冬になるといつも思います。
なぜこんなに青空が美しいのだろうかと。
私は太平洋側の地方に住んでいますので、冬に雪が降ることはまれで晴れの日はわりと多く冬の青空を見る機会が多くあります。
もちろんいかにも冬らしい曇天の日もあるのですが、そんな日の後に見事に晴れた冬の日の空は本当に美しいと感じます。
青空というと「夏の入道雲と空」「秋晴れの抜けるような青空」というのがイメージとして浮かんできますが、私は冬の青空もとてもいいと思います。
小学生の頃、空が青いのが不思議で自由研究で調べたことがありました。
空が青い理由を科学的に言えば、太陽光の中の波長の短い青い光(正確には紫~青の光)が空気中に散らばる微粒子にぶつかり散乱して、人の目から見ると青く見えるという原理によるものです。
私が小学生の頃には、空気中に散らばるちりにぶつかると言われていましたが、最近の研究では窒素分子や酸素分子などの粒子にぶつかるということが明らかにされたようです。
また、青い光は赤い光に比べて16倍も散乱しやすいという研究もあるようです。
だから地上にいる私たちには、空がまるで青いように見えるのです。
人間の可視光は動物とは異なりスペクトルの中で青は認識しやすいですが、その外側の紫は認識しにくく、さらにその外側の紫外線は見えません。
ですので人間でない生き物には空は青ではないのです。
人間で良かったと思います。黄色い空を毎日見るのは楽しくなさそうです。
ただ私たちは科学者ではないので、空を見上げて「ああ、あそこでスペクトルの青い光が…」などと言っているのも無粋ですから、単純に「空の青」を楽しみたいものです。
空の青さについては、文学でも触れられているものも多いですね。
「空の青」というと、
「白鳥はかなしからずや空の青海のあをにも染まずただよふ」という若山牧水の短歌が思い出されます。
この句の季節は何時なのかは解釈次第だと思います。
また歌われているテーマもいろいろな解釈ができると思います。
私は、人が特定のグループに属さないでただ一人進み行くときの寂しさを詠みつつも、その裏には確たる覚悟と自信も匂わせて、これからの生き方への展望も含んでいる歌のように感じます。
いずれにしても、そういう心情を風景に託して詠んだ大変素晴らしい短歌だと思います。
冬の青い空を見ていて、この短歌をふと思い出しました。
私のイメージでは冬空がピッタリの気がします。
これは周りの同年代の人と話していて気づいたことですが、子どもの頃ももちろん青空を見上げて「きれいだな」と思っていたのですが、歳を重ねるにつれてその美しさは更により深く感じられるようになる気がします。
これについては同意される方も多いのではないでしょうか。
いろいろな地上での喜び、悲しみ、楽しさ、つらさ、笑い、涙…、そういったことを繰り返す毎日に、ふと見上げればいつもと変わらぬ青空がそこに広がっています。
その空は自分が子供の頃見上げた空と同じようにいつも変わらず自分を見守っていてくれます。
心をいやしてくれることだけは間違いありません。
なかなか忙しい毎日に追われて空をゆっくり見上げる時間がない方も多いかも知れません。
しかし忙しいからこそ、時に空を見上げて一息ついてリフレッシュするのも良いのではないでしょうか。