

9月 長月(ながつき) 

由来はこちら 「9月に長いものって一体何?『長月』の由来とは?」

10月 神無月(かんなづき)

由来はこちら 「10月には神様がいなくなる?・・・何と留守番もいました」

11月 霜月(しもつき)

 由来はこちら 「霜って11月に降りるの?『霜降(そうこう)』との関係とは」

12月 師走(しわす)

由来はこちら 「12月は本当に師が忙しくて走っていたの?万葉集にヒントも…」

文披月(ふみひらきづき・ふみひろげづき)

 文月の由来は文披月(ふみひらきづき・ふみひろげづき)にあると言われています。

室町時代の歌学書である蔵玉集(ぞうぎょくしゅう)の藤原夕家の歌にこの言葉が出てきます。

七夕の 逢夜の空の かげみえて 書ならべたる 文ひろけ月

ここにいう文ひろけ月は、文披月(ふみひらきづき・ふみひろげづき)の事を言っています。

古来、書物のことは「文(ふみ)と呼ばれていましたが、7月7日の七夕の夜には、書物を開いてこれを夜気にさらすことで書の上達を祈る風習があったようです。

その習慣から7月の事を文披月と呼ぶようになりました。それがやがて文月になったというのが一番有力な説です。

 でもなぜ書物なのか?イメージとしては7月は暑さ真っ盛りで、読書や執筆どころではないという疑問があるところですが、実は旧暦の7月は現在の8月~9月にあたるため、7月7日も今ほど猛暑真っ盛りではなかったのだと思われます。

おそらく夏の湿気から書物を守るという意味もあり、ふみひろげの習慣があったのでしょう。

本を大切にする事=書(執筆能力や文字を美しく書く力)の向上が結びついていたのではないでしょうか。

 そう思うと、人々が皆家じゅうの本を出してきて干して、夜空に月が浮かんでいる7月の夜の様子が目に浮かんできます。

穂含月 (ほふふみづき)・穂見月 (ほみづき)

 これとは別の説で、文月は穂含月 (ほふふみづき)・穂見月 (ほみづき)に由来するという考えもあります。

穂含月・穂見月は共に、「稲穂が大きくなる月」「稲穂がふくらむ月」を意味していますが、この頃ちょうど稲の実が実るので、このように呼ばれていました。

 和風月名がどちらかという自然について着目してつけられている事が多いことを考えると、むしろこちらの方が文月の由来には似つかわしい気もします。

本当の所はどうなのでしょうか?

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