地理に興味を持てない生徒
中学になると社会が苦手という生徒が少しずつ出始めます。
大抵の場合生徒は「すぐ忘れてしまう」とか
「上手く覚えられない」という理由を言いますが、
一番多いのは「なかなか興味を持てないから」という理由です。
特に地理はそういう傾向が大きい科目だと思います。
でも、地理は現実に役に立つことは多い科目です。
大人になった時に「青森県は九州にある」などと言っていてはまずいですね。
また、入試では地理も出題されるのに、3年になると教科書のカリキュラムで公民と歴史だけになる学校が多く、学習をする期間が社会科の中では短いので、中身が充実した学習をすることが求められます。
軽視はできません。
では、なぜ興味を持てないのでしょうか？
それは一言で言うと、なかなか実感を持って学習ができないということが大きいのではないかと思います。
たとえば自分の住んでいる町が、雨がたくさん降る土地だとか
畑でブロッコリーを作っている農家が多いとか
そういった身近なことがあれば、
「ああ、そういえば」
という感じで興味も持ちやすいし、記憶にも残りやすいと思います。
しかし、自分が全く知らない場所の農作物がきゅうりで、気候は比較的温暖とか言われても、
「ふーん、そう」で終わってしまうのでしょう。
社会は「興味を持つこと＝成績アップ」が比較的顕著な教科
社会は、数学や英語のように興味があるだけでは越えられないハードルがある教科と違い
興味を持って取り組むことが、ダイレクトに成績アップと相関する教科だと思います。
したがって無味乾燥の暗記科目にする前に、まず興味を持つための方法を考えることが、成績アップへ向けて効果があります。
逆に、「面白くない内容を、ずっと覚えていかなくてはいけないのか」と思ったとき、
そこから先は、その科目を嫌いになっていく未来が待ち構えています。
だから、今すぐに手を考えるべきです。
地理に興味を持てるようにするためには
では地理に興味を持つためにはどんな手があるでしょうか？
今回はそのためのコツをお伝えします。
まず一つ目として、地図を活用する手があります。
地図をいつも目に留まるところに貼って見るようにします。
ここで重要なのは、意識してそこを通るたび（トイレならトイレに入るたび）見るようにするということです。
特に勉強するという姿勢でなくて、いろいろな場所や地名や道、鉄道などを見るだけです。それでいいのです。
普段から地図を見ていると、ある時学校で勉強していることと、ふと符合する瞬間が出てくるはずです。
たとえば学校でリアス式海岸を学習したとします。
普段何気なく「海岸って場所によって違うな、ギザギザのところはココとココ」などと見ている生徒は、
「あのギザギザがリアス式か！」
「じゃあ別のところもそうか」
と気づいて、勝手に全国のリアス式海岸の場所を覚えてしまいます。
教科書には「三陸海岸 リアス式海岸」「志摩地方 リアス式海岸」などと断片的に書いてあっても
リアス式海岸でまとめてあるとは限りませんが、
日本地図を見れば、一瞬でそういう横断的学習ができてしまいます。
地図の効用は非常に大きいのです。
もう一つは、ご家庭で普段から地理の話をするというのが、かなり効果があります。
たとえば、ドライブで琵琶湖に行ったとします。
車の中で「ここから滋賀県」とか
「琵琶湖は日本で一番大きい湖」「じゃあ日本で一番長い川は？」
といったように問答をするようにしたりするのは、予想以上に子どもの心に残るものです。
ドライブでなくても、家庭でジャガイモを食べる時に
「ジャガイモって日本だとどこでたくさん収穫されるか知ってる？」とか
「日本で米作りが盛んな県を３つ言って」とか
話題にできることはたくさんあります。
実際生徒どうしで、お互いにこういう地理の問題を出し合ったりしている生徒がたまにいますが、そういう生徒は大体地理が得意です。
自動車などでもそうです。
「この自動車どこで作られたのかな？」といった素朴な質問から
日本の工業地帯や世界の工業地帯への興味がスタートするのです。
最初から「中京工業地帯は輸送用機械工業が盛んだから覚えましょう」と言うのと、
こういうやり方で興味を持っていくのとでは、モチベーションもだいぶ違ってくるように思います。
地理は実感が重要
地理は現実の社会と結びついている教科だと言えます。
それは、教科書の改訂のたびに記載されるデータが刻々と変わっていくのを見てもわかります。
だから実感を伴った学習ができれば、より好奇心を満たす充実した学習が可能になるでしょう。
なかなか興味を持てない生徒には、まず実感を持ってもらうことが大切です。
あるとき生徒が、
「インドで綿花ってあるけど、観賞する花ですか？」
と聞いてきたことがあります。
綿花の写真を見せたら本当にびっくりしていました。
まさか綿が植物からできるものとは思っていなかったみたいです。
カイコの絹については小学校で詳しくやりますが、綿については知らなかったようです。
地理を実感なく勉強してしまうというのはこういうことで、
言葉だけ「デカン高原では綿花」と覚えても、それは１つの記号でしかありません。
綿花の写真を見て、それが収穫されコットンになって
ユニクロを経て自分が着る服になっているということを実感して
初めて「地理って面白い」となるのだと思います。
そういう面白さこそが、学習では一番重要なのです。
今後も役に立つ学習のコツをお伝えしていきます。