先生が保護者の聞きたいことを言ってくれるとは限らない
保護者会のシーズンが来ています。
保護者の方はいろんな心配を抱えて保護者面談に向かいます。
「学校でちゃんとやっているのか?」
「問題があると言われないか?」
「ついていけているのか?」など、心配は尽きないことと思います。
また、受験の学年の方は今の成績でGOサインをもらえるのかどうかも、とても気になります。
推薦を狙っている場合や内申点がボーダーすれすれの場合などは、特に保護者面談での先生の判断が重要になってきます。
先生ごと対応が非常に違います
実は私たち塾関係者が、学校の先生がどんな保護者面談をやっているのかということを一番知っているのかも知れません。
この時期いろいろな相談を受けるからです。
では皆さんは、一番多い相談は何だと思いますか?
意外に思われるかもしれませんが、受験生以外の場合に受ける相談で一番多いのは、「勉強のことはあまり話が出ませんでした。塾ではどうですか?」という相談です。
受験生の場合はさすがにそんなことはありませんが、そうでない学年の場合、相当こういう話を聞きます。
実際、学校での態度や過ごし方、あるいは生活態度などに主眼が置かれる面談が多いようです。
しかし、どうでしょうか?
もちろん学校での様子や生活態度のことも興味があるとは思いますが、保護者の方は勉強の状況がどうなのかということを、現場の先生の口から直接聞きたいのではないでしょうか?
そして安心をしたいはずです。
塾と学校は存在の理由が違います。
塾というのは教育サービスですから、必ず利用される方のニーズに応えなくてはいけません。
対して学校は教育機関ですので、その掲げる目標に沿った教育理念の下に運営がされるものです。だから必ずしも保護者のニーズ通りのことをする必要があるわけではないのだと思います。
しかし保護者の関心事に対して情報をきちんと提供することは、最低限のこととして行うべきだと思います。
保護者の方でも気づいて見える方がいると思いますが、この点については、先生ごとでかなり対応が異なります。
熱心に進路や学習についてもどうしたらいいか具体的に話をしてくれる先生は結構います。
他方、「特に問題はないですね」的な抽象的な面談というのも多く、保護者へほとんど有益な情報がもたらされない場合もあります。
それで困ってしまって相談を受けるということが割とよくあるのです。
保護者面談で聞くと良いこと
想像になりますが、学校の先生はたくさんの生徒の保護者と面談するので、現実には、一人一人になかなか詳細なことまでアドバイスをするという準備ができないこともあるのではないでしょうか。
先生自身も、聞かれないと思い出せないこともあるのではないかと思います。
だから学習のことについて、先生がさらっと流してしまいそうなときには、具体的に先生が対応をしやすい形で質問をしてみるということが効果的だと思います。
たとえば「先生、国語の点数が良くなかったのですが、次の学期ではどういうことに気を付けて学習をさせたらいいでしょうか?」というような質問です。
担当の先生であれば、必ず具体的な方策が頭に浮かぶと思いますし、担当でない場合にも、普通「では担当の先生に言っておいてあげるから、やり方を教えてもらいなさい」などどいうアドバイスをもらえると思います。
この流れから学習の状況をいろいろ話してもらえるという場合もあります。
また、実はこういう質問をして、回答を先生からもらうということは、三者面談の場合、お子さん本人にも良い影響があります。
保護者の関与はありますが、本人の側からのアプローチで、先生に具体的にやるべきことを教えてもらった形になるので、いわば「公開の約束」になり、動機付けがされやすいのです。
本人にテーマをもらうのも効果があります
またこのような流れの中で、お子さんが何を努力すればいいかについて、具体的なテーマを先生から聞くことができれば、これも先へ向けてプラスになります。
そこを頑張れば学校の先生は評価をしてくれるということがわかり、努力するポイントがはっきりするからです。
ただしテーマが高い目標になりすぎると、本人にとって大変なことになる場合もあります。
保護者と先生が同時にプレッシャーをかけてしまう危険もありますので、そこは要注意です。
保護者がしゃべりすぎてはいけないとよく言われるが
よくネットで「保護者面談対策」というと「十分に志望校を検討していくこと」とか「本人に話をさせるようにして保護者がしゃべりすぎてはいけない」というようなアドバイスが出ています。
どちらも当たり前のことですが、「保護者がしゃべりすぎてはいけない」というのは、状況にもよると思います。
「本人に任せていたが、本人がうまく言えず、先生にいいように一方的に話をされて終わってしまった」というような面談になることも、割とあるからです。
後から納得ができず「やはりこうしたい」と申し入れをしたら、「本人が決めたことを親が覆すのはどうか?」というような反論をされたりすることもあります。
保護者が介在して、学習を含め生徒の今後のことについての情報を共有するのが三者面談なので、保護者が話すことにブレーキをかけすぎるのも、後悔を残すことがあります。
三者面談は、子どもの対外的な対応の教育をする場ではないと思います。それはまた別の機会でもできます。
どちらかというと学校の先生はそういうことを期待しているように思いますが、大切なお子さんをずっと預けているのですから、保護者が必要なことを詳しく聞いて情報をもらったり、考えを先生に伝えるのに制限をかけるのもおかしなものです。
受験向けの面談について
受験に向けての面談では、学校の先生の受験に関する情報の正しさがすべての前提になりますが、正直なところ、これについても先生ごとで非常に異なると言わざるを得ません。
長年受験指導をしてきた立場から言えば、「大丈夫か?」と感じるような誤った情報を平気で保護者に話す方もいます。
ですから、受験向けの面談についてはセカンドオピニオンとして、塾の先生に情報を必ず確認されるべきだと思います。
一部に「学校の先生だから何か特別な情報を持っている」と信じている方がみえます。
一般で知られない情報も若干は保有していると思いますが、受験そのものについての特別情報を持っているわけではありません。
むしろ持っていたら、今どき大問題です。
だから、学校の先生の情報のみで決断をされることは避けた方がよいと考えています。
あくまで私見ですが、得てして公立の学校の先生の進路指導は、「絶対に落ちない」という安全面の方向へ重きを置き過ぎる傾向があるということだけ、今回は指摘するのに留めたいと思います。
今後も皆さんのお役に立つ情報をアップしていきます。