変わらない、形を重視する学校英語
英語の学習については、ずいぶん以前とは様変わりしています。
ずっと昔は
This is a pen. You are a boy.
などから始まる英文からスタートしたものです。
でも、
「You are a boy.(あなたは少年です) 」
と相手に話す状況が存在するの?
などと、いろいろなところで批判を受けて
徐々に会話表現が教科書に導入されるようになりました。
最近では、キャラクターの紹介があったり中学校の教科書もかなり変わってきています。
でもやはり中学校英語は、意訳を取り入れない直訳中心の固い英語学習であることはあまり変わっていないように思います。
直訳中心の学習のメリットはありますが…
直訳する英語学習は、文の仕組みや文法の理解を進めるのには都合がよく、
それらを学ぶことが中心になっている現在の英語学習では役に立つ面が多くあります。
たとえば
「この車はわたしのものです」と
「これは私の車です」は
言葉のニュアンスとしてはほぼ同じものですが、
中学英語の学習では、
This car is mine.
This is my car .
という別の表現になります。
「この車は」と「これは」の違い
「わたしのもの」と「私の車」の違いなどは
この2つの表現の違いから学び取ることが可能です。文法の理解には役に立つ表現の違いです。
そしてテストでは、これを取り違えるともちろん不正解です。
でも正直な話、「どちらも同じでしょう」と言いたくなる方は多いのではないでしょうか。
もっと英語を使うために教えないといけないことがたくさんあるのではないかと思ってしまうのは私だけでしょうか。
その先の高校の英語学習でも、国語のように英語の重文・複文だの、SVOCだのを延々と学習していく先に、本当に使える英語がマスターできる未来はあるのかと思ったりします。
実際高校でこれらを学習したときにそう感じたのを覚えています。
それでいて受験にもあまり出なかったりします。
誰もが言語学者になるのが目標ではないはずです。
そういう批判もあってか、昨今のコミュニケーション重視のTOEIC や、 英語の4技能(聞く・話す・読む・書く)をすべてチェックするTOEFL などの試験を志向する学習者が増えてきていたりするのではないかと思います。
枝葉末節を細かく分析していく英語学習は、古文で言葉を切っていって細かく調べていくような学習と同様、文法に特別の関心がない生徒には結構飽きられやすい学習です。
長文英語演習をしないのに長文英語が大量に出題される高校受験
中学の英語学習では教科書の英文を順に学習していくだけで、初見の英文を説明なしに読んでみるような学習は普通行われません。
ところが実際の高校受験では長文問題のオンパレードです。
なぜこんな無茶なことになっているのかとずいぶん昔から感じていました。
そんなことをして受験者を苦しませるくらいなら、文の仕組みを詳しくやっている間に、パラグラフを大雑把に訳していく学習とかを取り入れた方がよほど先々のためになるのにと思います。
このような英語学習で学習者が苦しんできている理由の大本は、
英語指導の基本にある考え方が、
「英語を学ぶ人はこうあってほしい」という理想ばかりを基準に考えていて、
実際の学習者のことやいずれ英語を実際に使いこなせるようになりたいという目標のことを置き忘れていることにあるように思います。
英語の指導は変わっていくようですが…
大学受験の改革や小学校英語の導入で日本の英語の指導もまた変革の時期を迎えているようですが、
これまでも繰り返し改革がされてきているものの
「中学高校と6年間英語を学んでも、簡単な英会話すらできない」
と言って揶揄された学校英語はなかなか変わることがありませんでした。
残念ながら、今後もその点は期待ができないかもしれません。
何を指針にすればいいのか
そんな学校英語学習のジレンマの中で私たちは何を指針にすればよいのでしょうか。
実は2つの英語を分けて考えていくというのが、今後はより重要になってくるのではないかと思います。
1つ目は受験に合格するための日本の英語
もう1つは将来実際に役立つ本当の英語
です。
受験のための学校英語は文法を重視し、直訳的な面をベースにして学習をしていくことで能力アップができますが、これは以前から言われているように、日本の英語です。
英語をスラスラ話す外国人が大学受験の英語に出てくる問題を解けなかったというような話は昔からありますが、
学校英語は、やはり実際に話されている本当の英語とは少しジャンルが違う専門英語なのかもしれません。
だから割り切って学習をするしかありません。
これに対して将来実際に役立つ本当の英語の能力アップは、やはりコミュニケーション英語や会話の学習、そして聞く能力と話す能力を重視していくことが必要になってくるのではないでしょうか。
この二つの英語は、受験が目の前にある高校生などの場合はなかなかバランスを取って学習することは難しいかもしれません。
しかし受験の英語のみに専心してもう一つの英語のことを全く意識していないと、受験が終わったら「自分の英語力って何だろう」という疑問を持つことになってしまう可能性はかなり高いと思います。
ずいぶん昔ですが、
大学受験の模試で全国でトップクラスの偏差値を取ったことがあり英語にはかなり自信を持っていた私ですが、
大学1年の時に外国人の講師と留学生が中心の英語特講を受講した最初の日に、
「今までの自分の英語は何だったんだろう」とショックを受けました。
当時の高校英語は今と異なりリスニングもそんなに重視されていなかったので、私には聞く能力もほとんどなく、周りの人が話していることが全く聞き取れず会話どころではなかったのを覚えています。
やはりバランスは大切です。
英語の学習のジャンルは、
英文法・英作文・イディオム・英語構文・英語長文などがありますが、
それとは別の次元で、
上記のような受験のための学校英語と本当の英語があることを意識しておくことは、実はとても大切だと思います。
今後も皆さんのお役に立つ情報をアップしていきます。